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飲食店未来学84:「本物であること」Authenticityが問われる時代です

たべものに関わらず。あらゆるシーンでこの本物であること(真正性)Authenticityが問われる時代です。

一部に安ければ本物でなくてもいいという場合もありますが、これからの時代は「本物はますます希少価値となり高額になる」と見ています。そしてそれを手に入れたい人は、可能な限り高額でも手に入れようとします。

一例として思い浮かぶのは、山奥の山村の川でとれる丸々と太った天然うなぎ。地元でかって2000円~3000円だったものが今は5,000円となり、東京に送れば10,000円でも買い手があります。

本物の鮮度の良い食材は希少価値

飲食店で使用する食材を分類すると4分類に分かれます。

★良質で鮮度が良い本物の食材(高額がいただける専門店系)

★鮮度も品質も一般的な食材(一般の大衆店)

★鮮度や品質が劣化した食材(低価格店の一部、加工食品に使用など)
*末端価格を安く抑えて売る商売は安く仕入れないと実現しないため。

★代替え食材・ダミー食材(低価格店、コンビニ食、弁当店など)
*本物の食材を使うと原価が上がるためあえて使用する業種。また食料不足時代を補う未来型食材を取り入れている企業も増えています。

外食の手控えや節約志向と並行して本物志向が強まっています。そういう意味では、デフレでなく、外食の2極化がいっそう苛烈になってきています。

向う100年間の地球の食材の先行きを考えると、地球の汚染(水、空気、土壌の汚染)や異常気象、農業従事者の減少、ノウハウの矮小化により、この本物の食材を手に入れることは、ますます至難の業だと予測しています。

野菜は「地下工場で生産する」「標高500m~1000mの高地で生産する」方向になることで突破口が開けるでしょう。

恐らくもう20年~30年経てば、食糧生産は『国家プロジェクト』クラスになるのではないでしょうか。(2024年で、中国やインドなどの人口大国はすでにそれを知っている)

飢餓は国を亡ぼす力を持っているのです。(日本や中国の歴史にある)

本物のていねいな調理技術は希少価値

今あなたの身の回りで、飲食店で調理をしている人はいますでしょうか?また、辻調などで学んでいる方はいますでしょうか。

実は、もう30年も前から調理人の絶対数は減少し続けています

かってのデフレスパイラル時代、新型コロナ時代にも多くの飲食店の敗退と共に、多くの調理者が現場を離脱しています。また高齢化も影響しています。

昔から伝わる本物の調理技術を有する調理人が少なくなっています。本物の和食の職人だけでなく、居酒屋レベルで通用する「現場修行型」の職人さんも少なくなっています。(職がない、給料が上がらないが主な原因)

省力化機器や省人化機器が調理現場に普及すればするほど、一方で、この本物の調理技術を有する人たちの現場は限られてきています。

その分だけ、専門店やシティーホテル内の店舗で、大きな対価(金銭)を支払うことで体験できます。

本物の心からのおもてなしは希少価値

接遇サービスのレベルの高い飲食店を維持することは、本当に至難の業と思います。定点観測をしてみても、好感度の高い方が退職や移動をすると、そのお店の平均の接遇サービス力は低下します。新人が入ると、コツを覚えるまで半年はイマイチです。

さすがに接客マニュアル通りでいいという飲食店は少なくなりましたが、自分のキャラを活かした人受けの良い接遇サービスを行える人は、さほど多くはいません。

客単価5,000円以上のお店においても、仕事上の演技としての接遇はできていますが、心の中から湧き出る接遇サービスを行える人は本当に稀です。(オーダーエントリーシステムの受注をしないお店は、接遇による受注力が売上げアップの決め手になります

本物レベルの職人がどんどんいなくなっている

★神社仏閣を造営できる会社や職人が減っている
★美術品を修復する技術者が高齢化している
★橋の点検と修復の見る目を持ったプロが引退して技術度が下がっている

早急なAI技術を駆使した「本物ノウハウの蓄積」をしないと、今のままの本物の価値は次世代に残せないことになります。

一部の会社や組織はもうすでに動いています。楽しみです。

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(了)

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オードリー7|🥕フードビジネスクリエイター
飲食コンサルタント業30年の経験を通じてお知らせしたいこと、感じたこと、知っていること、専門的なことを投稿しています。 ご覧になった方のヒントになったり、少しでも元気を感じて今日一日幸せに過ごせたらいいなと思います!よろしければサポート・サークル参加よろしくお願いします