鑑賞ログ「私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター」
231006
まずは題材に惹かれて鑑賞。
マリオン・コティヤールが主演というのもプラス。
メルヴィル・プポーが出ているのもポイント高い。
デプレシャン監督の作品は正直あんまり観てない。
舞台女優のアリス(コティヤール)と作家の弟ルイ(プポー)。二人は不仲で数年間没交渉。3人兄弟の1番下の弟はそれぞれに連絡をとっているバランサー的な存在。しかし、両親が交通事故に遭ったことで、二人が両親の下に駆けつけることになり…という話。
自己顕示と同類嫌悪の話でもあるのなのかなと思う。同じ家族の中に主役は2人いらないというか。それが家族や兄弟ならなおさら。姉弟と異性というのも関係あるのかな。
いや、他を見ても仲良いところもあるしな…。
神童ともてはやされた子どもが、進学とか選抜チーム入りとかの別の集団で、自分より上の存在がいるということに気付かされて心が折れるという10代あるある現象が、兄弟間で起こっているという感じかな。
そういう感情って日本人でもフランス人でも変わらないってある意味不思議。
姉弟だからこそ会いたくない、姉弟だからこそ相手のことが分かるし、徹底的に避ける。うん、分かる。
でも、お互い、相手の人生に常に家族として節目とかに出現してくるし。親の具合が悪くなった時、ましてや家族が亡くなったりすれば、断絶した二人の道は交わらざるを得ず…。
それって根源的なところには家族だからという甘えがあるんじゃないかな。いつかは交わる。いつかはお互いに向き合わざるを得ない日が来る。でも、それは今じゃない、が長く続いている。それが続きすぎてキッカケがなかったというか。
気になったのは、メルヴィル・プポーが全然弟に見えないこと。
あと、アリスの16歳ぐらいの息子・ジョゼフを演じているマックス・ベセット・ドゥ・マルグレーブ(長い…)が全然10代に見えないんだな…。
調べたら2000年生まれ。たぶん撮影中にも20歳は超えていたはず。とっちゃん坊やみたいで苦手だったな。演技は上手いんだけど、老練している感じで違和感。
一方でルイの妻役のゴルシフテ・ファラハニが良い感じ。当初なぜこのカップルが成立するのかがすごい違和感があるんだけれど、その疑問が紐解かれていくと、孤独を抱えるルイにとっての救いであり、ソウルメイトなんだなということが分かる。
さらりとユダヤ人とクリスチャンのことを挟み込んでくる感じはフランス映画らしさを感じてとても好き。ああいう皮肉をオシャレで挟んだような会話ができるようになりたい。
一度よじれた関係って、もとに戻すのがなかなか難しい。ま、アリスもルイもお互い性格は良くないんだろうな笑。皮肉屋のフランス人だからか?
でもこういうのはあるあるなんだろうなとリアルさを持った作品。この作品においては一番下の弟がいてよかった。でも、弟が全てを差配するわけではなく、やっぱり解決するのは自分たちなんだなと納得。
最後、どうなるのかなと思ったけれど、なんだか自分に合った服を着た時のようなフィット感のある結末だった。
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