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ラジオの記憶㊵「マッチ(近藤真彦)の冷静な見定め」-------『 JUMP UP MELODIES』

 昼食を食べて、少し休んで、そのあとに妻には昼寝してもらって、食器を洗う。

 その時、TOKYOFMの番組を流す。

 平日は、「ダレハナ」を聞いているけれど、それは習慣のようになってきた。

 ただ、いつの間にか、ラジオでは平日は木曜日までで金曜日は週末扱いになってきて、同じ時間帯でも、金曜日は違う番組を放送するようになった。

 最初はその変化に慣れなかったけれど、今は、この番組を聞くと、金曜日だと改めて感じるようになってきた。


近藤真彦

 この番組のパーソナリティが鈴木おさむで、放送作家や脚本家を辞めるという話はこのラジオでも話していたので、リスナーとしては、この番組も降りると思っていたら、「普通のおじさん」として出続ける、ということを聞いてから、まだもやもやした思いは続いている。

 つまりは、何か納得できない気持ちのままだ。

 それでも、「ダレハナ」を木曜日まで聞いている習慣もあるので、金曜日にこの番組を聞くことも、そのまま慣性の法則のように続いているように思う。

 そして、2024年7月12日には、近藤真彦が出演するのを、当日の番組の中で知った。

 近藤真彦といえば、1980年代に生きていた人間であれば、マッチと言われていたのが、すぐにわかるほど人気があった。田原俊彦と近藤真彦、野村義男の3人で「たのきんトリオ」と言われていた。

 中でも田原俊彦と近藤真彦は、当時の女子の間で人気があって、それぞれ「トシちゃん」と「マッチ」と呼ばれ、大げさに言えば、ファンは対立する派閥のようになっていたような記憶まである。

 その後、レースに力を入れたこともあり、芸能界のベテランではあったけれど、トップクラスの人気が続いていたかと言えば、やや疑問符がつくが、それでもずっと「マッチ」として、旧ジャニーズ事務所の最年長の時期も長かった。

「マッチ」というニックネーム

 そして、ずっと事務所がつけていたニックネームだと思っていたのだけど、そうではないことが、30年くらい経ってから話題になるところがスターだとは思った。

「マッチ」の愛称を持つ近藤だが、ニックネームの名付け親はジャニー社長ではないという。
 ジャニーズ事務所の合宿所生活時代に、「丸刈りで顔が小さくてひょろっとしていたので、遠くから見ると本当にマッチ棒みたいだった」ことから、周囲から「マッチ棒」と呼ばれていた。
 このため、社長の命名と思われていたが、今回の楽曲に参加している元ジャニーズ事務所所属でベーシストの松原秀樹(56)と明かした。「デビューしていない、合宿所でふらふらしていた僕を知っている松原さんが、マッチの名付け親。いま思えば不思議なニックネーム。ジャニーさんじゃないですよ」
 アッという間に老若男女に浸透した「マッチ」。近藤は「今も『マッチ棒』と呼ばれていたら最悪。37年もってない。『棒』が取れてよかった」と笑った。

(『デイリースポーツ』より)

 この記事↑が、すでに7年前のものだけど、それ自体が話題になるというのが、その当時も注目されている存在でもあったということだろう。

 1980年代に、とてもマイペースに見えた「マッチ」がこれだけ長く芸能界で活動を継続するのは、正直、意外だった。それでも、ずっと所属している事務所を退所したときは、もうこのままひっそりと活動が縮小していくのかもしれないと、思っていた。

「マッチ」の冷静な見定め

 久しぶりに、近藤真彦がラジオで話をしているのを聞いたのだけど、思った以上に芸能活動と、レースの仕事も、監督も活発にしていることを、失礼な話なのだけど、初めて知った。(※以下の近藤真彦氏の発言は記憶を元に書いているので、詳細が違っていたら、すみません)

 もうすぐ還暦になる、という話題から、今も年間60本のツアーをしているのだけど、男性の客が増えてきた、ということについて、近藤真彦自身がごく自然に分析していた。

--若い世代のファンと、昔からのその母親世代のファンがいたのだけど、最近は、その夫も連れてきてくれるようになった。

 おそらく、昔は僕(近藤)のことを敵視していた男の人が来てくれるようになったのではないか。

 何がマッチだ。冗談じゃないよ。俺の好きな彼女がマッチ、マッチ言っていて。

 昔は、そんな感じだったのが、今は丸くなって、うちの近所に奴が来るらしいな、っていう感じで、来てくれる人が多いですね--。


 近藤真彦は、冷静な見定めをしていると思ったし、おそらくかなり正確な指摘なのではないか、とも思った。

 さらには、今もレーシングチームの監督を務めていて、「どうすればF1レーサーになれますか」ということをよく聞かれるけれど、に対して、こうした話もしていた。

-- 今は、EVのカートが出てきている。スピードも速くなってきている。音が静かだから、街の中でのレースできるという可能性も出てきている。だから、優秀であればカートからレーサーの道も開けることもある。それに、ゲーマーからレーサーになる人間も出てきている。彼らに必要なのは、あとは体力だけ--。


 レースが、そんな状況にあることを知らなかった。それだけにカートの世界も保護者が必死に取り組んでいるらしいことも近藤の話で初めて知った。

 そして、7月19日に誕生日で還暦になる。

 その日に武道館でコンサートを開催する話題になったけれど、考えたら、この告知のために、ラジオに出演したはずだった。ただ、武道館で終わりではなく、そのあとにもツアーがあるが、そのことに関しても、かなり冷静な見方をしていた。

--楽曲に関しては、アレンジも変えずに、全部やってる。ギンギラギンにさりげなく。のアコースティックバージョンはいらないし、懐メロでいいじゃん、と思う--。

   それは、完全に観客としての視点だと思った。

ツアーも、ベスト10などを思い出せるよう、ヒット曲だらけにします」とも言っていたし、そこまで考えられるのは、すごいのではないかとも思った。

「マッチ」の論理

 ただ、そのあと独特の論理を展開したのが「マッチ」らしく、エンターテイメントを提供する側の理屈でもあるのだけど、デビューした頃の印象と重なっていた。

--アレンジは同じだとしても、原曲キーで歌わなくちゃいけないルールはない。若い頃は大丈夫でも長く活動したら辛くなる。それが嫌で、30くらいからキーは下げてる。そうなると、そのあとも大丈夫になるというか、気にならなくなると思うので--。

  それは、コンサートは音楽を聴かせる場所であるのは間違いないけれど、長く芸能活動を続けていれば、長年のファンにとっては時間を戻す場所でもあるのを、「マッチ」は知っている発言でもあったと思う。

   若い頃から知っているファンは、原曲のキーのまま無理している声を聞きたいのではなく、いくつになっても、昔と同じように伸び伸びと歌っているように感じる「マッチ」の姿を見たい、という要求に応えるためのプロの姿勢のように感じた。

 それは、いろいろなことがあったとしても、さまざまな経験をした上で身につけた芸能人としての底力があってこそ、なのかもしれないし、元から持っている芸能人としてのセンスの可能性もある。

 個人的には、「マッチ」の凄さについて、やっと素直に見られるようになったのかもしれない、とも思った。



(他にも、いろいろと書いています↓。もし、よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。



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おちまこと
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