食べ塾:コンサルから見た飲食店の食材費・人件費・家賃・光熱費の考え方を直にお伝えします!
新たな時代の「新たな飲食店のあり方」づくりを始めないといけない
時期になってきたと思います。
よって以下に飲食店のメインの経費に関する考え方を、私なりに
ていねいにご説明します。
■1:食材費と適正比率(売上高で変わる変動費)
売上げ高に対する飲食店の食材費の比率は、全国的視点で見れば、
①フードコスト率35%、レイバー(人件費)コスト率30%
くらいと判断していますが、
30年前~25年前の飲食店では食材原価率が50%~40%程度でした。
(*今の店舗規模の2倍の年商があり原価の倍掛けで経営できていました)
②ここ20年間をみても、間違いなく食材原価率は、
40%→35%→30%と 「下方へ変化」し続けています
(理由)
●外食産業の市場規模は人口減少により年々縮小してきている為に、
飲食店経費1位の最大コストとなるフードコストを下げて、
必要な利益を確保したいという方向に大きな力が働いています。
●人件費の高騰(社員の給与アップ・PA=パートアルバイトの
時給アップ・社員の休暇増による補てん社員の採用増による給与増)
●食材費の値上げが毎年、毎月ある時代になった。
売価の値上げは、社会的・店舗的な機会毎にしかありませんが、
あらゆる分野からの食材の値上げ攻勢が、利益を圧迫しています。
●人事募集費の負担増(応募効果が薄い・採用者が短期で退社の悪循環)
③人件費は反対にもっと膨らむ傾向にあります。
よって、利益体質を維持するためには、
FL(フードコスト率+レイバーコスト率)=65%以下
<フードコストの圧縮のコツ>
(安い食材はボリュームをつけられるので活用する)
1、安くて新鮮な食材
2、美味しさを味わえる安価な加工食材
3、スポット買いの食材
(高い食材は心の幸福を呼ぶが、売価を圧迫しない分量で少量出す)
1、肉や海産物などの高級食材
2、季節感を味わう食材
<年間の目標食材原価率を決めて12か月間毎月チェックしましょう>
年商5000万円のお店でしたら、1%減で50万円の純利益が出ます!
■2:総利益高(粗利益高)と比率
必要な月間経費を支払っても、いくらか現金が残るためには、
この総利益の比率が「60%以上」は必要ということが、
多くの飲食店のデータから読み取れます。
総利益高-すべての支払い経費=残りが営業損益(+も-もあります)
*粗利益とは、食材費を引いた数値で、他の店舗経費を含んだ利益
のことです。
■3:一番お金のかかる人件費と比率
私の判断では、
「人件費の総額は月間でいくらかかるか」を把握して、
店舗という営業組織を次月につなげるために必要な利益を出すことが、
もっとも必要と考えます。
●直接人件費(役員報酬・社員の給与賞与・パートアルバイト給与)は、
全て平均値をとって、固定額として予算化する。
・役員であっても報酬は必要です。
・社員は給与絶対額の保証がないと離脱します
・パート・アルバイトの給与を「雑給」と記載するのは明治時代から
でしょうか? 今では差別用語にしかないと思います。
「パートナー給与」?とでもしていただけたら良いですね。
●個人店経営者は、支払った残りが「生活費」計算に税務上はされますが、
実際のところは、一定額が奥さんに渡らないと、家を追い出されると
思います。
ですから、私は、
個人の自営業であっても、「いくらあれば生活可能ですか?」と聞いて
その金額を人件費に投入して採算計画を組みます。
人件費は、食材比率と入れ替わるように変化します。
または、同率前後で食材費と拮抗するようになると思います。
(人件費の高騰を押させる手段)
●今の経営している飲食業態を、
年商は落とさずに、人件費を40%減しても経営できる
<メニュー作り><仕組みづくり><新業態づくり>
を考えるしかありません。
●カットした人件費の50%以下のリース料金で代替えできる省力化機器や
省人化機器を導入する。
●「1店舗1社員+必要PA数」の小規模店舗を複数出店する。
店舗は大きくても、地代家賃が25万円以下の店舗は経営リスクが
比較的小さいことが、コロナ禍で証明されました。
■4:地代家賃(店舗家賃+駐車場代)と比率
ローカルなところの立地でも、地代家賃が50万円を超える場合は、
別の所に土地を取得して店舗を立てたり、中古の小型ビルを買い取って
店舗をつくったりした方が、経営リスクが小さいと考えます。
月額50万円×12か月×10年間=6000万円です。
ローカルなところであれば、例え20年間払いの1億2000万円でも、
店舗が資産化出来た方が良いと思います。
●地代家賃は天引きと同じで、支払えない→出てゆけになりますので、
安定経営店指標の「8%以下」を目指す「売上高づくり」を
考える必要ああります。
●開業時に借入して、元利合わせて支払う「月額返済金」=店舗家賃と
置き換えて設定してください。
*家賃がかからないという意識は経営者にゆるみが出ます。
●実際に自社店舗で「家賃はゼロ」という飲食店も多いと思います。
しかし、家賃分の8%相当額を「利益」として貯蓄できているお店は、
ほぼ皆無です。
家賃がないなりに、ゆるい採算感覚が経営者にあります。
■5:水道光熱費(変動費→固定費とみて予算化)
飲食店であれば、電気水道ガスは必須の経費です。
予算上は水道代は偶数月に2か月分支払いますが、月損益上は
毎月その半額の1月分がいる計算のほうが経費管理をしやすくなります。
●電気料金
およそ水光費の50%に当たる経費です。
一般100v電力と200Vの動力の電力が使われています。
飲食店でも、照明のLED化はここ数年で加速度的に増えました。
(*またLEDは夏の虫の集中しない照明器具と言われています)
また一方で、
冷蔵庫・冷凍庫・エアコン類の省エネ機器への交換も進んでいます。
10年以上経過した機器は、消費電力が今の分より3倍~4倍の
電力を消費している計算になります。
*今後ますます人件費を抑えた店舗システムに変わるため、
電気を使う機器が増えてくると予測しています。
(省エネタイプ、省電力タイプ)
●ガス料金
一般飲食店では水光費全体の25%~30%を占める費用です。
カス料金は都市ガスが一定金額、LPガスは使用量が多いほど
割引価格になります。
*天然ガスの利用にもっと切り替わると思います。
また、ラーメン店やうどん店・そば店など釜を使う業種、
お好み焼き店、鉄板焼き店、焼きそば店、大型食洗器のあるお店
大型給湯機のあるお店などは、ガス代の比率が高くなります。
(*ラーメン店で月商の15%がガス代というお店がありました)
●水道料金
上水道代金+下水道代金の2つが合算で請求されます。
私は、
2か月に1回請求される金額を半分に割って、
「電気代+ガス代+水道代(1か月分)」の合計金額を予算化
して採算レベルを計算します。
自家のボーリングでの水(トイレ・庭の散水など)であれば、
排水量の調査後に料金設定が行われることになります。
飲食店の経営者の方がもう少し数値から逃げずに
前向きに取り組んでいただけたら、
「黒字店舗がもっと増える」と思う訳です。
(了)