シャインマスカットと、iPhoneは似ているかもしれない。
駅の近くのお菓子屋さんで、チラシをもらった。
そこには、シャインマスカット大福と書いてあった。
当たり前のように書いてあるのだけど、そこにはぶどうという文字はなくても、ぶどうということが、誰にもわかるようになったのだと改めてわかった。
シャインマスカット=ぶどう。
そのことを知らない人は、今は全人口の数%にしか今はいなくなったのろうけど、これだけ登場から普及が早い果物の種類は珍しいのではないだろうか、と改めて思った。
ぶどうの種類
いつものように食べているぶどうの種類は変わってきたと思う。
昔は、少し小さい粒のぶどうが多かった。というよりも最近まで、日常的に食べていたのは小さめの粒だった。
それは、名前を意識したことはほとんどなかったのだけど、いつも同じものを食べていたはずだった。
名前はデラウェアだったらしい。
ただ、ぶどうの名前を個人的には最初に覚えたのは、巨峰だと記憶している。
大きめの粒は新鮮で、誰かに贈り物として持っていくような品種というイメージだったけれど、そのうちに、日常的なぶどうも、小さめの粒のデラウェアから、だんだん巨峰になっていったと思う。
こうして歴史的な事実を振り返ると、巨峰の登場はかなり昔だったのだけど、自分が知るようになったのは、かなりあとの時代になってからだと思った。
だから、20世紀の後半は、日本でぶどうといえば、巨峰という時代が長かったし、誰かの家でぶどうを出してくれるときは、巨峰です、と言い添える人もいたはずだ。(それは、その品種が自慢にもなっていたということだった)
それくらいぶどうといえば、巨峰という時代が長かったのだけど、今は、その記憶を少し忘れるくらいの状況になっている。
シャインマスカットの登場
それは、今は、ぶどうといえば、シャインマスカットになったように思えるからだ。
巨峰が、1955年に商標登録されたことと比べると、50年以上の歴史の差があるにも関わらず、シャインマスカットの浸透具合いは、とても早かった印象がある。
この2018年の記事でも、その人気の秘密を分析している。
巨峰は、種があることが多かったし、皮を食べるのは難しかったから、その巨峰の気になる点もシャインマスカットはクリアしているし、これだけ揃っていれば、人気が出るのも納得ができる。
しかも、もう一つの理由として、ブドウ農家にとっても「育てやすい」というポイントがあげられているから、普及しないほうがおかしいくらいの気持ちになってくる。
2023年の統計では、栽培面積では巨峰についで、2位にまでなってきた。
テレビのバラエティーで、ブドウ農家が出てきて、シャインマスカットが儲かる、といった話をしていたことがあったのだけど、それが本当のようなので、あと数年で、栽培面積がシャインマスカットが1位になるのではないかと予想もできる。
そうなると、供給が多くなってくれば、価格が下がる可能性もあるから、今のようにブドウ農家の所得を保証するものではなくなる可能性はあるにしても、ブドウの中のシャンマスカットの割合いはさらに増えて、ブドウ=シャインマスカットになるのも時間の問題かもしれない。
ぶどうの歴史
元々のブドウの歴史を振り返れば、とても古い歴史を持つくだものだけど、どうやらぶどうは、ワインに使われるのが世界の主流らしいから、そのまま食べる日本は、実は少数派なのかもしれない。
その少数派の国から、進化した生食のぶどうが誕生する、というのは、もしかしたら必然かもしれないけれど、今後、シャインマスカットが、国内だけではなく、海外の市場でもどこまで広がるかは、素人の自分には分からないとしても、もし世界で食べられるようになれば、ますますアイフォンと似てくると思った。
iPhoneの登場
今では、当たり前にスマホといわれて、もしかしたら誰もが持って当たり前の存在になり、ショップでは紙のポイントカードは姿を消してきて、その代わりにスマホを使ったものになってきているから、いまだにスマホも携帯も持ったことがない自分には、そうしたポイントは断るしかなくなってきている。
だから、そんな自分がiPhoneのことを語る資格はないのかもしれないけれど、それでも、その登場は歴史的な事実として覚えている。
それほど情報に強くなく、2007年当時は、仕事もやめて介護に専念する毎日で、携帯電話も持っていないから関心も低く、だけど、スティーブ・ジョブズが、手のひらの小さい電話(今から考えたら、電話もできるコンピュータだったのだけど)を、さわることによって操作をしていた映像は、一企業の新しい商品のアピールにも関わらず、ニュース映像として何度も見た記憶がある。
もしかしたら、自分でも印象が強いから、何度も見た記憶に変わっているのかもしれないが、2007年に初めて登場して以来、これほど短い時間に急速に世界中に浸透していった商品は珍しく、というよりも、これだけ長い間売れ続けているとしたら、人類史上では初めてに近いのかもしれない。
その後の携帯電話は、すべてがiPhoneのようになっていって、スマートフォンという一般名称がついて、ほどなく「スマホ」といわれるようになっていった。
さわることで操作ができるから、その機械との一体感も増すはずだし、情報と直接触れる感覚になるから、情報の意識への浸透度も高くなると、スマホを持っていない人間からは見えていたが、たぶん登場から10年も経たないうちに「スマホ依存」という言葉まで一般的になった。
これだけ、急速に浸透し、生活を変える商品は、これで最後かもしれないとは思う。
今は、あまりにも当たり前に存在するのだけど、iPhoneの登場から、まだ20年も経っていないことを考えると、改めて、とんでもないことだと思う。
iPhoneとシャインマスカットとAI
その規模を比べてしまえば違うと見られるかもしれないけれど、ぶどう業界のシャインマスカットは、2006年に登録商標されて以来、急速に日本のぶどう業界に浸透し、すでにブドウ=シャインマスカットのようになりつつあるけれど、そこに至るまで20年かかっていない速さも考えると、やはりシャインマスカットとiPhoneは似ていると思う。
そして、その登場した年も一年違いかと思うと、もしかしたら、この20年は、あまり目立たないことも含めて、それまでとは全く違うような変化が訪れて、浸透して、そして定着していったのだと思うし、そのことで、ようやく21世紀が始まった、というように、この時代が過去になり歴史になったときに言われるのかもしれない。
こうした記事↑によると、AIにもブームがあり、冬の時代もあるのだけど、第3次ブームは、2000年代に始まっているようだ。さらに、生成AIが2020年代に本格的に実用化され出したから、iPhoneと、シャインマスカットと、AIも、同時代に同じような普及の過程をたどったものとして、後世にはまとめて扱われるのかもしれない、などと思った。
だから、私も含めて、今を生きている人間は、思った以上の変化の時代を生きているのだと少し実感したが、でもそれは怖さも含んだものだと思う。それは、変化に適応できないのではないか、という自分への不安だから、その適応ができる人にとっては、今は楽しい変化の時代なのかもしれない。
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