〇〇と僕『は』~バスケットボールと僕~
小学6年生。
育ち盛りを口実に食べたいものを食べたいだけ食べた結果、はち切れそうな短パンとTシャツ。
横には育つが上には伸びず。
前ならえでは列の先頭で腰に手を当て仁王立ち。
とほほ。
そのまま中学1年生。
入学式も終わり、初めてのホームルーム。
背が伸びても大丈夫なようにって、ぶかぶかの制服を着てヘラヘラ笑う小さなデブ。
しかし、担任の先生から衝撃の一言が。
「充実した3年間過ごすため、うちの中学校では必ず何かしらの部活に入ってもらいます。」
と言われましても、全校生徒約200人の小さな中学校。
ほとんどが運動部。
一応パソコン部みたいなのはあったが、活動内容は不明。
あーあ。僕は動きたくないのだよ。
とほほ。
しかし校則を破る訳にもいかず、陰鬱としたオーラを引きずりながら部活見学へ。
サッカーは苦手。
野球は今は大好きだが、当時は全く興味なし。
運動会の徒競走では6年間ビリだったため、陸上部は論外。
ってな訳で、候補は卓球部とバスケ部。
まず卓球部。
全員がヘラヘラ。
おしゃべりしながら温泉レベルの卓球を楽しむ先輩たち。
緊張感ゼロ。
出来るだけ動きたくない、辛いことはしたくない僕にとっては最高の環境。
しかし、その時僕に芽生えた感情は「なんだこいつら。」
こっちだって何にもしたくねぇんだよ!
仕方なくやるんだよ!
お前らもそうかもしれんがな、自分で決めて卓球部に入ったならちゃんと卓球やれや!
よし、次はバスケ部。
体育館に近付くにつれ大きくなる靴と床がスれる音。
恐る恐る扉を開けて、いざ体育館。
モワッとした熱気、ピリッとした空気。
目に飛び込んできたのは、壮絶な光景だった。
笛が鳴ったら猛ダッシュ。
休む間もなく猛ダッシュ。
全員汗だく。
膝に手を付き肩で息をする先輩たち。
それでも容赦なく笛を吹き続ける先生。
まさに地獄。
しかしねぇ、なんだかねぇ、みんな輝いているねぇ。
どうせやるならカッコいい方がいいねぇ。
よし、決めた。
僕、バスケ部に入る。
そんで翌日、意を決してバスケ部に入部。
早速鳴り響く笛。
走る僕。
また鳴り響く笛。
よろける僕。
命かながらフットワークを乗り切れば、次はひたすら声出しの時間。
「ガンバー! ナイスシュート! ガンバー!」
もちろんボールなんて触らせてもらえない。
先輩たちのように輝けるのは、一体いつになるやら。
とほほ。
だらだら、うだうだ、スポーツとは無縁の生活を送っていたため、まぁ、筋肉痛なんてもんじゃない。
お尻が痛くて便器に座るのも激痛。
もうこりゃぁケガだよ、ケガ。
でもねぇ、やるって決めたのは他でもない、僕だよ。
やるって決めたことはやらねばならん。
母ちゃんにそう言われた。
「ガンバー!!!」
ってやってたら、文句を言わない姿勢と誰よりもデカい声を評価され、気付けばキャプテン。
毎日飛び跳ねているうちに身長も伸び、ぶかぶかだった制服は3年生になる頃にはつんつるてん。
皮下脂肪は消えてなくなった。
3年間本当に楽しかった。
なんとなく始めたバスケットボールだったが、いつしか大好きになり、結局高校でも続けた。
チームは弱かったが、バスケットボールを通じて多くのことを学んだ。
そしてそれが今の僕を作り、仕事にも活きていると思う。
よし、今日も働くぞ。
「ガンバー!!!」
って雨だよ。
とほほ。
『WANDS / 世界が終わるまでは』を聞きながら
FJALLRAVEN by 3NITY TOKYO 池守
『〇〇と僕』←過去の記事はこちらからお読みいただけます!是非!