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小川山ロックトリップ Vol.2
クライマーにとっての遊園地、またまた小川山に3日間フリークライミングをするために行ってまいりました!
前回はセレクションルートと呼ばれるスリル満点のマルチピッチクライミング
をしましたが、今回もマルチピッチクライミングはもちろん他にも魅力がたくさんあるルートに挑戦してきました!!
前回の小川山ロックトリップの様子はこちらからご覧いただけます!↓
さて!今回は3日間もあるということで、思う存分クライミングに浸るべく一生掛かっても登りきれないほどのルートがある中で有名どころを3本登ってきました!
前回と違うルートというのは自分の中で未知の領域になり、冒険的な側面が強くワクワクが倍増します。
それではDay1からClimb on!!!
Day1
最初に小川山の麓にある【廻り目平キャンプ場】へ!
ここを起点に3日間を過ごします!!
クライマーが集う場所ですが、直火ができるのでキャンパーの方にも人気のスポットです!
薪は買うことも可能ですが地面に落ちている枝などを集めて薪にすることもでき、キャンプも好きな僕にとっては本当に遊園地の様な場所でした!!
テントを貼ったらすぐにクライミングに出発!
初日は移動時間が含まれていて時間がなかったので、キャンプ場の近くにある
【親指岩】と呼ばれる岩の超有名なルートへ!!
初日から刺激的なルートです!
ルート名は
小川山レイバック
小川山で最も有名と言っても過言では無いショートルートです。
美しくスパッと裂けた岩の亀裂(クラッグ)を登っていくルートで
写真のようクラッグに手を掛けて足を張る【レイバック】という登り方や、亀裂に手を捻じ込む【ハンドジャム】という技術も駆使して登ります!
亀裂には【カミングデバイス】というギアを差し込み自分に付いているロープをかけて【グラウンドフォール】(墜落)をしない様に、支点を取りながら登ります。↓
かなり強度の高い登り方になるのでペース良くリズミカルに登らないと
腕の筋肉に乳酸が溜まり、握力がなくなり落ちてしまいます。
これがなかなか難しくかなりハードなルートでした。
無事に登れたものの、初日からこれでは明日が心配です……。
恐るべし、小川山!!
さてさてキャンプ場に戻り夜ご飯!!
直火はテンションが上がります!!
この日は簡単に焼肉をしていっぱい食べて次の日に備えました!!
Day2
この日はマルチピッチクライミングをするために【屋根岩第3峰】と呼ばれる岸壁に向かいます!
(マルチピッチクライミングの詳細は上記小川山ロックトリップからご覧ください)
今回登るルートは
南陵レモンルート
5ピッチのルートで前回登ったセレクションルートと同じくらい人気ルートです。
しかしこのルートも基部に至るまでは、登山道から外れなければならないので足場の悪い道とクライミングギアやロープの重みが身を削ります……。
今回は、バディの方とトップとフォローを交代しながら登るツルベ方式で登ります!こうすることで体力的にも精神的にも余裕が生まれるので安全です!
1ピッチ目はスパッと裂けた美しいクラッグです!
このセクションはバディがトップを行ってくれたので僕が後からフォローでついていきます!
最初は「掴みどころがなさそうだし、またハンドジャムか」と思っていましたが、意外にも周りのホールドがしっかりとあったのでハンドジャムをしなくても
スルスル登れました。
1ピッチ目でもなかなかの高度感です!!
最高です!!
2ピッチ目は【トラバース】つまり横移動が伴うセクションで僕がトップで登りました。
このセクションは中間支点を取れる場所が殆どなく、激しく【ランナウト】をしており足場は良いものの手で掴むホールドが薄く、高度感と緊張感が襲います。
(ランナウトとは、中間支点の数が少なく落ちた際に大きく振られる可能性がある場所)
2ピッチ目を登り切ったら終了点に支点を組んで安全を確保。
フォローで登ってくるバディを【ビレイ】します。
(ビレイとは万が一バディが落ちた際にロープを引き留め墜落を防止させること)
詳しい支点の構築方法は長くなるのと安全面の関係で割愛します!
(初めてやる際は事前に講習や山岳ガイドさんの指示を受けてから行いましょう)
3ピッチ目には2つのルートがあり、難しいルートを行く予定でしたがギアが足りなかったので簡単なルートへ変更。
比較的登りやすく少し休憩もできました。
このセクションはフォローで登っていきグングン高度を稼ぎます!!
天気が抜群に良くて景色も最高です!!
精神的にも体力的にも疲れた体に嬉しい景色です。
4ピッチ目は僕が再度トップをいきました!
ここまで来ると鎖場に近いものを感じますが傾斜があるので気は抜けません!
4ピッチ目の終了点で再度支点を作り安全を確保してフォローの人を待ちます。
終了点で支点構築をした後にロープをひっぱりあげるのですがこれが実は大変。
ロープ自体が重く、それに合わせてルート上の中間支点や岩で摩擦が生まれ、
さらに重くなります。
そのためクライマーはロープの流れを見ながら出来るだけ摩擦を減らし、安全な中間支点を構築しなければなりません。
常に次のホールドを探しながら、安全な中間支点を組める場所も探す。
終了点で複雑なロープワークをこなし、ギアを活用し安全確保を行いバディを待つ。
2人1組なので自分だけでなく大事なバディの命もかかっている為、
精神的にも身体的にもかなりハードです。
そこまでしても、なぜかまたクライミングをするために山に向かってしまう。
不思議です……。
よく「何でそんなところに登るのか?」と聞かれることがあります。
たしかに儲かるわけでもないし、登ることには意味なんてないのかもしれません。
しかし、とても報われます。
この景色を見れば。
5ピッチ目、トレッキングでは到達できないクライマーのみが見る事を許された景色があります。
そこには今までクライミングジムで指の皮が裂けるほど練習したり、関節が痛くなったり、腕や足が傷だらけになりながらも本気でここまで来たという
達成感があります。来てよかったと思わせてくれます。
クライミングは今まで登れなかったルートや行ったことのない未知に何度でも挑戦したいと思わせてくれて、恐怖に打ち勝つ強い心をくれます。
そして何より一緒に登った仲間と喜び合えます。
だから僕は何度でも登るのだと思います!
帰りは絶景を背に懸垂下降!!
前回登ったセレクションルートの頂上、屋根岩第2峰が夕日に染まって美しかったです。
こうして無事下山しDay2を終了!
明日は最終日!
体の疲労もピークに達していますがご飯をちゃんと食べて最終日に備えます!
Day3
最終日はゆったりとショートルートクライミングをしました。
この日行くのは【兄岩】と呼ばれる不思議な名前の岩です。
ちなみに【弟岩】というのもあり、兄弟のように巨大な岸壁が寄り添いあって
いることからこの名前がついたのかな〜?と勝手に推測。(実際は謎)
さて!キャンプ場からすぐのところに目的の場所があるので
起きてすぐ、疲れた体にギアを纏っていざ出発!!
最終日登ったルートは
タジヤンIV
このルートを田島さんという方が初登してこの名前がついたそうです。
クライミングルートには全て名前がついており、ルートの初登者が名前を自由につけられるようになっています。
ルート名を見てるだけでも面白いので皆さんも是非調べてみてください!
傾斜はこんな感じでほぼ垂直、手足共にホールドがほとんどなく登るのが大変でしたが高さもあり高度感が最高でした。
恐怖に打ち勝ちながら次の一手を出す。
そんな集中した瞬間がたまりません!
足場がなさすぎて大開脚!かなりしんどかったですが、
Abisko Mid Summer Trs のストレッチ性には助けられました。
完全に疲弊した状態でしたがなんとか登りきりDay3は終了しました。
3日間の小川山ロックトリップを経て
更に登攀スキルの向上ができ、クライミングの楽しさを再確認できました!
FJALLRAVENのウェアもハードな環境に対応してくれたので大満足な3日間でした!!
登山には様々な登り方があり、歩いて登るのも、岩に這いつくばって登るのも、沢を遡行して登るのも、その全てが素晴らしいものです。
山に囲まれた日本だからこそ観れる美しい景色と冒険を求めて、また山に行きます。
それでは、また次の冒険でお会いしましょう!
FJALLRAVEN by 3NITY 新宿小田急ハルク 小林