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蒔倉の短編小説

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私が書いた短編小説を集めたマガジンとなっております。 字数はだいたい1500字〜3000字くらいです。お題にそって書いた作品も含まれます。
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#シロクマ文芸部

居場所。(後編)【短編小説】

居場所。(後編)【短編小説】

今回の小説は上記の短編小説『居場所。』の後編となっております。

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 朧月が照らす夜。夜行バスの道中、休憩時間のパーキングエリア。微かな街灯の明かりの下、虚ろな目をしてベンチに座るケンに1人の男性が近づいてきた。男性はケンの様子を伺うように声をかける。

 「あの、大丈夫ですか?バスで酔っちゃいました?」
 ケンの顔を少し覗き込むように軽く腰を落とした。
 「いえ、大丈夫です。少し考え

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変わらないもの。【短編小説】

変わらないもの。【短編小説】

今回も青ブラ文学部さんのお題【春めく(活用形も可)】とシロクマ文芸部さんのお題【閏年】を合わせて短編小説を書いてみました。

三羽さんの『イチオシ』企画にも参加させていただきました。 #itioshi

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 閏年の2月29日、その閏日がミサキの命日だ。
 たったの4年に1度しか訪れない大切な命日。

 ケンとミサキの出会いも春だった。あの頃は季節が巡る

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もし君が鳥だったら。【短編小説】

もし君が鳥だったら。【短編小説】

今回は青ブラ文学部さんのお題【鳥だったら】とシロクマ文芸部さんのお題【梅の花】を合わせて短編小説を書いてみました。

今回もお題にそって春来の日常を描いたシリーズもの『春夏秋冬・四季折々』をお楽しみ頂ければと思います。

〈登場人物〉
上都  春来
〈登場猫〉
???

暖かい春の日。
綺麗な梅の花に見とれて歩いていると、そこには耳をピクピクと動かし尻尾を丸め薄い桃色の毛をした君がいた。君は梅の木

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