食べ塾74 :4月から3か月間は「売価とオーダー率の変化」を注視しましょう! ~節約と浪費の極2極化消費が始まる
昨日の小さな合同会議で出た話ですが、県内のローカルエリアの30代の公務員の方でも、ランチの弁当を400円程度に抑える人が出てきていると
聞きました。
家庭での奥さんとのやり取りで、一層の節約スイッチが入ったと思います。
昨年よりも今年に入ってからの、身の回りのほぼすべての物が値上がりする
ニュースに加えて、来る日も来る日もウクライナの戦況が報じられ、さらにコロナの7波(オミクロン2)が4月に蔓延して5月に鎮静化するとみられることへの閉そく感や鬱屈感が、この先の不安感と相まみえて生活防衛感を
いっそう強く生み出していると思います。
今年のこれからは、今までと違う「売れ方」をする可能性が大です
消費税増税時よりもインパクトが大きいととらえています
飲食店にとっても家庭にとっても、食材の値上がりは死活問題です。
メーカーの上限10%超えの値上げニュースはインパクトあり過ぎです。
特に大衆的飲食業態における高額商品(1,000円以上)のオーダー数の変化に注意して3か月間は追跡調査してみてください。
そして、必要に応じてメニューの追加や削除、価格の改定を臨機応変に
行うことにより令和4年の前半期を乗り切ってください。
私の予想する外食業界の状況
4月1日からの多くのものの値上げは6月までの3か月間で日本国中に
浸透してゆき定着してゆくと考えています。
それに並行して、
日常的な外食利用における節約意識が一段と強くなると予測しています。
例えば500円のものを買っていた人が、480円で我慢する傾向です。
一方で、コロナ禍でも安定した収入を得ている人や、コロナ禍で多額の
利益の恩恵を受けている人たちは、強気の贅沢をするようになります。
億ションが売れたり、高級車が売れる「極2極化現象」です。
また日常では節約をする人の多くも、
誕生日や記念日、心が弾む祝いの日にはちゃんと高額消費をします
コロナ第7波が4月に猛威を振るい5月に下火になった場合を考慮すると、
「外食の復活興隆期は7月から8月にかけて」ということになると考えます。
外食産業における
メニュー価格のあり方次第でオーダー率の変動が
大きく起こると予測しています!
■視点1:「500円未満弁当」の重要性が増す
今まではあまり聞いたことがなかったのですが、
「ランチの弁当はとりあえず食べられればいい、質や量は問わない」
という傾向が一部に出てきているようです。
手取り収入が上がらないのに軒並み値上がりとなると、真っ先に節約に
走らざるを得ない対象が「外食費」と「食材購入費」になります。
当然ながら、必要以外の「旅行」はセーブされると思います。
そうなると税込380円弁当・390円弁当がいっそう注目されます。
メインのおかず1品+ごはん多め+副菜2品は大さじ各1杯分=原価150円
をイメージして組み立ててください。
*これがお金を使いたくない人達の好む弁当の原型と思います。
容器代を20円入れても税込で50%以内に収まると思います。
ワンコイン以下弁当は「生活防衛弁当」化してくると思います。
ここら辺の商品開発の良し悪しや、事業規模、採算性の良し悪しで
弁当店の興廃も顕著になってきています。
■視点2:「999円売価以下」の安心感が増す
ファミレスやうどん店・ラーメン店等の麺類店・洋食レストラン等の
一般大衆向き飲食店業態では、
当面の間は、もしかすると今年中は、
999円以下がいっそう好まれる価格帯となると思います。
定食もセットも単品もそういう傾向になります。
高額食材の場合は「ハーフサイズでの商品化」も視野に入れると
良いと思います。
一方で、食材の値上がりが著しい焼肉店などは、「良い商品だから高い」という一本やりではうまくゆかないことも今後は出てくると思います。
売り方(分量や部位の在り方)と価格の見せ方で、月商が変わってくる場合も出てくると思っています。
■視点3:「1000円超え商品」は商品力の確かさ
がもっと問われるようになる
節約志向の環境の中でもしっかりオーダーが発生する条件は、
付けられた価格(売価)と同等以上の商品力を備えた商品(料理)で
あれば、格別に問題はないと思います。
もし4月以降に、既存メニューにある1000円を超える商品が売れなくなったら、その商品の「商品力チェック」をしてみてください。
●鮮度
●ボリューム
●美味しさ
●仕上がりのブレの有無
●提供時間の長さ
●改定価格の設定ミス(高く見える価格付けに変っている)
などをチェックしてみてください。
■視点4:「安かろう悪かろう」は完全に信用を
なくしてやがて消滅する
本当に払う価値(お金の額)と見合う商品でないと、令和時代の
飲食店では売れなくなり、お店を維持する売上高も利益も手に入らないことになってしまうと思います。
まさにぼったくりマジックが利かない世界になるのです。
120円の串は120円なりの商品価値、380円の小鉢は380円なりの価値が
要求されるシビアな世界、だけど真っ当で本物の世界が生まれると
考えています。
コロナ禍が緩和されても売上回復力が乏しい飲食店は、
●飲食業態ニーズの強さを再確認する
●価格設定を見直す
●商品力を見直す
●サービス力(主に接遇力や低居時間の長さ)を見直す
●店舗の清潔感を見直す
●営業時間や店休日を見直す
ことをお勧めします。
■視点5:「どんな努力と工夫をしても」値上げを
成功させてください
そうでないと収益性悪化に向かいます
30年以上飲食業界に関わって飲食店の支援を行ってきた身にとって、
今回の令和4年4月の一斉値上げは、
本当にコロナ以上の大きな経営危機に相当すると考えています
コロナ禍はどんなに大きなインパクトでも3年前後の短期間のことです。
しかし、小さな丸い地球上の温暖化の影響を受けて毎年不作が起こる
場所で、人口が80億人が生きています。
一方で、地球上から食糧不足が皆無にならない限り、
食材値上げは永久に続くと考えると、
「値上げが成功できない飲食店は消滅するしかない」
ことになってしまいます。
●出すすべての商品を個別に吟味する(この商品で果たして良いのか?)
●この価格がこの商品にふさわしい価格か?
●提供時間は適切か?
●サービスやお店のあり方は、商品価格レベルに見合っているか?
こういうことも見直す必要があります。
なぜなら、
あなたが勝つために必要なことですから
面倒でも勝つために、生き残るために戦いましょう!
一度だけ努力をしてみましょう!
(了)