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言葉はないが、心に響く

私は、エステティックサロンだけに関わらず、サービス業全般、お客様に喜んで頂くための要素として、専門的な知識や技術を持ち合せ、お客様から頂いた課題や要望に応えることで生まれる"心強さ"と、お客様に真剣に向き合うことで生まれる"心地よさ"が、とても大切だと考えています。

レストランを例えるなら、料理が美味しくなくてはいけないし、サービスも似合うものでなくてはなりません。どちらも大切な要素だと私は考えていますが、"心地よさ"はもっと大切であるように思えます。

例えば、友人に「すごく美味しいよ」と薦められたレストランにディナーの予約を入れた。ところが、その予約の段階で嫌な応対を受けた。あなたならどうするだろうか?

ちなみに私の答えは「NO」です。

それは、単にお腹を満たす時間ではなく、美味しい料理を大切なパートナーと囲み、その時間を楽しみたいという想いがあるからです。

予約の段階で嫌な応対を受けるのは頂けません。お腹も心も満たしてくれるレストランに時間とお金を使いたい。私はそう考えます。

経験や腕のある優秀なシェフがいても、それを「美味しい」と感じて頂くためには、実に多くのスタッフがお客様と関わることで、初めてお客様の目の前に一皿の料理が運ばれる結果を生むのではないでしょうか。

また時として、その一皿の料理は、お客様を喜ばせるプロによって、お客様が涙される経験を与えることだって出来るのではないでしょうか。

あるレストランでこのような経験をしたことがあります。

メインディッシュを終えた私たちに一人のスタッフがあるお願いをしてきました。「今日は良い月夜です。ぜひ自慢のテラスでデザートを楽しんで頂きたいのですが、移動をお願いしてもよろしいでしょうか?」。

初めてのことに戸惑うものの、それを快諾し移動したテラステーブルには、一面にバラの花びらが飾られ、数々のフルーツが盛られたお皿には「Welcome to MASATOさん!」と書かれたチョコの文字がありました。その場に居合わせた誰もが驚き、当の私は言葉を失い感動していました。

私が、このお店のファンになったことは言うまでもありません。

この日食べたメインディッシュは実に美味しかった。けれども、お店を出た私が口にするのは、テラスで多くのスタッフに囲まれ、心に沁みるメッセージを受け取ったあの瞬間の話ばかり。新鮮なフルーツを屋外に出すタイミング、バラやメッセージを用意する手間と労力、テラスに誘導する工夫、ダイニングフロアとキッチンスタッフの協力、あの1枚のデザート皿に盛られていたのは、「私たち全員、あなたを幸せにしたい」という私を想う気持ちであり、このレストラン、このトップの情熱的なメッセージだと私は感じました。

「料理を皿の上だけで語らない」

この言葉は、レストラン経営の知識ゼロにも関わらず、本業で培った経営哲学と、客としての豊富な体験をベースにした経営手法で、若いスタッフたちとともに理想のレストランづくりに情熱を注ぎ、激戦の東京でも話題のレストランといわれるまでに育て上げ注目を集めるリゾートレストラン・カシータの高橋滋オーナーの言葉です。そしてこの私の体験は、カシータでの出来事です。

お腹を満たすだけがレストランじゃない。心も満たせてレストラン。トップに、お店に、スタッフに、大切にされている気持ち、愛されている気持ちに触れることで、幸せな気持ちになり、心地よく感じられるように思えます。

お客様を大切に想っていないお店。例外を除いて、世の中に存在しないと思います。ただ、お客様を大切に想う気持ちを、うまく表現できず、伝えられないままお客様の背中に視線を送るお店は、多いように感じます。

分かりやすい例が、コンビニです。生活圏内にあるコンビニ、いつもの時間、いつもの買い物、馴染みのスタッフ、これだけ条件が揃っていても、2度3度の来店で会話に発展したお店は1軒も出会っていません。けれども、後に仲良くなれた彼ら彼女たちは言います「以前から、通って頂けていましたよね」って。私を知ってくれています。覚えてくれています。でもなかなか出てこない「今日もありがとうございます」の言葉。

伝わらなければ無かったと同じ。
お客様を大切に想う気持ちを伝えること。
すごく、ものすごく大切なことだと思います。

特にエステティックサロンは、人が人に触れるサービスです。安心できる人なのか、任せられる人なのか、お客様が不安に感じられる気持ちを拭い去るには、お客様を大切にする想いや、お客様を愛する気持ちを、技術とサービスに乗せて伝えることが大切になるのではないでしょうか。

「エステティシャンは、指先で会話をするお仕事なんです。」と、
あるサロンオーナーは言います。

以前、疲れた表情でお越しのお客様が、技術中に涙された話を聞いたことがあります。その時に担当したエステティシャンは、「喜んでもらいたい」という気持ち一心で技術に努めたと言います。言葉が無くとも、想いは伝えられる。そう感じられる話でした。

いい言葉だけど、心に響かない。
言葉なんてないけど、心に響く。

想いを伝える。
難しいことの一つかも知れませんが、

『伝えて愉しい、伝わって嬉しい』

私は思います。

登場店情報:http://www.casita.jp/casita/


著作
S2C.Lab
主宰 高山 大樹

普段メディアに登場されない上場企業経営者様の取材動画の収録費用に活用させて頂き、多くの方々の学びの機会提供に活かして参ります!サポート頂けると幸いです😊