食べ塾:料理の5つのブレをチェックして、売上力・商品力をアップしよう!
安定した「商品力の評価」を頂く為には、料理における”ブレ”を
克服しないといけません。
この克服のためには、会社をはじめとする経営側主導の「料理研修会」
を開き、問題点のあぶり出しを行って、ひとつずつ潰してゆくことで、
成功ノウハウを手に入れることにつながると考えます。
■1、ボリューム(量)のブレは起きやすい
1、アンダーポーション
料理設定時に決められた「基準分量」を下回る量で、料理を完成させる
ことです。
基準量のボリュームで原価計算と価格設定されていますので、
その規定量を下回ることは、
料理を注文したお客様から見ると期待外れになり、大きなストレスを
生むことにつながります。
1200円のカツカレーを注文して、
ライスが少ない、カレールーが少ない、カツが売価に比べて小さすぎ
等が不人気メニューの要因になります。
*補足ですが、食材の節約とアンダーポーションは全く違います。
節約は、鮮度維持、品質管理により食材の廃棄ロスをなくすることです。
アンダーポーションは、料理の作り手がちょっと注意すれば、
直せることが半数上あります。
2、オーバーポーション
同じく、料理の設定内容の決定時に決められた「基準分量」を上回る量で、料理を完成させることです。
良が多くなれば、お客様は喜んでくれるから、
オーバーポーションはあっていいのでは!という意見があります。
でも、それは、間違いなのです。
なぜなら、
唐揚げ定食を例にとると、
唐揚げが5個ついている定食が、サービスで2個増えて6個でお出しした
場合に、
6個もついて680円は安いと感動していただけますが、
次に来た時には、6個ついてお得と期待してオーダーするお客様の心理に
なっていますから、
唐揚が5個で出てくると、がっかりします。
*ボリュームが小さい場合は6個でもいいと思います。
*また、常連さんなどは、「今日は少し多めにしておきました」と
断って6個をお出しするのは良いかと思います。
■2、味のブレ(これは離反客が生まれる要因)
以前ですが、ある焼肉チェーン店で、ユッケジャン(韓国風ピリ辛ユッケ肉入り雑炊)の調理講習会をしたことがあります。
5人で同じ料理を作りました。
・スープの濃さが違う ~火加減が違う、加熱時間が微妙に違う
・唐辛子の効きが違う ~グラム数でなく、スプーンのすくい加減で違う
という事例がありました。
<味のブレが起こる原因>
●調理担当が変わる
●同じ担当でも体調がすぐれない時
●年齢が増して味覚基準が変わった時
●季節変化で味の感じ方が微妙に違う時
●食材の変更に起因する時
●加熱機器を新機種等に変更したとき
などがあります。
1、甘さの強弱のブレ
料理の上手な人が担当した日にその料理を食べた人は、美味しいと
感じて、また別の日に来店してオーダーします。
次に食べた時に、違う食味だったら期待外れになります。
●甘さ=美味しさ=うま味 です。
サトウキビから作った砂糖が使われだした江戸時代中期から、
甘さは一番の「ごちそう」です。
●強い甘さは、女性、子供、中高年の方が好きです。
●弱い甘さは、ダイエットやヘルシーさを目指す人には好評です。
*私的には、感情で喜んでなく理性で喜んでいると理解しています。
●お酒を好む人は、程よい「辛さ」を好むので、「甘すぎ」はお酒に
合わないといって嫌います。
*一般的には、「メイン客層に合わせる甘さ加減」が大切です。
*小さな専門店は真逆です。
「店の味に客がつく」という形で客層が生まれます。
2、塩分の強弱のブレ
塩分濃すぎは、料理を台無しにします。
塩分が全くすっぽ抜けている料理もまずくて食べられません。
私のコンサル人生で、塩分チェックと言えば、
●パスタ乾麺をゆでる時の塩分の加減
●うどん麺を打つときの夏冬の塩分量の違い(夏は冬の約2倍)
●うどん店の「うどんだしのスタート時とピーク後の塩分濃度」が違うこと
*始めてゆくうどん店で一番美味しいうどんを食べたいと思ったら、
「開店直後に行く=11時開店なら、11時~11時30分までに行く」
と一番良い状態のうどんスープ(塩分濃度・だしの味と香り)に
出会えることになります。
→常に塩分をチェックしながら、別建ての若干薄いうどんだしを
足すようにします。(おでんの時も同じです)
●定食につけて出す みそ汁の塩分濃度
繁盛店は、高速回転するからいいのですが、湯せん器で保温加熱する
場合は、かなり煮詰まりやすいので、
「注ぐときは底から混ぜてから注ぐ」ことをクセがつくくらいに
行なうべきです。
また、塩分がきつい時は、水でなく薄い「だし」を加える方が美味しいと
思います。
3、醤油辛さ
料理に醤油の色が濃く染み込んでいると、なおさらいっそう
醤油辛く感じます。
その時は、私はうすくち醤油を多めにしたブレンドの醤油を使います。
アンケートのクレーム調査でも、
塩辛さ、醤油辛さは、料理評価で×を頂く原因の味になります。
4、酸味の強弱のブレ
これから気候と共に人気が上がってくる「ちらし寿司」。
冬場の「モズク酢」(以前経営していた居酒屋時代から未だ研究中)
の3種類の酢と白ワインのブレンド具合などが思い浮かべます。
●気温が高くなるほど、時間劣化で酢は飛びますので、
ちらし寿司でしたら、酢と塩は毎月増やし気味にすることが、
いつも美味しいにつながると思います。
5、唐辛子味の強弱のブレ
辛さを売り物にしている場合は何の問題もありません。
「ほの辛・ピリ辛・小辛・中辛・大辛・激辛・極辛(地獄辛)」
こんな感じで、ランク分けしています。
■3、火加減のブレ(メイン料理・高級料理は厳禁)
なかなか解決しがたいのが、ハンバーグの焼け具合に対する
クレームの克服でした。
店のよって違い、焼手によって違い、パテの経過日数によって違い、
グリドルの火加減や置く位置で違う難しさを体験してきました。
1、焼たりない
●ハンバーグでしたら、追い加熱ができるペレットでも、
鉄板においてない限り、好みの焼き加減にはなりません。
●焼鳥も素材によって火の通りが違いますので、食材の特性を知った
うえで作業をしないと上手には焼けません。
ハンバーグやとんかつでしたら、
キッチンからテーブルまでの到着時間を「余熱時間」
と置き換えて、
どのタイミングで未完成に仕上げるかを決めて仕上げるのが、
プロの方のやり方と思います。
*多くのお店は、キッチンで100%完成で仕上げてしまう為に、
せっかくの素材の味もAランクがBランクで提供する形になっています。
私は、90%の火入れでストップして下さいといつも伝えています。
■4、価格のブレ(10%を超える急な値上がり)
1、今までの価格より「理由なく」上がる
価格が変わる正当な理由とすれば、
●消費税率が変わる
●使用食材の価格が底上げされて高くなった
等があります。
<やってはいけない価格の引上げ理由>
メニューの表示価格は、お店とお客様との「協定価格」(約束された価格)
と思ってください。
●理由なしの値上げ
●リニューアルに合わせた値上げ(上げても5%~7%が限度です)
●ほんの一時期の食材の値上げに合わせた引上げ(下がっても下げない)
*お客様の心情をないがしろにした、お店の一方的な価格の引上げは、
一番「離反客」を生む原因になります。
*価格の引上げを行える最短条件は、
「商品力」「接遇力」「店舗の客席満足度」のレベルアップが一番です。
2、価格を引き下げる
商品の条件が同じ場合は、価格を引き下げれば売れるようになる
要因になります。
お客様からは歓迎されます。
また、「売れないメニュー」と判断されたメニューが、
ほんの少し、価格の見え方を買えただけで、
売れるようになるということも多々あります。
例えば、一品料理で、940円だったものが食材原価を5%減らして、
880円にすると、俄然人気メニューになったという例は複数あります。
■5、食器のブレ(食材と売価と食器の一致)
1、食器の価格差
高級食材を粗末な器に盛ると、高級な料理には見えません。
反対に、
普通の食材を高級な器に盛ると高価格にしても納得していただいて、
売れ続けることができます。
高級な食材は高級な食器に盛り付けることで、「整合性」ができ
オーダーした人に「設定した価格」を納得してもらえます。
2、食器の大きさ
いつもは小さめのお皿に盛っている料理を、食器が不足して
大きい皿に盛ると、お客様目線では、「料理が小さく」見えます。
3、食器の浅い・深い
浅い食器の盛る料理を深い皿に盛ると、相対的に、「量が少なく」
感じてしまいます。
4,料理と盛る食器の色合い・柄のマッチ、ミスマッチ
料理を引き立てる食器を選ぶと、料理が映えて好印象になります。
(*私はコンサルになる前は11年間食器の営業マンをしていました)
いろいろな、料理に関するブレを店内研修会などを通じて
克服することにより、
店舗の調理スキルがアップして、お客様の良い評価につながり、
それが、お店の売上に直結することになります。
(了)
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