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2024年度診療報酬改定のポイント 救急患者連携診療料(下り搬送)の新設 


written by 病院建築note

少し遅くなりましたが今年の診療報酬改定で新設された救急患者連携診察料について書きます。

2025年に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となることで、国民の5人に1人が後期高齢者という超高齢化社会を迎えます。

また高齢者が増えるのと同時に労働者の数が減っていくため医療を支える働き手も不足します。
https://note.com/365days_tensyoku/n/nd1e5e16c61bf

このような状況の中で医療は更に効率的な運用が求められます。

その医療の中でも特に高負荷なのが救急医療と言われています。

救急医療は昼夜問わないため、人的リソースが限られた状況下で一刻を争う状況の患者に対応しないといけません。
体力的にも精神的にも負荷が高い仕事です。

その救急医療の最後の砦といわれるのが三次救急医療機関であり、24時間365日重症患者を受け入れます。

三次救急機関は数が限られており、埼玉県を例に挙げると全342病院中、三次救急医療機関は11病院のみです。

◾️救急医療の機能分化推進のため、三次救急医療機関が連携医療機関に患者を搬送すると診療報酬が加算される


三次救急医療機関では心筋梗塞や脳梗塞、重度の外傷にも対応できる専門医と医療機器を擁しています。

三次救急医療機関は重症患者の受入に特化するためにも、軽傷~中等症の高齢救急患者など二次救急、一次救急でも対応可能な患者は搬送していく必要があります。

三次救急医療機関に中等症患者が入院してしまうと、病床がひっ迫し、重症患者の受入が困難になる場合があるためです。

重症の患者は単価が高いため、病院の収益を考えても三次救急医療機関は重症患者を受入れる必要があります。

今年の診療報酬改定では三次救急医療機関に救急搬送されてきた患者について、三次救急以外の連携病院に搬送した場合に救急患者連携診療料(下り搬送)加算が新設されました。

この診療報酬改定の影響で救急医療の機能分化が進み、三次救急医療機関が重症患者の受入に専念できるようになるでしょう。

◾️三次救急、二次救急、一次救急とは

それぞれの代表的な疾患は下記の通りです。

一次救急:ウォークインなど比較的軽傷の疾患
     小児の発熱、打撲、切傷な
二次救急:手術が必要な患者
     大腿部頭部骨折、脳卒中、心筋梗塞など
三次救急:重症患者
     心肺停止、大火傷など

■下り搬とは


昨今の救急医療の現状としては高齢者の人口増加に伴い、高齢者の救急搬送人員が増加し、中でも軽症・中等症が特に増加傾向にあります。

そこで入院治療の機能分化及び受入体制の確保のため、三次救急医療機関からの転院搬送の促進の必要性が指摘されています。

三次救急医療機関と地域の一般病院が日頃から連携関係を構築し、三次救急病院に搬送された患者について「連携する一般病院でも対応可能」と判断された場合に「転院搬送」することを「下り搬送」と言います。

下り搬送をスムーズに行うには、高次の病院が搬送先を見つける体制、そして一般病院の受け入れる体制といった、地域全体での病院同士の連携が大切になります。 

下り搬送を効率的に実施するためには、院内・院外との迅速な調整が重要です。

■加算される診療報酬

具体的に下記の点数が加算されます。
(新) 救急患者連携搬送料
1 入院中の患者以外の患者の場合 1,800点
2 入院1日目の患者の場合 1,200点
3 入院2日目の患者の場合 800点
4 入院3日目の患者の場合 600点

◾️まとめ

今回の診療報酬改定は救急医療についても機能分化を促進するような内容になりました。

救急医療の迅速な受付可否の判断には、「いま専門医が在館しているのか?」「手術室は空いているのか?」等のマネジメントが必要です。

診療報酬に新設によるインセンティブだけではなく、医療のデジタル化が進み、院内のリソースをリアルタイムにマネジメントができれば、更に救急の機能分化は進展するのではないでしょうか。
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hospital architecture note
mail:07jp1080@gmail.com
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