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佐渡金山を見たら「経済で読み解く日本史3 江戸時代」を読みたくなった

きっかっけは佐渡金山の観光見物でした。
金銀がザックザックと産出する宝の山のおかげで江戸時代は260年も戦のない天下泰平が続けられた・・・・・と思うのは早合点!!実は潤沢な資金に恵まれたのは3代将軍徳川家光の頃まで、五代将軍徳川綱吉の頃には蓄えも底をつき、それから200年もジリ貧の国家財政だったことがわかりました。

そんなこと歴史の教科書にも書いてないし鉱山のガイドにも出ていない!
出ていたのは上念司さんの著書「経済で読み解く日本史3 江戸時代でした。

国際通貨にもなる金が大量に採れる佐渡島の相川周辺。幕府が直轄領とし、あっという間に相川には5万もの人々が住む鉱山都市が生まれます。幕府は金の不滅の価値を裏付けとした金貨=小判を発行し、それこそ諸大名・各藩に大盤振る舞いします。市中に出回った金貨は高価な輸入品の対価として海外に支払われ、このこと、tがいずれ金の海外流失という深刻な問題としてツケを払わされることにもなるのですが・・・・

貨幣経済の本格化で商品流通や資本経済もこの時代に本格化します。
農業の生産性がうんと向上し、人口増加に合わせて米の収穫高も飛躍的に増えていきます。税金を米で払っていた農家も、余剰生産分を現金に変えて消費に回す・・・・消費文化はこうして発展しました。娯楽が生まれ芸術家がメシ を食えるようになり、米より儲かる様々な農業が作物のバリエーションを増やし・・・ということは当然グルメ文化もここから生まれてくるわけで・・・・・食べるだけだった米から清酒醸造という産業が生まれた背景も金山とは切ってもきれない縁があった・・・

もうとにかく、目から鱗の連続で膝を何度ポンしたことでしょう!
上念流の論法で楽しくわかりやすく、江戸発展のプロセスが解き明かされてゆきます。
もちろん経済危機もありました。というか幕府はいつでもすっからかん。徴税は地方税しかなく、幕府は公共事業を各藩に肩代わりさせて辻褄を合わせていたくらいです。

それよりも資本経済の高度な仕組みや大型量販店、為替システムに先物取引、海上保険の原型がすでにこの時代に出来上がっていたとは驚きです。鎖国で欧米諸国に大きく遅れをとっていた、とは私たちの思い込みで江戸の世は思いの外進歩的だったのです。

そうとわかれば、ますます江戸文化への興味が湧いてくるから不思議なもの。
例えば江戸にタイムスリップしてバイトする話(江戸でバイトやってみた。ー古地図で歩く大江戸八百八町萬職業図鑑(著),櫻庭 由紀子)や江戸時代の女一人旅を描いた書籍(江戸の女子旅 谷釜尋徳 晃洋書房)・・・・・興味は尽きそうにありません。

今暮らしている東京の街にもそこここに江戸の痕跡を見つけることができます。
大名屋敷だった敷地は公園だったり高級ホテルだったり、老舗の屋号も江戸に端を発するものが少なくありません。ただ、高層ビルから眺める景色だけは流石に昔通りとはいかず・・・・今の調子で高層ビルが増え続けたら令和の次の次の世代には窓からお月見も難しくなってくるのでしょうか・・・・・?


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