矢持奎
大学時代に描いたペン画の過去作まとめです。
矢持が2010~2019くらいまでに書いた過去作(の、見せられるやつ)です。中~大学まで。
わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈の ひとつの青い照明です (あらゆる透明な幽霊の複合体) 風景やみんなといつしよに せはしくせはしく明滅しながら いかにもたしかにともりつづける 因果交流電燈の ひとつの青い照明です (ひかりはたもち その電燈は失はれ) これらは二十二箇月の 過去とかんずる方角から 紙と鉱質インクをつらね (すべてわたくしと明滅し みんなが同時に感ずるもの) ここまでたもちつゞけられた かげとひかりのひとくさりづつ そのとほりの心象スケツチです
イーロンマスクかTwitterを購入し、Twitterがそろそろ死にそう(とみんなが言い始めて一ヶ月経つが)なので、過疎SNSになってマスクと我々の墓場になる前に、私がTwitter始めた時の思い出を書いておこうと思う。これはTwitter史を総括するものではなく、2010年代の個人の備忘録であり、あの頃の自分に捧げるレクイエムであり、イーロンマスクと俺と、フォロワーの墓の副葬品だ。 Twitterとの出会い 時は2010年代半ば、企業のゆるいアカウントがTLを被い
海 高等部三年生のころ、僕はよく一人で港に行った。 テスト最終日の学校の帰り、三ノ宮駅で途中下車し元町までテクテク歩く。それから元町から大通り沿いをテクテク下って行く。徒歩十分程度の距離。海が見たくなるときは大抵心の中に何かしらのわだかまりがあるときだ。その徒歩十分の距離を、わだかまりを一つ一つ思い浮かべながら、ゆっくりと歩く。一向に赤点しかとれない数学、成績の伸び悩んできた社会科。教師の眉間にしわを寄せさせる論文。顧問との折り合いが悪い部活。人間関係。幼すぎて話を合わせづら
嘘つき男の最後の真実 矢持 奎 夜の大阪の町は、むせ返るような熱気に包まれていた。俺は汗ばむ手で、肩からずり落ちそうになる旅行鞄を戻した。 「こう蒸し暑いと嫌になるな、長谷川君。東京はもっと暑いのかね」 「どうでしょう……予報では、雨は降らないと」 隣で鞄を引いている一つ下の後輩、長谷川君はその端正な顔に苦笑いを浮かべた。 「しかしこの気温だ、双葉の奴茹蛸になってるんじゃないかね」 「双葉先輩は蛸と言うより」 「子豚に近い」 俺は勝手に言葉を継ぎたす。「鞠みたいな体型だし
お題「焼き芋」 それはもう冬も近い、秋の終わりのある日の出来事。 私は近くの公園で、落ち葉を踏み歩いていた。散歩中。辺りの人影はまばらな、午後4時である。 視界の端にちろちろとオレンジ色が舞い、私はそちらを見た。落ち葉?いや、炎である。 まるで烏の如き黒のコートを羽織った、背の高い男がたき火をしていた。落ち葉の山の中に、アルミホイルが見える。どうやら焼き芋らしい。 「焼き芋ですか。」 と、私は彼に訊いた。 「まあな。」 彼はしゃがれた声で、ぶっきらぼうに答えた
蜻蛉 あれは夏の暑い日だった 私は、暗い竹林に足を踏み入れ そこで、彼女らを見た びろうどのような黒いドレスを優雅にはためかし 瑠璃色に輝く裏地を見せながら 貴婦人たちは優雅に歓談する その美しい出で立ち! 細く繊細な足! しかし 私が近づくと 彼女達は決まってゆらゆらと離れて行き そうして 誘うように またドレスの裾をはためかせる ハグロトンボ:トンボ目イトトンボ亜目カワトンボ科ア
市営の事務に入会することになった。目指せムキムキのオタク。
一太郎、殺すぞ!!!!!!!!!!
坊主にしようと思ったけどまだ人間性への執着があってただの短髪になった。執着を捨てろ。人間性を捧げろ。
夕飯のカルボナーラを作ろうと冷蔵庫の中を開けたら、にんにくを切らしていることに気がついた。近所のスーパーまで走れば間に合ったかもしれなかったけど、わざわざ走るのが億劫で諦めてしまった。 ぐらぐら茹だる鍋の中のスパゲッティをかき回していると、玄関のドアが軋む音が聞こえてきた。私達が暮らしているマンションは古くていつもどこかしらがぎしぎしというのだ。「ただいま」と声がする。彼が帰ってきたのだ「おかえり。晩御飯はカルボナーラだよ」振り返らずに声をかける。「うれしいなあ」どさっと