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「季節の変わり目と政局と感染」。2021.9.11.

 半袖か、長袖か迷って、曇っているけれど、なんとなく蒸し暑いので、半袖を着て、上着だけは持って、出かける。

 午前9時前。出かける時に、妻が道路まで出て、見送ってくれていたら、私が歩いていく方向とは逆に、家に近づく方へ知り合いが歩いていくので、妻は、そちらへも手を振っている。

 道路を歩く女子高生は、セーターを着ている。男子高校生は、ポロシャツで何人かで歩いてくる。もう少し歩くと、もっと大勢の女子中学生が、オレンジやピンクのTシャツを着て、かたまって、小さいスーパーの前で、何かを話している。

 水をまく年配の女性。美容院の前で掃除をするスタッフ。病院の前で2人待っているけれど、一人はかなり若い。

「1000円カット」店の前で、一人の中年男性が待っている。腰に手を当てて、立っている。違和感があったのは、今まで、ここで待っている人は、必ずスマホを見ていたからだった。

 商店街に、「2020」の数字が入ったオリンピックのフラッグが、まだ下がっていて、いつまであるのだろうと思いながら、「レガシー」などという言葉が頭に浮かんで、微妙に嫌な気持ちになる。

強い冷房

 駅に着いたら、電車が行ったばかりで、ほぼ誰もいない。
 そのあと、だんだん人が集まってきて、あっという間に10人以上になった。

 このところ、マスクをしていない人は、ほとんど見なくなったことに気がついた。

 電車が来る。
 乗ったら、少し窓が開いていて、冷房が強めに効いている。

 微妙に寒い。こんなに思い切った冷房をためらいなく入れていることに、ちょっと気持ちがひく。

 そんなに暑いのだろうか。誰が決めている基準なのだろう。

 珍しく、一人置いて座れるくらいの空席ができたので、座る。
 次の駅で、人が乗ってきて、隣に座った。去年だと立って、さらに「距離」をとっていたが、今は、立つ気力もなくなって、座ったままで、終点に着いた。


スポーツニュース

 終点に着いて、みんなが降りる。

 気をつけないと、体がぶつかるから、すぐに乗り換えの電車が来てしまうのに、小走りさえ出来ないくらい、周りの人の「ゆっくり」で固められていて、気持ちは焦っている。

 30メートルくらい先、自分が次に通る改札へ、ものすごいダッシュで向かっていく男性がいて、あんなスピードは、この場所では初めて見た気がしたけれど、それで、自分も人の間をぬって走り始める

 次の改札に入って、急角度で左に曲がり、今日も一人だけアルコール除菌のボトルを押して、それから階段を降りたら、出発のメロディーが流れて、止まって、ホームに降りた時に、諦めたら、閉まりかけた電車のドアが再度開き始めたので、本当に閉まりつつあるドアに駆け込むように乗った。

 こんなギリギリな乗り方も、本当に久しぶりだった。

 車両の窓は1カ所だけしか、しかもほんの少ししか開いていなくて、ちょっと怖い。走っている電車の窓から見る空は、曇っているけど、気温は高めで蒸し暑い。変な天気。

 電車内は静かだった。
 セキの声が響く。

 次の駅に着いて、人が減って、距離がとれる空席ができたので、久しぶりに座る。

 ドアの上の小さな画面では、スポーツニュースが流れている。
 それだけ見ていると、オリンピックも終わったあとなので、より、以前の「日常」に戻ったような気持ちになる。

 座ったら、この車両の窓は2カ所開いているのに気がついた。

車内広告

 自分が座っている、後ろ側の窓を開けようと思っていたが、距離を置いて、隣に座っている人のことが気になって、開けられないまま、電車は走り続け、正面を見たら、窓が開いていて、そこも空席が多くなっていたので、立って歩いて、そちらに移って座る。

 後ろから風が入ってくるのを感じて、ちょっと安心する。

 電車内の広告は、隅っこは、かなり空いている。
 随分と、「空き」が増えた。

 広告の内容は、エステと美容整形が多く見える。

政局の報道

 そんなに、感染が劇的に減少したわけでもない。「自宅療養」とも「自宅放置」とも言われてしまっている、感染しても、入院できない人たちが、10万人以上いたはずだったのだけど、そんなに大きく減ったかどうかも分からない。

 それなのに、自民党総裁選、という「政局」の話ばかりを、嫌でも聞くことになっている。申し訳ないのだけど、うれしそうに報道しているように見えてしまう。

 そんなに重要なことだろうか。

線路ぎわ

 駅で降りて、改札を出て、階段を降りて、線路ぎわを歩く。

 知らないうちに、黄色い花が咲いている。

 そういえば、この1年半のコロナ禍の間でも、植物は変わらず成長し、花を咲かせて、そして、こういう線路ぎわの茂みは、妙に生々しくて、考えたら、都会なのに、こういう場所は、人の手が入りにくく、自然に近いものがあると思えた。

 ここは、季節の変わり目を教えてくれるようだ。

 そこから少し歩いた、公共の建物では、コロナワクチンの接種が、当たり前だけと、今も続いている。そのためにスタッフが案内のために立っているけれど、何人も立って人を使うよりも、目立つようにノボリや看板を立てておけばいいのに、と思うのは、素人考えなのだろうか。

 トイレに入ったら、洗面台のところに、ビニールガサが立てかけて、忘れられていた。

ワクチン接種

 午後4時過ぎに用事が終わって、また朝降りた駅へ向かう。
 陸橋のような場所に、「ワクチン接種」の大きい文字が目立つ「立て看板」のようなものがある。
 
 朝方見たワクチン接種のことかと思ったら、これは、民間のクリニックのものだった。

「本日、ワクチンご案内できます」。
「モデルナ製」。
「接種券なくても、預かり金で接種可能です」。

 そんな文字が並ぶ。


 空は曇っていて、何となく蒸し暑い。
 変な気候。

 ずっと空模様は見ていないけれど、今日一日、ずっとこんな天気だったのかもしれない。

小さな画面

 電車に乗る。
 窓は開いていない。

 静かな車内。
 
 駅に止まり、また進むを、淡々と繰り返す。

 ずっと車内は静かだった。

 ドアの上の小さな画面では、美容の情報が流れている。
 そのあとは、それまでの内容と区別がつかないけれど、美容家電のCMが始まる。それは、髪がきれいに仕上がるドライヤーのことだった。
 さらに、男性用の6枚歯の電気カミソリの映像が流れ、次は、キッチンに置かれる家電のCMに変わったあたりで、降りる駅に着いて、ドアが開く。

 そうした映像を見ていると、「日常」は、コロナ禍の前から、切れ目なく続いているようにも、感じる。

花の名前

 家に帰っても、線路ぎわで撮影した黄色い花の名前は分からなかった。
 それだけ、地球上には、植物の種類が多いことを、改めて感じた。





(2021.9.12付記 朝起きたら、妻が、「これはマツヨイグサではないか」と図鑑と、一緒に見せてくれました。同時に、妻のお姉様より、「マツヨイグサかも」というメールもいただきました。見出しの写真の花の名前は「マツヨイグサ」だと思います)。


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