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自己犠牲って愛しくて、苦しい。【青野くんに触りたいから死にたい/椎名うみ】

青野くんに触りたいから死にたい/椎名うみ

依存関係の物語が好きだ。
ただあなたのことだけを想う。
あなたのために自分を捧げられることがどんなに幸せか。

でも、依存と好きな人を大切にすることは違う。

一見大切にしているようで、自分を犠牲にすることはその人は大切にしていない。
だって、その人もあなたを大事にしたいのに、あなたがあなたを大切にしてくれないならこんなに悲しいことはない。
しかもそれが自分のためだと知った時、それはどんなに苦しいことなのだろう。

この物語はお互いのことが大切だからこそ、相手のことを大事にするのと同じように自分も大事にすることを教えてくれる。
そして自分を大事にすることがどんなに難しいことなのかも。

この物語が好きな理由はそこにあるのかもしれない。
人は自分を大切にすることが下手くそだ。自己犠牲が美徳とすら考えることもある。
それは日本人には馴染み深い感覚かもしれない。自己犠牲を持って何かに尽くす、何かを成し遂げる。それはとても素敵で、愛おしい時間。

でも本当に?

それは本当に望んだことなの?誰が望んだことなの?
私?あなた?あなたが大切にしたい人?

人はいつだって間違える。だって大好きだから。

でも、あなたを大切にするために自己犠牲したって、あなたは私を大切にしたかったら結局あなたを傷つけてしまう。

そんな悲しいことはない。大切な人を大切にするように、自分のことも大切にする。
それは相手を大切にすることと同じこと。
自分を傷つけることは大切な人を傷つけるのと同じこと。


傷つきながらも前に進んでいくゆうりに憧れ、ゆうりと青野くんの関係を羨ましいとも思う。


ただ一つ、ただ一人のことを考えていきたい。
自己犠牲って愛しくて、苦しい。
でも自分も大切にすることが本当に相手を大切にすることだと気づかせてくれる。


二人の物語の先にあるものを、私は知りたい。


さんちゃん


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