ほろにが 春のふき味噌
2月ともなれば、山菜がスーパーに並び始める。
こごみ、せり、うど、たらの芽、ふきのとう。近所のオーケーストアには実に多種多様の山菜がびっしり陳列されている。朝早くから次々と主婦たちの手に取られ、昼過ぎにはほぼ売り切れてしまうのだ。
主婦になって思うけれど、世の主婦・お母さんたちは実にえらい。ちゃんと季節のものを取り入れて、きっと無駄なく使って食卓に並べて家族の健康とたのしみを育んでいるのであろう。
私はまだまだひよっこなので、山菜の調理はイマイチ慣れない。せいぜいたらの芽とふきのとうを天ぷらにするぐらい。そして体力と気力があるときは、ふき味噌を作る。
「体力と気力があるときだけ」とかいいつつも、ふき味噌は材料も少なく実に簡単にできる。だけど「保存食」を作るのってなぜだかちょっと気合いがいる。
数年前から「白ごはん.com」のふき味噌レシピで作っているが、もうちょう~どいい絶妙のほろにがさがたまらない。何を隠そう、私はふき味噌が大の大の大好物。毎食白ご飯とふき味噌だけでもいいぐらい。
夕暮れどきにごはんが炊けたら、しゃもじで小皿に一口よそい、冷蔵庫からふき味噌を出してスプーンですくってちょいと載せていただく。子どもや在宅勤務の夫に見えない台所の死角でそれを実行するのが、私のいまの1日の楽しみ。
先日は運悪く、ちょうど夫に見られてしまい、しぶしぶ同じものを口の中に滑らせてやった。糖質制限ダイエット中の夫は、目が子どものようにキラキラとしてきて、「く~!」と唸って部屋に帰っていった。でっしゃろ?
お酒のアテにするのはもったいない。白い炊き立てのごはんの上が、ふき味噌が一番おいしくなれると信じている。
在宅での仕事中など、間食でついおせんべい等をつまみたくなるけれど、いまの時期は問答無用でふき味噌のおにぎりを握ってわしわし頬張る。あーしあわせしあわせ。春よありがとう。