【読書メモ #4】小説編集者の仕事とはなにか?
専門職ではなく、総合職と呼ばれる職種で働いているので、専門職(スキル)とは何が違うんだろうと考えることがある。
その中で、総合職・事務職近いようでスキルが求められる編集者という職業について知りたく、本書を読んでみた。
今回は、
「小説編集者の仕事とは何か?」です。
(唐木厚 星海社新書)
感想
まず、本書は編集者のなかでも、小説編集者についてを取り扱った書籍だ。松岡正剛の編集工学のような編集の技術に焦点を当てたものではない。
そういった意味では、知りたかったことは得られなかったが、小説編集者という仕事の特殊性を知ることができた。
小説編集者とはプロデューサーであるという表現が最も的確に仕事内容を表した言葉なのだろう。
本書序盤では、上記のような小説編集者の定義の話がメインである。
中盤から後半は筆者の体験記となっており、ふむふむとは思うものの私自身小説をあまり読んでこなかったので、共感できる部分が少なかった。
具体的な作品名・著者名がたくさんでてくるのだが、そういう風に世間に認識されている、筆者はこう考えているのかと、文字を眺めるしかできなかったのが悔しい。
この辺りの教養も身につけていきたいと感じた。
終盤では、若者の本離れの話題にも触れている。おじさん構文の対比して、若者の文字への考え方について下記のように言及している。
若者の本離れの文脈でこの意見は聞いたことなかったなと勉強になった。
確かに本離れは起きているが、文字離れは起きておらず、むしろ過去より遥かに文字に触れる機会が多くなっていると思う。(ネットメディアの記事、仕事のメールのやり取りなど)
改めて考えると、メールなど従来からある連絡手段は書籍のような文体で書かれているが、Slackなどのチャットツールは、SNSに近い文体になっている気がする。
そして、Slackが馴染むのはIT業界など若い人材が多い業界なので、やはり文体と文字離れは関わりがあるのかもしれない。
小説編集者は作家のプロデューサーであるという議論から始まり、最後には作家ではなく小説の業界に対する課題提起(ある種のプロデュース)で締めくくる書籍であった。
新人小説編集者から編集部長・引退後の業界への貢献までの、生涯を通じた小説編集者としての仕事がわかる、まさに「小説編集者の仕事とは何か?」を表す書籍であった。
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