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【読書メモ #39】余白思考を考える
社会人になりたての頃を過ぎ、仕事に慣れてくると、予定を業務でいっぱいにすることが仕事みたいに思ってしまう人がいると思う。
私は違う、と思う人も予定が空いていると不安になるのではないだろうか。
現在、仕事をしている人のほとんどが、
予定がないこと=不安 と思うのではないだろうか。
今回紹介する書籍は、こういった予定を詰め込みすぎることがよくないのではないか、と新しい視点をくれる書籍である。
「余白思考」は、論理やデータに頼るだけでは解決できないビジネスの課題に向き合うため、「余白」の重要性を提起する書籍である。
本書では、「余白」をただの「空白」ではなく、「価値を引き立てるための空間」や「新たな可能性を秘めたスペース」として捉え、その意義や活用法を具体例とともに解説している。
本書での「余白」は下記のように述べられている。
「何かを書いたあとに残ってしまったスペース」ではなく、「書かれている何かを引き立たせるために、あえて余らせているスペース」や「あらゆるものが入る可能性にあふれた空間」「本当に大事なものを守るために、あえて余らせている時間や力」
感想
本書は、ビジネス現場で感じる「行き詰まり」の原因を「余白の不足」として見直し、その価値を再認識させてくれる一冊である。以下に印象的なポイントを挙げる。
1. 「余白」の再定義
余白とは単なる「残ったスペース」ではなく、「意図的に余らせた空間」や「柔軟性を確保するための余剰」として定義されている。この視点は、仕事や人間関係における行動を見直す上で非常に有益である。
2. 部署間の調整における余白の重要性
業務分担が明確化されすぎることで部署間に余裕がなくなり、結果として全体最適を阻害しているケースは多い。
本書の指摘する「余白がないと人も組織も固くなり、柔軟に対応できない」という洞察は、実務に直結する教訓である。
3. セクショナリズムの弊害
特に大企業では、役割分担が細分化されるほど余白が失われ、結果として全体の効率が落ちるという逆説が生まれているのではないかと私は考えている。意図的に余白を残すことで協力や調整の余地を作り出すことが重要と説明される本書の趣旨にも沿うのではないかと思う。
上司と部下の視点から見る「余白思考」
上司の視点
上司が「余白思考」をいしきすると、部下が自由に考え動けるスペースを作ることに繋がる。
例えば、会議やプロジェクトの進行において、詳細な指示を与えすぎず、あえて「余白」を残すことで、部下が自主性を発揮しやすくなる。また、日々のタスク管理においても、計画に余裕を持たせることで、イレギュラー対応や新しいアイデアの創出を可能にする。
合わせて、上司としてアウトプットは管理する、責任を取ることはとても重要だ。
具体例
部下が提案書を作成する際、詳細なフォーマットを指定せず、あえて「自由に組み立ててみて」と促すことで、新しい視点や独創的なアイデアが生まれる可能性が高まる。
部下の視点
部下にとっての「余白思考」は、忙しさに流されるのではなく、自ら余白を意識的に確保することを意味する。
例えば、予定やタスクを詰め込みすぎないことで、業務全体を見渡す時間を作ったり、突発的な問題にも冷静に対応できる余裕が生まれる。
また、コミュニケーションにおいても、上司や同僚の意見をただ受け入れるだけではなく、適切な「間」を作り出すことで、より良い対話が可能になる。
具体例
定例会議の前に15分の空き時間を確保し、資料を再確認するだけでなく、議題に対する自分なりの意見を整理する時間を持つことで、より有意義な会議参加が可能となる。
目の前の業務から離れて、上司の視点で業務を捉え直すことも重要だろう。(横の業務分担の余白だけでなく、上司部下の縦の余白を考える)
「余白思考」の実務への応用
1. 会議の設計
会議の議題やスケジュールを詰め込みすぎるのではなく、意図的にフリーディスカッションの時間を設けることで、新たなアイデアや意見が生まれる場を提供する。
事前に資料は全て目を通してもらう、A41枚にまとめるなど、会議を効率よく進める書籍・方法論がおおいが、若手の成長を促すなど会議の目的によっては「余白」を持つことが大切だろう。
2. プロジェクト管理
タスクや締切を厳密に設定するのではなく、あえて調整期間や予備時間を確保することで、予期せぬ問題への対応能力を高める。
3. 個人の働き方
「とにかく早く終わらせる」ではなく、「一旦考える時間」を設けることで、結果的により質の高いアウトプットを目指す。
最後に
「余白思考」は、目の前のタスクをこなすだけではなく、組織や人間関係の「間」を意識することで、働き方を根本から変えるヒントを提供している。上司も部下も、互いに余白を意識して行動することで、より柔軟で創造的な職場環境を作り上げることができるだろう。
著者の山﨑晴太郎さんは、下記ポッドキャストでMCも務めてますので、興味ある方にはぜひおすすめです。9,10回では晴太郎さん自身のキャリアの振り返りもされてますのでおすすめです。
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