
イテレーション:春と修羅(No Man's Sky 8周年記念)

わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといつしよに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(ひかりはたもち その電燈は失はれ)

これらは二十二箇月の
過去とかんずる方角から
紙と鉱質インクをつらね
(すべてわたくしと明滅し
みんなが同時に感ずるもの)
ここまでたもちつゞけられた
かげとひかりのひとくさりづつ
そのとほりの心象スケツチです

これらについて人や銀河や修羅や海胆は
宇宙塵をたべ または空気や塩水を呼吸しながら
それぞれ新鮮な本体論もかんがへませうが
それらも畢竟こゝろのひとつの風物です
たゞたしかに記録されたこれらのけしきは
記録されたそのとほりのこのけしきで
それが虚無ならば虚無自身がこのとほりで
ある程度まではみんなに共通いたします
(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに
みんなのおのおののなかのすべてですから)

けれどもこれら新生代沖積世の
巨大に明るい時間の集積のなかで
正しくうつされた筈のこれらのことばが
わづかその一点にも均しい明暗のうちに
(あるいは修羅の十億年)
すでにはやくもその組立や質を変じ
しかもわたくしも印刷者も
それを変らないとして感ずることは
傾向としてはあり得ます
けだしわれわれがわれわれの感官や
風景や人物をかんずるやうに
そしてたゞ共通に感ずるだけであるやうに
記録や歴史 あるいは地史といふものも
それのいろいろの論料といつしよに
(因果の時空的制約のもとに)
われわれがかんじてゐるのに過ぎません
おそらくこれから二千年もたつたころは
それ相当のちがつた地質学が流用され
相当した証拠もまた次次過去から現出し
みんなは二千年ぐらゐ前には
青ぞらいつぱいの無色な孔雀が居たとおもひ
新進の大学士たちは気圏のいちばんの上層
きらびやかな氷窒素のあたりから
すてきな化石を発掘したり
あるいは白堊紀砂岩の層面に
透明な人類の巨大な足跡を
発見するかもしれません

すべてこれらの命題は
心象や時間それ自身の性質として
第四次延長のなかで主張されます

大正十三年一月廿日
宮沢賢治
(宮沢賢治『心象スケッチ 春と修羅』序 青空文庫より引用https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/1058_15403.html)
No Man's Skyというゲームを知っているだろうか。
自動生成された1800京個の惑星がある宇宙を旅する、何でもできるスペースサバイバルアクションシミュレーションなんかゲームだ。詳しいことはユーチューブとかに聞いてほしい。

自分がやり始めたのは2018年前後、大型アップデート“NEXT”から。これも詳しくはユーチューバーとかに任せるが発売当初はできることが少なくかなりクソゲー扱いされていたが開発がめげずにアップデートを繰り返して今の人気につながっている。評判が悪くてもやってみたいな……と思ってたころに、大規模リニューアルであるNEXTが来た。以来アプデのが来るたびに思い出したようにやっている。
NoMan‘sSkyをやる時のマイルールとして、縛りというほどではないが、毎回宮沢賢治作品から宇宙船やガジェットを引用している。
NoMansSkyは宇宙サバイバルでもありつつ、ゲームの世界観は存在の実存に迫るような哲学的な内容なので、賢治的なもの……特に『心象スケッチ 春と修羅』の序文を連想したからだ。
いや実際は他の部分はそんなに似てないかも。NMSはスターウォーズとか他のSFからもオマージュしてるし、賢治は世界█████████仮説は唱えてないし、このゲームはバンバン撃ち合うこともあるので……。

まあとにかく個人的には、私というトラベラーは、仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明としてRPの指針にしてるわけです。というわけでなんか……感じてほしくてゲームのスクショと『心象スケッチ 春と修羅』の序を載せた。既プレイならわかるかも。
大型アプデが何度もあるのはうれしいが、過去数回のうち一番進んだデータでは大型アプデ後にイーハトーヴ(つまり理想の星に作った惑星基地)アクセスできなくなってやめていた。そういうことがあるからアプデの度にゲームを最初からにしてて。もう100時間超やってるのに序盤のことしかわからない。

しかし今回は本腰を入れてやるつもりだ。最近賢治の本をよく読んでモチベーションが上がって来たのと、期間限定イベントで序盤が有利になるデータを手に入れたからだ。
でも今回、序盤が楽になるからって「共同探検14:始末屋」(期間限定イベント)のデータで始めたんだよなあ……前職が宇宙の殺し屋。始末屋賢治。一番イメージから遠い。

とりあえず今回も理想の楽園、イーハトーヴになりうる惑星を見つけるのと、あとメインミッションの、█████████を██████するかどうかの決断を、賢治ならどうするかを考えながら進める予定です。
いいなと思ったら応援しよう!
