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1年目に見つけたゼネコンで必要なスキル:中途入社からの振り返り

written by 病院建築note

医療機器メーカーからゼネコンに転職して丸1年が経ちました。

現時点での考えの整理と今後の成長に繋げるためにこの1年間を振り返っておきたいと思います。

1.転職の決断:医療機器メーカーからゼネコンへ

■自分の「得意なこと」と「好きなこと」両方を活かしてみたい

細かい理由もありますが、一番の理由はこれだと思います。

医療機器メーカーでは手術用内視鏡の営業職として、年間1,200回以上病院関係者と面会し、手術の立会も年間100件以上こなしおり、個人の売上は年間2億円以上ありました。

医療機器を販売するためには病院の意思決定プロセスや予算を把握しながら、臨床で使用するDR、手術のために医療機器を準備する看護師やME、決済をする用度課の3者の中心に立って整合しなければいけません。

そもそも医療機器の立会をするだけも、申請書を書いたり、機器のセッティングを事前説明したり、最初はネゴだけで大変でした。

しかし、病院を関係者と最前線で接してきた経験は自分の強みであると思っています。

■建築の魅力に気づいた

私は新卒採用ではゼネコンに全く目が行きませんでした。建築関係の会社は一社も受けていません。

しかし医療機器メーカーに入ってから担当している病院が建替えすることになり、手術室における機器の配置や動線を考える機会がありました。

機器の配置や動線を考えることや、図面を見ることに興味を持ちました。

ちょうどこの時期はコロナのため病院への出入りが規制されて定時で帰ることが増えたタイミングだったので、空いた時間で宅地建物取引士や賃貸不動産経営管理士、簿記などの資格勉強をはじめました。

実際に勉強していても建築の分野に興味を持ちましたし、資格も取得したことで建築に対する興味がより高まったのも転職したきっかけです。

2.営業職の役割の違い:医療機器メーカーとゼネコンの違い

■医療機器営業で大切にしてきたこと


営業をはじめたばかりのとき、営業の役員から言われて大切にしている言葉があります。

「営業が全部やれ。全部やらないと売れる営業にはなれない。線を引かずに仕事をしろ」

これは業務効率化や働き方改革とは逆の考えなのですが、、、、実践するととても大切だと感じる言葉です。

医療機器メーカーには営業の他に修理対応するサービスマンや契約書などを扱う担当する営業事務がいます。

修理を対応するのはサービスの役割なので、故障した際の連絡は営業を通さずにサービスが直接病院とやり取りした方が早いし楽です。

実際にそうした方が効率の良い場合もあります。

しかし、顧客からすると製品を売るときだけでなく、アフターサービスも一貫して関わる営業を身近に感じて貰えますし、施設の課題も見えてきます。

実践するのは大変ですが、実際にやってみると全ての情報が営業に集まるようになり営業が大変やりやすくなりました。

■ゼネコン営業で大切だと思うこと


ゼネコンでは都市のランドマークになる建物を作ったり社会への影響が大きい仕事もできますが、スケールが大きゆえに組織が一体となって、規律を守りながら動く必要があります。

そのため壮大なスケールの仕事ができる一方で、営業個人ができることは思っていたより限られています。

ゼネコンの営業は建物の見積を作りません。入社した当初は見積を作らない営業職があるのか、と驚きました。概算見積を作ることもありません。

社内役割毎に部署が細分化さてれおり、専門の部署があります。

営業は担当する顧客とそれぞれの部署の間のブリッジになることが求められると思います。

「顧客の情報をリアルタイムに社内展開して、各部署からの協力を得ること」が思っていた以上に大切な役割だと感じています。

■商談の違い:医療機器メーカーとゼネコンを比較して

医療機器メーカーの営業
・面会目的を端的に顧客に伝える(DRは忙しいので)
・実際に面会目的は明確な場合が多い(製品評価取得や臨床でも依頼など)
・面会は基本一人で完結
・現場~管理職 全ての方と接する
・面会は医局の前で等で出待ちして歩きながら。10分くらい
・質問を投げかけて、相手の話を聞く 離す割合は営業:顧客=2:8くらい
・こちらばかり話すと嫌われるので、質問をして聞くに徹する
・場合によるが、アポイントを断られると行きにくくなるので初対面のDRには事前アポイントあまり取らない。医局待ちや外来待ちして、対面する。
・アポを取るまでが大変なので、その場で次のアポを取ってしまう(短い時間で宿題をもらう→回答する流れを繰り返す)

ゼネコンの営業
・面会目的は「この情報が得たい」など実は結構明確だが、顧客に明確に伝えることではない
・新規顧客と面会は少ない
・面会は単独より上司や関係者と複数で伺うことが多い
・面会場所は応接室で飲み物が出てくる感じ
・基本管理職の方と面会
・面会時間は1時間程度が多く、まずは営業が話をリードして相手が話しやすくする場合が多い。その際に顧客の業界動向などをベースに雑談するような感じになる

医療機器では製品の特長や優位性などを具体的に話します。

ゼネコンでは「弊社だけができる〇〇工法によって、工期を短縮できる」とか「他社にない〇〇というシステムよってコストを削減できます」みたいな営業トークはあまり聞く機会がないのは意外でした。

規模が大きいので細かい部分より、全体的な仕様や規模が中心の話題になります。

また建物自体の話だけでなく、発注方式や発注時期等の話題になることも多いです。こういった話はプロポーザル担当部署がおこないます。

■営業の目標数字について


医療機器は早くて数カ月、長くても1年くらいで受注できるので、提案から納品まで一人の営業で終える場合が多いです。

そのため、営業の成果は一目瞭然です。

しかし、建物を受注するまでは短くても数年の時間が掛かるので、最初から最後まで同じ営業が一貫して関われることは中々ありません。

提案活動が実を結ぶ受注直前で人事異動により営業が代わることも多々あります。

そのため、自分の活動がどれくらい数字に寄与したのか一目瞭然な状態ではなく、評価が難しいところがあります。

■売上金額に対する感覚の違い:医療機器メーカーとゼネコンを比較して

医療機器メーカーでは数百万円の内視鏡だけでなく、1個あたり数万円消耗品や製品の修理も提案しながら、目標達成のために売上をかき集めます

そうやって作った1,000万円という売上は大きいものです。

しかし、ゼネコンでは10億円以上の工事や改修が山のようにあるので、1,000万円という金額は非常に小さく感じてしまいます。

医療機器メーカーの売上1,000万円はゼネコンの10億円くらいの感覚です。
それくらい扱っている金額に違いと感じます。

3.今後のゼネコンついて


ゼネコンはビジネスモデルを確立しており、新規参入のハードルも高いので暫くは安定した売上を維持できると感じています。

しかしゼネコンは自分で製品を作るわけでなく、実際に作っているのは協力会社の方々です。そのためゼネコンが違っても作る会社は同じ場合もあります。

そういう意味ではゼネコンが介入する意味を維持できないと、銀行のような業界再編もあり得るのではないでしょうか。

■ゼネコンは「ゼネコンぽくない」仕事をしても良いかも


またゼネコンが「ゼネコンぽくない」仕事していく必要を感じます。なぜかというと、「ゼネコンは建物を作る会社」というイメージがあると、発注者から声が掛掛かるタイミングが遅くなるからです。

病院建替においてもゼネコンより医療機器メーカーの方が早く建替えの情報を得ています。

色々決まってからでないと、建築の話にならないのでゼネコンに話が来ません。事業計画が固まらないと建物を建てようとならないので当然と言えます。

しかし発注者が計画の構想段階(初期段階)から声を掛けたくなるようなビジネスをゼネコンが新しく取組むことで、それまで得ることがなかった「超川上情報」を把握することに繋がります。

たとえば事業計画策定コンサルやICT活用による働き方改革支援、BCP策定などが挙げられると思いますが、こういった活動による他社との差別化が利益に繋がっていくと思います。

昔のように特定のゼネコンに名指しで発注する企業は少なく、差別化ポイントがないと平場の競争になってしまいます。

その場合どうしても価格競争になるので利益確保ができません。

新しいビジネスに挑戦し始めているゼネコンも多いので、これからゼネコン業界は面白いと思います。

4.私のキャリアプランの変化:ゼネコンに入社前と後を比較して


実際に働くなかで、私の目標も少し変化してきました。入社前はこれまでの病院組織への営業経験をミックスして自身の営業スタイルを確立できると思っていました。

しかしこれまで書いた通り、ゼネコンの営業ができることは限られており、施主と社内の関連部署のブリッジとなることが非常に重要だと感じました。

建築の知識や社内の人脈がまだまだ不足しています。
医療に知識にしても医療機器メーカーとの知識に加えて、地域医療構想や診療報酬改定の傾向などより俯瞰して視点が必要です。

建物という大きなものを作るためには各部署の役割を理解して、会社が一枚岩となって動く必要性が非常に高いなかで、個人のスキルより前提として不可欠なノウハウがあります。

会社全体の状況を理解しながら、受注までのストーリーを考える全体的な知識を身につけたいと思っています。

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hospital architecture note
mail:07jp1080@gmail.com
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