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そーやんの「地上の楽園」 NOTE FARMへ行ってきました

もう何年も前から、時々ふっと僕の脳裏に浮かんでくる、「夢の農園」の光景があります😌💭

こんもりとした自然の丘のような、真っ直ぐでないうねたちが幾重にも連なり、それらの間を小径こみちや水路が縫うようにめぐる、お庭のような美しい菜園。
畝には野菜や草花のほか、所々に果樹などの低木も植わっていて、その向こうには、ひさしを大きく延ばした古民家風の建物が見え隠れしている。そのまた背後には森があって、借景のように農園全体を緑で包み込む。🌳🌻🥦🌿🌲

そんな光景です。


夢の体験農園

これまでの投稿でも書いていますが、僕には将来、大都市・名古屋の近郊に自然豊かな体験農園を開きたいという夢があります。そこは、自然との調和の中で、一人の人間として、生物として生きる歓びを分かち合おうとする人たちの、地域の拠点でありたい。
上の夢想は、そのイメージなんです。

一つのきっかけになればと、昨春から地元(愛知県知立市)の畑とは別に、名古屋のお隣の大府市に農地を借りて、「恵多農園」を始めています。
でも、ここはもと田んぼだった耕作放棄地で、粘土質で水はけの悪い土を野菜が育てられるように改良中。建物はなく、法令上僕が新たに建てるのも難しい(小さな小屋は作ろうと計画中)。木もなく、お隣に森もありません😓

この畑は今後も大事に育てつつ、どこかに上記の夢想が実現できるような場所が無いか、探しているところです。
名古屋の近郊に、果たしてこんな条件がそろった所があるのか分かりませんが…😓

そーやんのこと

そのモデルとなるような美しい農園を、鹿児島で営んでいる方がいらっしゃいます。
「野菜を売らない農家」としてNOTE FARM(暮らしの畑屋 のおと)という自然農の体験農園を営み、最近では「農業系YouTuber」としても名をはせる、そーやんこと橋口創也さんです 。

今月上旬、妻とともに鹿児島へ飛んで🛫、NOTE FARMの見学に行ってきました
実は僕にとって、ここを訪れるのは数年来の念願でした。それがついに叶ったんです🤩
なぜ念願だったのか。

NOTE FARMに着いて早々、まずはそーやんとともに記念撮影😄

僕は5年ほど前からそーやんのファンで、当時「マイナビ農業」というウェブメディアで連載されていた野菜栽培のノウハウに関する興味深い記事を読んで、彼のことを知りました。

その際にたまたま彼のブログも目にして、その世界観に共鳴🤗
3年前には彼のオンライン講座を受講し、次第に自然栽培・自然農に関心を持つようになりました。同時期に始まったYouTubeの動画もときどき視聴しています。

農業や自然環境についての豊富な知識と、それに裏打ちされた論理的な思考。他方で自然への感受性も研ぎ澄まされていて、自然と人間の持続可能性をめぐる世界観がしっかりしている。彼の中で、論理と感性とが見事に共存しています。
(彼の思考のバックボーンの一つが「パーマカルチャー」の思想なんですが、ここでは省略)

それに、ただ野菜を育てるだけでなく眺めても楽しい菜園=「エディブルガーデン」(食べられる庭)を志向していることや、農家でない皆もそれぞれ家庭菜園をやって「小さな庭師」になろうよ、というスタンスが僕に近い。

5月、リアルそーやんに会った

以前から、そーやんにオンラインではなく直接お会いしたいなあ、でも鹿児島まで行くのはなかなか…と思っていたところ、去る5月に愛知県へ出張講座に来られると聞いて、絶好のチャンス❗と参加しました。
豊田市にある、chiikorobeetanさんの自宅横の小さな畑を素敵な自然菜園にするために、草を生やした状態からデザインする講座でした。

申し込んだ時は自然農についての講座だと思ってたけど、そうではなくて、最近そーやんがハマっている「大地の再生」が主題でした。
この講座の内容はすごく刺激的でしたが、話が長くなるのでこれも省略😓 「大地の再生」については後段で触れます。

「そーやん出張講座inとよた」の様子

やっと「リアルそーやん」に会えて、たくさんお話もできて、とても楽しく高揚した気分の一日でした💓
年甲斐もなく「追っかけ」「推し活」のようで失礼😅

そーやん(中)とchiikorobeetanさん(右)。お二人に感謝🥰

最後に、今度はぜひNOTE FARMへ見学に行きたいと伝えたところ、そーやんは快諾。
夏野菜の最盛期で、梅雨も開けている8月初めに訪れることとなりました。

ついにNOTE FARMを訪問

鹿児島に🌀台風6号が迫っていた8月5日の朝、同市郊外の山あいにあるNOTE FARMを訪問。
そーやんが最寄りのバス停まで車で迎えにきてくれました🚏🚌

映像で何度も見てきた憧れの農園に、いま自分が立っている感慨。やっぱり素敵な所だぁ~😍
台風の影響か、晴れたり雨が降ったりとめまぐるしく変わる天気でしたが、これが南国・鹿児島の夏らしい気候だそうです🌞⛅☔

ここは、有機農家の2代目として農業を始めたそーやんが、彼としては限界を感じて、11年ほど前に体験農園として再スタートしたそうです。
当初は、普通の市民農園のように四角い区画に仕切られていたのが、数年前から写真のような丸っこい畝と曲がりくねった通路の農園に。

そして何より特徴的なのが、一度耕して畝を立てたらそのまま何年も耕さずに野菜栽培を続ける、無肥料・不耕起の「自然農」をされていることです。

堆肥などを混ぜつつ毎年耕す一般的な農法と異なり、畝の上に草を刈っては敷き、刈っては敷きを繰り返していく。それが畝の表面を乾燥や大雨から守る(いわゆる草マルチ)とともに、やがて堆積して腐葉土のようになり土を作っていく。
作物の植え付けは、そこの草だけを軽く除けてします。

草は根こそぎ抜かずに刈ることで、土中に残った根が朽ちて微生物のエサになるとともに、空気や水が通る空洞を作ってくれる。また、勢いの強い草(多年草、イネ科など)は減らし、弱い草(冬型一年草など)はあえて残すことで、多様な草が穏やかに生えた状態にしていく🌿🍀

畝には野菜だけでなく様々な草花や樹木も植わっていて、耕さないことでそれらの根っこたちをつなぐ菌のネットワーク(菌根菌)が地中に張り巡らされ、植えた作物の根っこにも栄養を供給してくれる。
そーやんは、こうした様々な生き物たちが構成している耕されない土の塊=畝を、一つの生命体のように捉えて「うねさん」と呼びます。

一方で通路のほうには、繁殖力がものすごいハマスゲという草をあえてはびこらせ、こまめに草刈機で刈り込むことで芝生のようにして、ぬかるみを防ぐとともに見た目にも美しくしています。
そして「うねさん」の周囲の肩の部分には、一年草をあえて生やすことで土留めとし、通路のハマスゲが畝のほうまで広がることを防いでもいます。

そーやん自身もどこかで言ってたと思うけど、自然農というと草ボーボーのワイルドなイメージの畑が一般的ですが、ある程度人の手が入った感じにして、自然と人工とのコントラストをつけることで、人にとって美しいと感じる「庭」になるんじゃないでしょうか。

現地で体感したこと-家・風・土・水・灰

いっぱい書いたけど、ここまではすべて、実は訪問する前から知っていたこと。オンライン講座受けてたからねー😤👍
それでも現地に足を踏み入れ、五感で触れて、新たに分かったこともたくさんありました。

まずは、農園の隣に建てられた「あずまや」。
そう呼ぶには意外と広く、ここで座学や休憩、軽い飲食ができます。四方のうち一部だけに壁とガラス窓があって、内側には縁台もある。
開放的なのに安心感もある、居心地のよい家。いいなあ~😍

農園のすぐ横にある森は、映像を見て山だと思っていたんだけど、実は急峻な谷になっていて、この農園は小高い丘のてっぺんにあった。そのため風通しが良く、水はけも良い
森の樹間から谷を駆け上がって吹いてくる、風の爽やかさを体感🍃😊

この場所が特に風の通り道

また、畝の土を軽く手で掘って触ってみたら、真っ黒でフカフカ。野菜栽培には理想的な土じゃん😃
そして、無肥料にもかかわらず野菜たちは予想以上に立派でした😲

撮影時にちょうど雨が降ってきて、フカフカ感があまり伝わらない写真😓
立派に育つ里芋

真っ黒なのは土に腐植がたっぷり含まれていることを表し、フカフカの感触は「団粒構造」の土になっていることを示しています。
これは、長年にわたり有機的な栽培を続けてきた畑だからこそ。ちなみに僕の地元のほうの畑も、これに近くなっています😊

加えて、この辺りの元々の土が、「黒ボク土」という日本では最も肥沃で農業に適しているとされる土壌であることも大きい。鹿児島の土は、「シラス台地」の名で勝手にイメージしていたのと違って、どこも黒かった😲
ここは桜島や霧島連峰がそびえる火山の郷。特に桜島は、その火山灰が日常的に降り注いで、人々の生活に身近なものとなっています。

城山展望台から眺めた、夕焼けに染まる桜島と鹿児島市街
ホテルのテレビで見た、桜島の降灰予報

黒ボク土は、火山灰と腐植が堆積して形成された土壌。
そーやんによると、訪問した朝は久しぶりの「どか灰」だったそうで、里芋の大きな葉に、雨水と黒い灰がたまっていました。頻繁に降る雨と火山灰とが、鹿児島の土を作ってきたことがイメージできました。

大地の再生

そして最後に、5月の出張講座でも主題となった「大地の再生」。

これは、造園技師・矢野智徳氏が主導する自然環境再生のプログラムであり、人工的な開発によって損なわれた、地上と地中における空気と水の流れを取り戻す、様々な技術の体系です。しかも大掛かりな重機ではなく、草刈り鎌や移植ごてなど簡単な道具を使って気軽にやれることが特徴。
各地で「大地の再生」のワークショップが開催されていて、NOTE FARMもその会場に。去年からドキュメンタリー映画「杜人」も上映され、いま注目を集めています。

草を高い位置で刈って風の通り道をつくる「風の草刈り」。水溜まりに小さな水路をジグザグに切って流れを作る「水切り」。
地面に溝を掘り、炭や竹、小枝などを詰めて水と空気の流れを作る「通気浸透水脈」。その溝の途中に穴を掘って同様に小枝などを詰め、縦方向の流れも作る「点穴」など。

それらを、ここでも見せてもらいました。
ちょうど雨がざっと降ったり、雨上がりに風がさあっと吹いたりして、水と空気の流れが分かりやすかったのが良かった。

「風の草刈り」を説明するそーやん
農園のあちこちに巡らされた「通気浸透水脈」

まるで子どもの野遊びのような、簡単で楽しい作業ばかり😊
でも、これらの作業によって土が再生され、土中の微生物たちが元気になり、結果として無施肥・不耕起の自然農が可能になる。自然農を極めれば、水脈・気脈の再生という主題に行き着くようです。

ここは既に「地上の楽園」だった

この度はるばるNOTE FARMを訪問し、色んなことを五感で確かめたことで、改めてその素晴らしさを実感しました😍
そーやんは常々、僕は「地上の楽園」を作りたい、その実験を続けているんだと言ってるけれど、この農園は元々の条件の良さに、彼の秀逸な空間デザインが加わって、既に楽園のような心地よい場所となっていました

今回の見学で、僕が目指す「夢の体験農園」の姿がますます具体的になってきた。日々あれこれ忙しくしてるけれど、そろそろ一度立ち止まって、自分の進む方向性を見つめ直す時期に来ているのかも。

そーやん、本当にお世話になりました🥰
なお、見学の後で連れて行っていただいた個性的な温泉♨も、鹿児島ならではの思い出となりました😀


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