営業をやってきて辛かった時のエピソードを語ろうか
「40’s Biz talk」は法人営業やBtoBマーケティングが専門の40代男性2人、杉本浩一と柳澤大介がお届けするポッドキャスト番組。
音声番組の内容を読みやすく要約してnoteでお届けしています。第5回は「営業をやってきて辛かった時のエピソード」です。
それでは、本編の内容をお届けします。
名刺交換した瞬間に「うちは有料やらないから」
柳澤大介(以下、柳澤):僕が今日、話したいのは、「営業している時に経験したしんどかったこと」。いっぱいあると思うんですけど。
杉本浩一(以下、杉本):いっぱいありますね。
柳澤:今日だけじゃ語りきれないぐらいあると思うんですけど、一人で全部話すと時間が足りないんで、1エピソードずつ2人で交互に話していきましょうか。
杉本:そうですね、そうしましょう。
柳澤:じゃあ僕から。これ営業あるあるだと思うんですけど、20代から30代前半まで営業をやっていて、出張することが多かったんですよ。
今と違って、コロナ前はオンライン商談じゃなかったじゃないですか。訪問するのが当たり前なので出張が多くて。当時は山梨や長野に行くことが多かったんですよ。
で、とある商談で長野に出張したとき、1軒目の商談に行くのにもオフィスから片道3時間ぐらいかかるんですよね。
3時間かけて来ているのは相手も当然知ってるわけですよ。殆どのお客さんは、「わざわざうちまで来てくれてありがとね」みたいな感じからスタートすることが多いんですけど。
その時は、名刺交換して商談しましょうかっていう時に、名刺交換した瞬間に「うちは有料やらないから」って言われたことがあって。
杉本:有料やらないって(笑)、なるほどね。
柳澤:僕まだ何も言ってないんですよ。当時は広告会社に勤めてて。
有料広告の提案ではあったんですけど、片道3時間かけて名刺交換して、まだ僕の名前しか言ってないタイミングですよ。
で、座る前に、「うちは有料やらないから」って言われたことがあって。それ結構しんどかったかな。似たようなことあります?
「どれだけ割り引いてくれるの、俺のために」っていう人
杉本:沢山ありますよ。似たようなところだと、「どれだけ割引できるか、どれだけ安くなるかで決めるからね」って。かなり勉強してもらわないと、俺は発注するつもりないからなっていう感じを座ったタイミングから。
買わないとは言ってない。お金を出さないとは言ってないけれども、「どれだけ割引いてくれるの、俺のために」って感じの人がいるわけですよ。
僕が最初のキャリアの通信会社で。そのお客さんのシステム部門に、たまにそういう方がいらっしゃって。辛かったですね。
そういうお客さんに限って、納品時にクレームがあったり、サポートに手がかかったりすることが多くて、利益がほぼないのに、コストだけかかる、手間だけかかる状況で。
そして、対応する人は私しかいないという。そんな状況になるのは辛いですね。営業が一人で追っていかなきゃいけない状態。
柳澤:当時はそんな案件も、取りに行ったんですか?
杉本:それがね、今だと取りに行かないっていう風にしたいじゃないですか。けど、若手の場合はその権限がないというか、「いやいや、それは取るでしょ」って上司に言われると取りに行かざるを得ないという環境でした。
あと前提として、私はアカウント営業だったわけです。この業界で何社担当、そのうちのこの会社はあなたの担当ね、だったので。
私はそれがなくなったら他で売り上げ立てますってできなかったんですよ。だから辛かったですね。
柳澤:辛いですね、確かに。
杉本:辛いですよ。でもね、もう十何年も前ですけど、今振り返ってみると、そんな制限がある環境だからこそ、どうやろうかっていうのを一生懸命知恵を絞って考えたっていうのはありますね。
どうにかして対面相手を変えるために何かをするかとか。会社は変えられないけど部署を変えることを頑張るとか。
それは頑張りましたね。人って制限されるとかえって知恵を絞れることないですか?
柳澤:そうですね、何でもやっていいよってなると考える領域が広すぎて思考が止まっちゃうことありますね。
杉本:そう。だから経験としては良かったと思いますけどね。でも辛かったな、あの時は。
柳澤:そういう意味だと、ルートセールスもそういうことありそうですね。逃げられないみたいな。
杉本:そうですね、僕はルートセールスはやったことはないですけど、何でしょう、ルートセールスやってる人見ると、辛そうに見える人いますよね。
柳澤:昔は新規営業が営業の中では一番辛いものだと思ってたんですけど、相性が合わないお客さんとか過剰な要求をするお客さんとかもいるじゃないですか。
杉本:そうですよ。僕、一番辛いのはアカウント営業だと思います。
相性が合わない担当に当たっているアカウント営業は本当に辛いと思いますね。
柳澤:そうですよね、確かにそれは逃げられないですね。
杉本:新規営業はどこ行ってもいいわけですよね、本当に。
漁場を探せばいいわけですから、ここで魚が釣れなかったら他を探せばいいという。
ちなみにライトなのがそれってことは重いやつがあるってことですか?
受注がゼロになりそうな月は夜も寝付けなかった
柳澤:僕は新規営業をずっとやっていて、テリトリー制で営業していたことが多かったんです。あなたはこのエリアしか営業しちゃいけませんよ、みたいな感じ。
当時は受注単価が100万から200万。営業は毎月5件受注するのが目標だったんですよ。
それで、ある月だけ受注がゼロになりそうだったことがあって。
今でも覚えてるんですけど、その時は出張中のホテルで夜に不安になって。ゼロって営業的にはインパクトあるじゃないですか。
杉本:あるねー。
柳澤:そのときはSMB営業だったんですよ。なので、エンプラと違ってコンスタントに受注する必要があるわけです。
杉本:そうでしょうね。商談サイクルも短いし、金額も大きくないから、調子悪くても一定の受注があるわけですよね。
柳澤:その月の2週目で今月決まる案件がないことがあって。出張先のホテルでなかなか寝つけなかったのはやっぱ覚えてますね。
杉本:これさ、私はずっと営業で毎月の売り上げを追ってて、受注件数を追ってることが多いわけですよ。
月ごとにカウントされるっていうんじゃないけれども、期間を決めて何件受注とか、いくら売り上げっていうのがつきまとう職種でずっと僕は生きてきているんですけど。
たまに、営業じゃない人たちの方が楽なんじゃないかって思う時がある。
営業って全てが数値で見えちゃうから、まあ結果がはっきりわかっちゃうじゃないですか。 だから、できなかった時はできないってわかっちゃうし、すごい辛い職業だと思う時もいまもあるんです。
これどうなんですかね? 柳澤さんって営業じゃない時ってありましたか。
柳澤:マーケティングの時がありましたね。 マーケティング部門としてはどれぐらい問い合わせ取ってくるかみたいなのはあるんですけど。
ただし、営業よりは成果を出すまでの時間軸が長いんですよ。だからそういう意味だと営業の「今月決めなきゃいけない」みたいなストレスとプレッシャーは少ないですよ。
杉本:そうなんだよな。あと僕いつもこれ疑問なんですけど、営業で月に何件決めなければいけないって。さっき毎月5件受注しなければいけないと言ってたじゃないですか。
5件受注しなければいけないので、それをできるように営業がコントロールしなさいと言われる。
でも買う側からすると関係ないじゃないですか、はっきり言って。 「僕の受注が4件なんですよ、あと1件ほしいんで今月発注してください」って言えないじゃないですか。
言えないけど言いたい。言えないけど、もうどうにかこうにかしてそういうふうにやっていこうとすると思うんですけど。
これなんだろうね、僕良くないと思うんですよね、この営業のノルマの作り方。どう思います?
月末の最終営業日にやたらと客先に電話することの是非
柳澤:確かにね。月末の最終営業日になると、やたら客先に電話するみたいなね。
杉本:押し込め!と。なんとか今日の契約で押し込めみたいなのやるじゃないですか。分かるんだけどさーっていう。これがね、たまに営業が嫌になる。
柳澤:そうなんですよ。で、その最終日にそのがむしゃらに電話してないとやってないやつみたいに思われるんですよね。
杉本:あーわかるわかるそうですよね。
柳澤:だけど本来だったら最終日じゃなくて、もう月初から頑張っておけばいい話じゃないですか。
僕は最終日には達成してるのに、「お前やってないだろ、なんで電話しないんだ!」みたいになる。でもお客さんからしたら迷惑でしかないわけですよ。
杉本:そうですよね。 最近でもよく来ますよ。月末になるほど電話来る気がする。
柳澤:いや来ますよ。やってる会社いっぱいありますもん。
杉本:そうですよね。こういうことをやっていると、営業っていつまでも嫌われるんじゃないかなって思うんだけど、いろんな人に。
柳澤:そうなんですよ、営業都合ですからね。
杉本:営業都合。これが営業が職種としてまだ嫌われている理由だと思うんですよ。顧客からも嫌われる最大の理由がこういうところにあるんじゃないかと。
飛び込み営業はつらいが、効果的なプロダクトもある
柳澤:そうですね。営業都合で言うと、僕もう一つ辛かったのがあって。新卒の時の話なんですけど、コピー機の飛び込み営業だったんですよ。
新卒の時の2005年の春に飛び込み営業してきなさい言われて、 コピー機って100万ぐらいするんですよ。
法人だとコピー機使ってない会社はないんで、基本的にはリプレイスの提案なんです。あれはめっちゃしんどかったですね。
飛び込みしてコピー機の型番をオフィスの中まで入って見に行くんです。まあそもそも勝手に中に入っていくのが厳しいですし。 型番見たら大体いつ製造されたのかがわかるんで、入れ替えの提案をするんですけど、 あれはめっちゃ精神的に来ましたね。
杉本:これ別の機会で飛び込み営業の是非みたいなのやりたいな。 どうなんですか。効果あるんですか?僕、コピー機の飛び込みやったことないですけど。
柳澤:インターネットが普及する前だったらそれで売れたと思う。だから1990年代だったら効果的だったと思いますよ。それでしか知るきっかけがなかったんで。
杉本:90年代ってもう30年前ですね! 冷静に考えると。
柳澤:ただ、その時の僕の上司は90年代に営業をやってた人なわけです。その人達はそうやって結果を出してきたから、 そのやり方を強いられる。
あれきつかったですね。売れると思わなかったですもん、さすがに。
杉本:今でこそ減ったのかな。減ってると思うんですけど、でもいわゆる飛び込みみたいなスタイルってあるじゃないですか。
あるけど本当に良くない。こちらが困ったなって思う時にアプローチしてもらう方が良いですよね。
柳澤:僕は飛び込み営業が効果的な業界はあると思ってて。例えば、個人でやってる飲食店とか美容室、 ああいうところは電話だと接客中に電話しちゃうんですけど、飛び込みだと外から接客しているかどうかわかるんですよね。
なので、僕がメルペイにいた時は、そういう見込み客には飛び込みがすごく効果的でした。
杉本:なるほど、確かにそうですね。逆に電話とかメールだと困るし。
探さなきゃいけない労力ってありますよね。 そうなると対面でちょっと飛び込みで来た人から聞いたらちょうどいいやってなって。
御用聞き営業じゃないですけど、「あらちょうどいいところにサブちゃん」みたいな感じで。
QRコード決済って最近よく聞くなぁと思ってたら、ちょうどメルペイの人が来たから聞くかっていう感じになるかもしれないですね。
柳澤:デスクワーカーじゃない方は、 常に情報収集する時間があるわけじゃないので、そういう方だといいですよね。
杉本:それを考えるとさ、当時のPayPayってめちゃ強かったろうねって思うよね。 営業の数も凄かったじゃないですか。
うちの近くの商店街でも、PayPayしか入ってないところいっぱいありますよ。
あれはまさにPayPayの営業が飛び込みで来て、「じゃあPayPay入れてみるか」ってなって、 クレジットカードも入ってないところが唯一現金以外にPayPayだけやってますって書いてあることになるんでしょうね。すごいなぁ。
柳澤:なのでメルペイ立ち上げた時は、新卒の時に飛び込み営業やってた経験はいきましたよ(苦笑)。
杉本:そういうことですよね。 なるほどなぁ。 飛び込みもバカにならないっていうか、飛び込みがむしろ有効なんだなぁ。それはわかる。
柳澤:新卒の時はきつかったですけど、その時の経験は無駄ではなかった。
杉本:今思ったんですけど、僕はインターネットを過信しすぎてるかも。僕の場合はネットとかシステムとかそういったところに関わってきたことが多いわけですよ。
LINEとかメルカリとか。 マーケティングしたら課題のある見込み客が問い合わせをしてくるから、それに対して営業した方がいいんじゃないのっていう思考になりがちなんだけど、世の中の大半は実はそうじゃないっていうことを忘れちゃいけないですよ。
うまく探せないし、なんなら探したくない。 けど、勝手にうまくいっててほしいっていう人が大半なので、そこを忘れちゃいけないなと思います。
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