「緊張感が遠ざかった気がする土曜日」。2021.11.6.
空気が冷たいので、ワイシャツを着て、セーターとジャケットだけだと寒いような気がして、さらにコートのようなものを着ようと迷っていた。
だけど、薄めのダウンなどは、ジャケットの上からだと、スソがはみ出してしまうから、もう少しスソが長いコートのようなものがあったかどうか分からなくて、今年、保存の方法が悪かったせいか、一着ダメになってしまったから、あれ、この季節に着るものがないのでは、などと思いながら、支度をする。
ソーシャルディスタンス
玄関で、妻と会話して、この格好で大丈夫かな、という話をして、さらにコートなかったっけ?と聞いたら、え?という顔をされて、それは、たぶん、あるはずなのに、ちゃんと探していない、というようなことだと思うが、明らかに、出かけるいま言わないように、といったニュアンスで、ちょっと怒られた。
おっしゃる通りだった。
午前9時前。道路を歩いたら、日差しは温かくなっているので、コートはいらないかも、と思って、歩いて行くと、6月くらいにはアジサイが咲いている路地で、久しぶりにホースで水をまいている女性がいる。けっこう薄着で、寒くないのかな、と思いながら、通り過ぎる。
病院の前には、4人も待っている。もうソーシャルディスタンスは、どこかへ行ってしまったように、かなり近い距離で並んでいる。
その近くの、この辺りでは、「おしゃれ」なカフェは、イスを出して、もう「オープン」になっている。
日陰を歩くと、風は冷たいし、寒さが自然になっているから、冬に近づいているのが分かり、やっぱりコートは必要かもしれないと思う。
言葉
駅に着き、電車がきて、電車がくる。
窓は、何ヶ所か開いている。
駅が進んで、終点が近づく。
少し遠くの座席に、完全に横になっている人が見える。足の方から見ていると、男性か女性かが分からず、酔っ払った男性かと思っていた。そこに向かいの座席の女性が、近づいて声をかけ、少し背中を軽く叩いてから、その女性は元に戻った。
さらに終点に近づく。
まだ、ずっと横になっている姿が見えるので、そばに寄ったら、女性だった。
どうしようかと迷い、だけど、止まってから、まだ横になっていたので、声をかけた。
大丈夫ですか。
少し目を開ける。
駅員さん、呼びましょうか。
大丈夫です。これから、頑張って病院に行きます。
そうですか。お気をつけて。
そんな言葉しかかけられず、あまり近くに寄るのもダメだし、これ以上、中年男性が関わるのも、どうかと思って、電車を降りた。
後ろを向いたら、おそらく先ほどの女性が、きちんとそばにいて、カバンまで持っていて、起き上がることを助けていた。そして、その横になっていた女性は立ち上がって、歩いて、去って行くのが見えた。
声をかけていた女性が降りてきた。少し話した。本当は、きちんと関わってもらったお礼を伝えたかったのだけど、それも私が言うのは変ではと思って、ちょっとだけ話して、お疲れ様でした、と言ってから、お先に、と、私は小走りで改札を出て、次の路線に乗り換えることにする。
もっときちんと伝えればよかったのか、横になっていた女性に声をかけたけど、かえって、恥ずかしい思いをさせてしまったかも、などと考えながら、歩く。
こういう時に、どうすればいいのか、声をかけないほうがいいのか、などと思って、改札を入って、流れを少し外れて、いつもの習慣だけど、一人だけアルコールポンプを使って、階段を降りたら、ちょうど電車が来た。
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電車に乗ると、コートも薄めだったり、もっと冬用の服だったり、と思ったら、ワイシャツとスーツだけの人だったりと、服装がバラバラだった。自分も、出かける前に迷ったから、そういう季節なのかもしれない。
バラエティで、日本は四季ではなく、夏と冬だけでできている、という主張を聞いた。それも気温は大雑把に分ければ、夏と冬の気温しかないから、という言葉を思い出して、今日は冬かもなどと思う。
電車は土曜日としては、少し混んでいる、といった感じだったけれど、大きい駅に着いたら、いつもよりも人の減少が激しく、あちこちに空席が目立つようになった。
車内広告は、美容整形外科と、予備校のものが目立つ。
イチョウ
車内でも、個人的には、ずっとソーシャルディスタンスをとっていた。そして、目的の駅で降りて、外へ出ると、さっきよりも、風が冷たくなっている気がする。
いつもの道を歩いているのに、今日はやけに人通りが少なく感じる。
道のそばのイチョウは、先週よりも黄色くなっているように見える。
若い男性が2人並んで、ジョギングをして、横切っていく。マスクはアゴまで下げている。楽しそうに走っていった。
公共の建物では、期日前投票も終わり、ワクチン接種は続いている。先週は、中年の男性が案内板を持っていたのだけど、今日は、また若い男性が立っていた。
自然な移動
午後4時過ぎ。
用事が終わって、朝降りた駅に向かって、歩いていると、もう夕方で、空が少しオレンジ色になってきている。
本当に、日が短くなってきている。
駅に着いたら、改札の前で、手を振っている30代くらいの女性がいる。その先には、改札を通って、ホームに向かって歩いていく中年の男女が歩いていて、その二人が、その女性に手を振り返している。
それは、どうやら親子で、マスクをしているけれど、3人とも笑顔なのは、分かった。改札の外の女性が去った後、改札内の女性が一度振り返っていた。
電車に乗って、電車を降りて、乗り換える駅に着いた。
ここまで、なんだかぼんやりとして、周りの人との距離は、ずっと意識していたけれど、自然に移動をしていた。
緊張感が遠ざかっているのかもしれない。
家に電話をして、また電車に乗る。
駅で降りた頃は、まだ午後5時前なのに、すでに少し暗くなっていた。
コート
家に帰ったら、廊下に、新しく見えるコートがかかっていた。
そんなに厚くなくて、この季節に良さそうで、ジャケットを着ても、大丈夫な長さだった。
このコートを、去年か、一昨年に買ったのを思い出した。
すっかり忘れていたのを、妻が、探してくれて、今日は、少し外で干しておいてくれた、という。
とてもありがたく、お礼を伝える。
これで、今度は肌寒かったら着ていける。
自分が探していたら、当分、見つからなかったと思った。
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