海と山。心、健やかに。
海が好きだ。
寄せては返す波の音。
水面が輝く光の粒子。
海にいるとき。
全身を目一杯につかって、五感を開く感覚がある。
実家から、徒歩10分のところに海があるわたし。
楽しいことがあったとき。
それ以上に、自分では抱えきれない悩みに出会したとき。
幼いころから、事あるごとに海へ向かった。
先日、久しぶりに下田の外浦海岸へ出かけた。
平日、冬の外浦海岸。
あたりを見渡しても若いカップルが1組ほど。
貸切に近い海。
穏やかに奏でる波の音以外は、ほとんど無音。
「このまま、目の前のエメラルドグリーンに飛び込みたいなあ」なんて思いながら、ただひたすら海を眺めていた。
海に行った翌日。
心も身体も軽く、気合いが入る。
それは、これまでに何度も経験してきたことだ。
逆に私は、自然を浴びない日々が続くと、とことんだめになる。
物を落とす。起きれない。過度にお腹が空く。
ぼーっとする。思考が停止する。
そんなとき、自然を浴びに行けば良い。
この26年で何度も痛感した。
しかし未だに、自分の欲求を気づかないふりをしてしまうときがある。
そして空回りをする。
日々過ごしていると、「頑張ろう」という言葉を耳にする。
でも、頑張れるかどうか。それは言葉ありきで始まらない。
自分の心と身体が頑張りたいかどうか、選択をするものだと思う。
そう考えると、自分自身がいかにして、頑張りたい心身状態であるかどうか。そこに目を向けたらいい。
***
今日、まちの人と山道を散歩した。
雨上がりの山の匂い。
ぬかるんだ、土を踏む。
「キクラゲ発見!」
「もう少しでタケノコの時期だ」
そんな会話をしながら一歩、いっぽ足を踏む。
山から街を見下ろすと、そこには両手に包めてしまいそうな、ほんの小さな家々がある。
ああ。明日はきっと、良い日になるぞ。