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〇〇と僕『ふ』~富士山と僕~

おはよう。
薄いインスタントコーヒーを飲みながら、日課の朝ドラ。
オダギリジョーがかっこいい。
朝ドラが終わったら、朝イチを横目で見ながら出勤準備。
お弁当、コーヒー、鍵、お財布。
バッチグー。
目をかいて、鼻をかんだら出発進行。

家を出て10メートルほどで右折。
そこから駅に向かってぐぅーっと坂を下るため、パァッと空が開ける。
天気が良くて空気が澄んだ日には、その開けた空に富士山が現れる。
おお、ありがたや。


初めて富士山を見たのは、ライブツアーで大阪から東京に帰る高速道路。
小汚いカプセルホテルであまり眠れなかった様子のギタリストけんちゃんが、血走った目でアクセルを踏み込む。
その隣で昨晩しっかりと寝た僕がうとうとしていると、「ちょっと!」と起こされた。
「いや、寝てないよ。」
「寝てたよ。」
「いや、寝てないよ。」
「寝てたよ。って、そんなことより、見てよ。富士山。」
斜め前を見ると、雲ひとつない空と富士山。
おお、ありがたや。


その数ヶ月後、バンド活動終了。
やることがなくなり毎日だらだらしていたところに、よく共演していたバンド仲間から連絡が。
「一緒に富士山に登らない?」
「行く!けんちゃんも連れて行く!」
ってな感じで、僕とけんちゃんは富士山に登ることになった。


オッケー、グーグル。
富士山、登山、持ち物。
ってやるとズラッと出てきた必要な物。
ほとんどを持っていない。
しかし、すべてを揃える金はどこにもない。
持前のガッツと根性でカバーできそうな物は後回し。
本当に無いと困るものだけを買い、いざ富士山。やぁー!!


そんで当日、新宿に全員集合。
ジーパンと綿シャツにナイキのスニーカー、小さなリュックサックを背負ったけんちゃん登場。
さすがだぜ。
仲間と合流し、バスに乗り込み、5合目に到着。
5合目で待ち合わせの仲間も1人いたので、彼を待ちながらうねうぬと準備体操。
するとイケメン外国人が2人近寄ってきた。
「お前らこれから登るのか?」
「はい。そうです。」
「じゃあ、これやるよ。」
「おお、ありがたや。」
そうして、僕とけんちゃんは山頂の焼印が入った木の杖を手に入れた。
大阪から5合目までヒッチハイクで来た仲間とも無事合流。
いよいよ、登山開始。
やぁー!!

そんで僕たちは富士山に登った。
バンド活動中にやっていたトレーニングは全部やめていたため、多少体力に不安はあったが、なんとかなった。
イメージしていた山登りとはちょっと違ってかなり単調な道のりだったが、仲間とワイワイ話しながらの登山は楽しかった。
降りてきて、みんなで飲んだビールは最高に美味しかった。
日焼け止めを塗らなかったせいで、翌日顔の皮がボロボロ剥けた。
けんちゃんのジーパンは、お尻に大きな穴が開いた。
要するに、富士山は楽しかった。


最近は空気が澄んでいる日が多く、出勤途中に見える富士山はよりくっきりと見える。
見る度に、あの頂上に立ったんだなぁと思う。
まだ登っていない人には、是非登ってみることをおすすめする。
登ったことがあるのとないのでは、日常の中で見た時のありがたさが変わる気がするのだ。

さあ、今日も頑張ろう。
今朝は澄んだ空気のおかげで、いつになく綺麗な富士だった。
おお、ありがたや。


『くるり / ワンダーフォーゲル』を聞きながら
FJALLRAVEN by 3NITY TOKYO 池守

『〇〇と僕』←過去の記事はこちらからお読みいただけます!是非!


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