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#10 『フーテンのマハ』

旅のおともに、旅に行けないあなたへ。
作家・原田マハさんの旅エッセイはいかがでしょうか。

あらすじ
自称「フーテンのマハ」こと原田マハさんの旅エッセイ。
目的地は様々で日本、そして世界を旅する。
小説を書くための原風景を訪ねる旅、長年のご友人との「ぼよグル」と名付けられた旅などなど。
その土地ならではの風景やグルメ、人との出会いに読者もきっと、旅したくなる、そんな一作です。

感想
私にとっての旅といえば、夏休みに黒のワゴン車に母、父、私と妹の4人で行く家族旅行。
東北・関東・愛知県を除く中部地方は制覇しました。
しかし、大人になってからは旅という旅ができていない。
時間とお金と体力的な、精神的な余裕がなくて、自分のテリトリーに安住しちゃってます。
だからこそ、原田さんのバイタリティには本当に尊敬するし、そして旅先での数々のエピソードに心躍りました。

旅が好きだ。「移動」が好きなのだ。移動している私は、なんだかとてもなごんでいる。頭も心もからっぽで、心地よい風が吹き抜けていく。

『フーテンのマハ』p.11

旅先の移動中、本を読んだり、ガイドブックを広げたり、音楽を聴いたり、おしゃべりをすることがないという原田マハさん。
車窓の風景や女子高生、おばちゃんたちの会話に耳を傾けるそうです。

「移動」というのも旅の一部。事務作業的なものではなくて、そこすらも楽しむ、というか心落ち着かせて、ゆったりとした時間を過ごすのがなんだかいいな、と思いました。

だって、「移動」=暇、ってなっちゃうじゃないですか。
今だったらスマホで動画や映画見たり、とかありそうじゃないですか。

小学生のころ、父が車中で観るようにって、スーパーマンとなんだかよくわからないマザー・グースの海外風アニメのDVDを買ってくれたんですよ。
小さなDVDプレーヤーで妹と二人でアニメを観るんですけど、母は大反対。
移り変わりゆく景色とか、そういうのも旅の醍醐味だからって。

幼いころは母の言っていることがよくわからかった。
ずっと車に乗っているのって疲れるし、眠いし。
(車に揺られるとすぐ眠くなっちゃうタイプ)
移動時間って本当に苦痛以外のなにものでもなかったのですが、原田さんの「移動」に対する考えと、あのときの母の言葉が重なって、旅の最中のなにかに向かって動いている時間ももっと大切にしたいな、と思いました。

人それぞれではありますが、何もせず、自分の周りを流れる景色や時間に身をゆだねる、そんな移動時間を過ごしながら旅をしてみたいな。
だって、なんだか贅沢な時間の使い方、って感じがしませんか??

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