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さっぱりといただきます。山形のダシ

暑い。ただただ暑い。毎年最高気温を更新していく夏というこの季節が苦手だ。夏生まれだけど

隣にはこの暑さで溶けかけている彼女の姿がある。エアコンをつければ暑さという問題は解決できる。しかし新たに電気代という問題が発生してしまう。エアコンは1日の1番暑い時間帯まで我慢するのが二人の約束事だ。まだ午前中の今は外から時折入ってくる風でやり過ごす。

しかしながらこうも暑いと食欲もろくに湧かない。さっぱりしたものをサラサラっといただきたい。ただ素麺も蕎麦もうどんも飽きた。そろそろ変化をつけたいところだ。冷蔵庫を覗くと夏野菜が少しと薬味で買ってきたミョウガが一つ。なんとも寂しい状況だ。

「昼ご飯簡単なやつでいい?」

「ん〜」

返答なのかもわからないが文句が返ってこないのならOKなのだろう。

冷蔵庫からきゅうり、ナス、みょうがを取りだし水で軽く洗う。外の気温のせいかあまり冷たさを感じないのが残念だ。歯応えが残る程度に細かく刻む。細かくしすぎると食感が残念なことになるので注意が必要だ。水にさらしてアクを抜く。あとは麺つゆととろろ昆布と一緒にタッパーに入れて小一時間ほどおけば完成だ。だし汁を一から作るのもいいが流石にこの暑さの中ではそんなやる気も出ないので麺つゆで簡単に済ませるのがいいだろう。

「何作ってるの?」

気怠げな彼女の声がなんだか少し可愛い

「山形のダシ。ご飯に乗っけてもいいし冷奴と一緒でも美味しいよ。素麺や蕎麦にラー油と一緒に混ぜても美味しく食べれると思って」

顔を向けながら答えるとさっきまで暑さにやられた猫のようにうなだれていた彼女がペチペチと歩くペンギンのように近づいてきていた。しかも満面の笑みを浮かべながら。

「アイス買ってきた」

甘ったるい声で釜茹での刑を言い渡たされた。この炎天下、自分は外に出ずアイスを入手するための生贄。冷蔵庫の中の状態もおそらく計算の内なのだろう

「食材も買ってくるから少し遅くなるけどいい?」

「いいよ」

おそらく僕が買い物に出たらエアコンをつけるつもりだろう。「外は暑かったと思って」と僕に気を使う体を装って自分はアイスとエアコンの両方を満喫する。ずるい奴だ。

「じゃあ、行ってくるね」

「いってらっしゃーい♪」

ドアを開けると熱気の壁が立ちはだかる。炎天下の中歩きながら僕は決意した。カフェで夏限定のカキ氷を食べて帰ろう。彼女が食べたいと言っていたやつを。



材料

きゅうり、ナス、みょうが 一つずつ

とろろ昆布、お好みの量

麺つゆ、50ccくらい


3日をめどに食べ切ってください。ご飯に乗せても冷奴と一緒でも、麺類とも美味しく食べれると思います。食べるラー油と混ぜるとグッとおつまみ感が増すのでお酒と一緒もいいですよ^_^

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