読書感想 『望まない孤独』 大空幸星 「支援の本質」
ニュースなどで見て、著者のことは知っていた。
ただ、失礼ながら、相談窓口をつくった大学生、というくらいしか知らなかったし、見た目もさわやかな、若いエリートだと思っていた。
しかも名前が、おおぞらこうき。本名らしい。
だけど、著書を読んで、人は表面的な見た目だけでは分からないことを、また知った。
『望まない孤独』 大空幸星
著者本人は、それほどの強い表現をしてないのだけど、読者にとっては、著者は、かなりハードな家庭環境の中で育ってきて、生きる目標といったこともイメージするのが難しい年月が続いているように見えた。それでも、自分のことを本当に心配してくれる学校の先生に出会った。
こうした話を知ると、どれだけ厳しい環境に育っても、一人でも「本当に真っ当な大人」に会える事がどれだけ大事なのかを、改めて考えさせられる。しかも、その出会いが、著者は幸運に恵まれたが、あくまでも、運不運に左右される理不尽さも、同時に感じる。
その後、著者は、大学に進学し、その上で「ひとり親家庭の子どもたち」の支援を始めることも決めていた。それは、やはりすごいことだと素直に思う。
そこから、その相談窓口を、より有効な場所にするために、様々な工夫を重ね、多くの相談を受けられるようにし続け、2年で、成果を出している。
それは、本当に難しいことを、実現させていると思う。
支援の問題点
ここまで成果をあげられたのは、実際に支援に携わっている人間にとっては、耳の痛いことも指摘されているが、これまでの「支援の問題点」を、当事者として身に染みるように分かっていたからではないだろうか。
例えば、その問題点の一つは、「児童訪問援助事業」を利用しようと、子供の頃に思ったときに、そこで見たのは「利用件数1件」という現実だった。
相談窓口があるのは、もちろん重要だが、そのサービスが利用しやすいかどうかが、さらに大事なことになるのは、他人事のようには言えないにしても、支援側が、おそらく、現時点では、その本質を十分にわかっていないのだと思う。
理解の不足
現在、細々とながら支援に関わっている人間の一人として、かなり反省が必要なことでもあると思うが、やはり現状に対して、また、困窮している当事者への、理解の不足があるのだろう、とは改めて考える。
それは、社会構造そのものへの指摘に及ぶ。
そして、著者は、孤独対策を立案し、永田町・霞ヶ関を走り回り、働きかけ、そのことが、世界で2番目に「孤独担当大臣」が誕生するきっかけになったと言われている。
それは、こうして他人事のように語るのは無責任で失礼だけど、やはり、すごいことだと思う。
おすすめしたい人
自分が今、悩んでいたり、困っていたりするのは、自分のせいだと思っている人。
支援の仕事や、役割を担っている人。
今の社会は、なんだかおかしいのかもしれない、と思っている人。
特に、そうした方々におすすめしたいと思っています。
(こちら⇩は、電子書籍版です)。
(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでもらえたら、うれしいです)。
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