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「功には禄を、能には職を」は現代社会で通用する?

タイトルの「功には禄を、能には職を」という言葉は、徳川家康が掲げた言葉だ。

「功(成果)」を挙げた者には「禄(金銭的報酬)」を与え、「能(能力)」を持つ者には「職(役割)」を与えるというシンプルな組織運営の原則だ。

組織のパフォーマンスを高めるうえで重要だと思うが、これを現代の企業でそのまま実践することは極めて難しいのではないかと思い、記事でまとめてみた。

現代の企業で直面する課題

この原則を実行するうえで、特に次の3つの課題が挙げられる。

1. 成果に対する「禄」が限られている

多くの企業では、固定された給与テーブルや年功序列の文化が根付いているため、成果に対する金銭的報酬が限定的である。特に日本企業では顕著だ。
どんなに成果を出したとしても、一定の給与テーブル内での給与・賞与になる。長期的には昇格などで報いているといった意見もあるかもしれないが、短期的には間違いなく限定的だ。

2. 能力を発揮する機会の不足

能力があっても、それを生かせる職務やプロジェクトが割り当てられないケースが多い。
若手を全社横断プロジェクトにアサインするといっても、若手であればあるほど、「社内調整業務」や「御用聞き」として扱われてしまう、そしてそのプロジェクトに時間を費やし、結果として能力が磨かれないまま、無駄な時間となってしまうことも少なくないと思う。

3. 年功序列が妨げる役職の割り当て

能力があっても、年次や社内の暗黙のルールが昇格を阻み、役職が与えられないという状況が存在する。特に、現場で成果を出している若手社員ほど不満を抱きやすい構造だ。
自分より上の役職者を指して、「あいつは○倍の給与もらってるのに。」みたいな不満は昔からよく聞く。

「成果には仕事を」という現実的なアプローチ

結局のところ、現代の企業で「功には禄を、能には職を」を完全に実現するのは難しく、できることは「成果には仕事を」という形で応用することではないかと思う。

この考え方には一長一短があるが、適切に運用すれば組織と個人双方にメリットをもたらすだろう。

長所:成長機会の提供

「成果には仕事を」の最も大きな利点は、成果を挙げた社員に新しい挑戦や経験を積む機会を提供できることである。たとえば、優秀な若手社員を全社プロジェクトに参画させることで、視野を広げさせると同時に市場価値を向上させることができる。成長を望む社員にとっては理想的な環境といえる。

例えば、コンサルタントなどはわかりやすい。
成果を出す社員には次々と新しい案件が割り当てられ、やりがいを感じながらスキルアップできる。 興味のある分野の案件を優先的に任されるため、仕事へのモチベーションも高まるだろう。

短所:負担が集中するリスク

一方で、「成果には仕事を」が形骸化すると、「できる人に仕事が集まる」という悪循環を生むリスクがある。成果を挙げた社員が過剰に業務を押し付けられ、燃え尽きてしまうケースも少なくない。この時、上司は本人がやる気があってやっていると思っている場合もあり、タチが悪い。

「成果には仕事を」を活用するための条件

まとめると、「成果には仕事を」を有効に活用するには、いくつかのポイントを押さえる必要があるのではないかと思う。

1. 成長に直結する仕事を割り当てる

単に仕事を与えるのではなく、社員の成長や市場価値の向上につながる業務を割り当てることが重要。これには、本人の意向やキャリアプランを考慮する必要があるので、十分な対話をする必要があるだろう。

2. 適切な負荷配分

成果を挙げた社員に仕事を任せる際には、業務量が過度に集中しないように配慮する必要がある。適切なサポート体制やリソースの提供が欠かせない。

3. 評価と報酬の一体化

成果に対する評価を適切に行い、それが報酬やキャリアに反映される仕組みを整えることが不可欠である。単なる「仕事の追加」で終わらせないことが信頼構築につながる。
人事制度で決まっている報酬の枠があるのであれば、仕事を振る相手が報酬の枠に対して許容できる仕事量に留める必要があるだろう。

まとめ:現代における「功には禄を、能には職を」の実現可能性

「功には禄を、能には職を」という徳川家康の言葉は、組織運営の理想像を端的に表している。しかし、現代の企業環境においてこれを完全に実現することは難しい。

現実的なアプローチとして「成果には仕事を」を取り入れることは有効であるが、それには成長に直結する仕事の提供、適切な負荷配分、評価と報酬の整合性といった条件が伴うべきである。

成果を挙げた社員にただ仕事を押し付けるだけでは、優秀な人材が離れてしまうリスクが高まる。社員の成長やキャリア形成を支援する仕組みがなければ、「成果には仕事を」は単なる都合の良い言葉に終わってしまうだろう。

いずれにせよ、成果に対してどんな報酬が欲しいか、相手との密な対話が不可欠ではないかと思う。

企業が個人の能力を最大限に引き出し、組織全体のパフォーマンスを向上させるためには、この言葉の本質を見極めた上で、それに適した形で運用することが求められるだろう。

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最後に徳川家康関連の書籍紹介です。

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