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IT批評

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IT批評 編集長 桐原永叔の記事です。
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#ITベンチャー

信用をめぐるテクノロジー2:リンゴと暗号、認証と素数

信用をめぐるテクノロジー2:リンゴと暗号、認証と素数

前回は、テクノロジーはどのように信用を形にしてきたかを考えた。個人の信用についてふれてみたいと締めた。今回は、その続きを考えてみよう。個人の信用、個人を個人として証明するものについてだ。

Appleのロゴと毒入りリンゴ

余談めくが、アップル社のあの有名なロゴマークのことはご存知だろう。あの齧られたリンゴの意味について、公式にはニュートンが万有引力を発見した故事にちなみ、齧った跡はデジタルな容量

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信用をめぐるテクノロジー :ケインズとフリードマンの邂逅

信用をめぐるテクノロジー :ケインズとフリードマンの邂逅

前回はテクノロジーをめぐって、単なる電子化とDX(デジタル・トランスフォーメーション)の違いについて考察を深めてみた。今回は、さらにテクノロジーが生みだした人工物について少し角度を変えて考えていこうと思う。

信用が貨幣の本質

ヤップ島の石貨をご存知だろうか。「フェ」と呼ばれ文化人類学から経済学まで頻繁にとりあげられる世界最大の貨幣だ。この石貨は、たとえそれが海中に沈んだ状態でも所有を認められて

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モノとコト、電子化とDX(デジタル・トランスフォーメーション)

モノとコト、電子化とDX(デジタル・トランスフォーメーション)

私はかつて自身で創刊した『IT批評』の劈頭で「電子化、システム化が、あらゆるものの再定義を迫っているのではないか?」と書いた。10年も前の話だが、DXについても同じことが言えるかもしれない。

人工知能の定義は人間そのものの再定義

どういうことか。電子書籍を例にしてみよう。電子書籍は従来の書籍の定義に合っているだろうか? 大辞泉では「書籍【しょせき】文章・絵画などを筆写または印刷した紙の束をしっ

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想像力がテクノロジーを奪う

想像力がテクノロジーを奪う

あれやこれやをつれずれなるままに書き残すことにした。テーマらしいテーマはない。本から本への連想という方法だけがある。

想像力はいつでも私たちを自由にする

かつてジョン・レノンは「Imagine」と唄った。諍いも争いもまったくない世界を想像できるじゃないかと。「Imagine」のメッセージが夫人であるオノ・ヨーコの芸術作品からインスパイアされたのは有名な話だ。ヨーコは詩集『グレープフルーツ・ジュ

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