マガジンのカバー画像

あやとりりい様 小説

14
あやとりりい様の創作作品です。 お時間があれば読んでみて下さいませ。 他のあやとりりい様の小説やNoteの記事も良いので、是非フォローして読んで下さい。 実績のある方です。 こ…
運営しているクリエイター

2024年7月の記事一覧

致死量の悔恨 第3話 結婚式の前に(下)

致死量の悔恨 第3話 結婚式の前に(下)



桜子の胸の奥からは、おばあちゃんとの思い出が、赤い景色の中に湧き上がった。一緒にお好み焼きを焼いたこと。
「桜子は卵をかき混ぜるのが上手ねぇ。」
と、指示をするわけではなく、ただ桜子のやり方を尊重してずっと横で見ていてくれた。
部活帰り、遅い時間になると偶然、スーパーの前で鉢合わせる。
「お味噌が足りなくて。」
と笑うおばあちゃんと一緒に帰ったなぁ。
桜子は、それでも自分がカゴとなり、良太郎

もっとみる
致死量の悔恨 第4話 息ができない

致死量の悔恨 第4話 息ができない



さざ波を眺めていると、心の中が良いことだけで満たされ、元気ハツラツとしていた自分が過去の者の様に感じる。職場から離れて僅か四ヶ月しか経っていないのに、感じよく働いていた自分は遠い離島に行ったようであった。お腹にいる子供を撫でながら、モヤモヤとした思いを吐き出せない環境を夏海(なつみ)悔しく思った。



「夏海さん、おはようございます。」

いつもの取り巻き達と話すおしゃべりの内容は、苦手

もっとみる
無念を形に〜致死量の悔恨 あとがき

無念を形に〜致死量の悔恨 あとがき

あの時の出来事は許せない。
ネットニュースを見ていると、そんな事ある?と思うような出来事で溢れている。
やられた方は溜まったものではないなと思う。
小さな一言でさえ傷付くのに、無視、仲間はずれ、ネットへの書き込み。心は見えないから、傷ついた人たちの苦悩は無いものとして、傷つけた人は気に留めず、今日も元気に誰かを傷つける。
……………
人の心は見えない。だから、
思いが伝わらないことは、日常茶飯事で

もっとみる