見出し画像

シャインマスカットと、iPhoneは似ているかもしれない。

 駅の近くのお菓子屋さんで、チラシをもらった。

 そこには、シャインマスカット大福と書いてあった。

 当たり前のように書いてあるのだけど、そこにはぶどうという文字はなくても、ぶどうということが、誰にもわかるようになったのだと改めてわかった。

 シャインマスカット=ぶどう。

 そのことを知らない人は、今は全人口の数%にしか今はいなくなったのろうけど、これだけ登場から普及が早い果物の種類は珍しいのではないだろうか、と改めて思った。


ぶどうの種類

 いつものように食べているぶどうの種類は変わってきたと思う。

 昔は、少し小さい粒のぶどうが多かった。というよりも最近まで、日常的に食べていたのは小さめの粒だった。

 それは、名前を意識したことはほとんどなかったのだけど、いつも同じものを食べていたはずだった。

 名前はデラウェアだったらしい。

 本来というか、大粒ブドウの巨峰が出回る以前は、デラウェアがブドウ主流でした。ブドウといえばデラウェアという時代もあったのです。暑い夏の盛りに出回ります。お盆の頃が旬の夏ブドウの代表といえます。 

(『山形 味の農園』より)

 ただ、ぶどうの名前を個人的には最初に覚えたのは、巨峰だと記憶している。

 大きめの粒は新鮮で、誰かに贈り物として持っていくような品種というイメージだったけれど、そのうちに、日常的なぶどうも、小さめの粒のデラウェアから、だんだん巨峰になっていったと思う。

 巨峰は1942年に研究により誕生し、1955年に商標登録され知れ渡るようになりました。 
 開発者である大井上理農学研究所の大井野上康氏が、「石原早生」という品種と、ヨーロッパ種である「センテニアル」という品種を掛け合わせて誕生したのが巨峰です。
 商標名は「巨峰」、品種名は「石原センテニアル」。 
 巨峰が登場した当時、その巨大な粒と強い甘味に、人々は大変驚いたそうです。 
 それまでのぶどうは、小粒で酸味の強い品種が多っかたので衝撃的だったことでしょう。

(『ふるさと納税 DISCOVERY』より)

 こうして歴史的な事実を振り返ると、巨峰の登場はかなり昔だったのだけど、自分が知るようになったのは、かなりあとの時代になってからだと思った。

 だから、20世紀の後半は、日本でぶどうといえば、巨峰という時代が長かったし、誰かの家でぶどうを出してくれるときは、巨峰です、と言い添える人もいたはずだ。(それは、その品種が自慢にもなっていたということだった)

 それくらいぶどうといえば、巨峰という時代が長かったのだけど、今は、その記憶を少し忘れるくらいの状況になっている。

シャインマスカットの登場

 それは、今は、ぶどうといえば、シャインマスカットになったように思えるからだ。

 実はこのシャインマスカット、農研機構の果樹茶業研究部門で生まれた、2006年品種登録のまだまだ新しい品種なんです。市場に登場してからわずか10年あまり。シャインマスカットは2014年以降、ブドウ品種で栽培面積が第4位となるなど、急速に全国で人気が広がっているその理由に迫ります。

(『農研機構』より)

 巨峰が、1955年に商標登録されたことと比べると、50年以上の歴史の差があるにも関わらず、シャインマスカットの浸透具合いは、とても早かった印象がある。

 この2018年の記事でも、その人気の秘密を分析している。

 一つ目は、「味」
 強い甘み。
 爽やかなマスカット香。
 大粒で歯応えも抜群。
 皮ごと食べられる。
 種なし栽培も可能。

(『農研機構』より)

 巨峰は、種があることが多かったし、皮を食べるのは難しかったから、その巨峰の気になる点もシャインマスカットはクリアしているし、これだけ揃っていれば、人気が出るのも納得ができる。

 しかも、もう一つの理由として、ブドウ農家にとっても「育てやすい」というポイントがあげられているから、普及しないほうがおかしいくらいの気持ちになってくる。

 2023年の統計では、栽培面積では巨峰についで、2位にまでなってきた。

 最も所得の低い品種が巨峰(3月加温)で10a当たり18万9,132円、所得率8.0%。最も所得の高い品種がシャインマスカット(3月加温)で137万8,344円、所得率は38.6%と、品種によっても大きな差があることがわかります。

(『minorasu』より)

 テレビのバラエティーで、ブドウ農家が出てきて、シャインマスカットが儲かる、といった話をしていたことがあったのだけど、それが本当のようなので、あと数年で、栽培面積がシャインマスカットが1位になるのではないかと予想もできる。

 そうなると、供給が多くなってくれば、価格が下がる可能性もあるから、今のようにブドウ農家の所得を保証するものではなくなる可能性はあるにしても、ブドウの中のシャンマスカットの割合いはさらに増えて、ブドウ=シャインマスカットになるのも時間の問題かもしれない。

ぶどうの歴史

 ぶどうは世界中で栽培されているくだものですが、その歴史は非常に古く、紀元前4000年頃の古代オリエント(古代エジプト、古代メソポタミア(現在のイラクやシリア)、古代ペルシア(現在のイラン))ですでに栽培されていたとされ、シルクロードを通って中国へ伝わり、日本へもたらされたといわれています。世界ではおよそ8割がワインなどに利用されていますが、日本では生食が主です。 

(『日本くだもの農協』より)

 元々のブドウの歴史を振り返れば、とても古い歴史を持つくだものだけど、どうやらぶどうは、ワインに使われるのが世界の主流らしいから、そのまま食べる日本は、実は少数派なのかもしれない。

 その少数派の国から、進化した生食のぶどうが誕生する、というのは、もしかしたら必然かもしれないけれど、今後、シャインマスカットが、国内だけではなく、海外の市場でもどこまで広がるかは、素人の自分には分からないとしても、もし世界で食べられるようになれば、ますますアイフォンと似てくると思った。

iPhoneの登場

 今では、当たり前にスマホといわれて、もしかしたら誰もが持って当たり前の存在になり、ショップでは紙のポイントカードは姿を消してきて、その代わりにスマホを使ったものになってきているから、いまだにスマホも携帯も持ったことがない自分には、そうしたポイントは断るしかなくなってきている。

 だから、そんな自分がiPhoneのことを語る資格はないのかもしれないけれど、それでも、その登場は歴史的な事実として覚えている。

 それはガジェットの歴史において最もよく売れた製品であると同時に、おそらく最も大きな影響を及ぼした製品でもある。
 スティーブ・ジョブズによって2007年に発表されて以来、「iPhone」は15億台近くが販売され、アプリ開発者とアクセサリーメーカーのための巨大ビジネスを生み出し、わたしたちの生活を一変させた。いまでは数え切れない数の人たちが、iPhoneを唯一のコンピューターとして使っている。 

(『WIRED』より)

 それほど情報に強くなく、2007年当時は、仕事もやめて介護に専念する毎日で、携帯電話も持っていないから関心も低く、だけど、スティーブ・ジョブズが、手のひらの小さい電話(今から考えたら、電話もできるコンピュータだったのだけど)を、さわることによって操作をしていた映像は、一企業の新しい商品のアピールにも関わらず、ニュース映像として何度も見た記憶がある。

 もしかしたら、自分でも印象が強いから、何度も見た記憶に変わっているのかもしれないが、2007年に初めて登場して以来、これほど短い時間に急速に世界中に浸透していった商品は珍しく、というよりも、これだけ長い間売れ続けているとしたら、人類史上では初めてに近いのかもしれない。

 その後の携帯電話は、すべてがiPhoneのようになっていって、スマートフォンという一般名称がついて、ほどなく「スマホ」といわれるようになっていった。

 さわることで操作ができるから、その機械との一体感も増すはずだし、情報と直接触れる感覚になるから、情報の意識への浸透度も高くなると、スマホを持っていない人間からは見えていたが、たぶん登場から10年も経たないうちに「スマホ依存」という言葉まで一般的になった。

 これだけ、急速に浸透し、生活を変える商品は、これで最後かもしれないとは思う。

 今は、あまりにも当たり前に存在するのだけど、iPhoneの登場から、まだ20年も経っていないことを考えると、改めて、とんでもないことだと思う。

iPhoneとシャインマスカットとAI

 その規模を比べてしまえば違うと見られるかもしれないけれど、ぶどう業界のシャインマスカットは、2006年に登録商標されて以来、急速に日本のぶどう業界に浸透し、すでにブドウ=シャインマスカットのようになりつつあるけれど、そこに至るまで20年かかっていない速さも考えると、やはりシャインマスカットiPhoneは似ていると思う。

 そして、その登場した年も一年違いかと思うと、もしかしたら、この20年は、あまり目立たないことも含めて、それまでとは全く違うような変化が訪れて、浸透して、そして定着していったのだと思うし、そのことで、ようやく21世紀が始まった、というように、この時代が過去になり歴史になったときに言われるのかもしれない。

 こうした記事↑によると、AIにもブームがあり、冬の時代もあるのだけど、第3次ブームは、2000年代に始まっているようだ。さらに、生成AIが2020年代に本格的に実用化され出したから、iPhoneと、シャインマスカットと、AIも、同時代に同じような普及の過程をたどったものとして、後世にはまとめて扱われるのかもしれない、などと思った。

 だから、私も含めて、今を生きている人間は、思った以上の変化の時代を生きているのだと少し実感したが、でもそれは怖さも含んだものだと思う。それは、変化に適応できないのではないか、という自分への不安だから、その適応ができる人にとっては、今は楽しい変化の時代なのかもしれない。



(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。




#最近の学び #コンテンツ会議 #シャインマスカット #iPhone #AI
#普及 #マーケット #商品 #新種 #新商品 #スマホ #コンピュータ
#進化 #21世紀 #毎日投稿


記事を読んでいただき、ありがとうございました。もし、面白かったり、役に立ったのであれば、サポートをお願いできたら、有り難く思います。より良い文章を書こうとする試みを、続けるための力になります。