“先輩”こそ必読! 仕事の基本のキ 『入社1年目の教科書』#257
あと9日で今年度が終わりますね。ということは、4月からフレッシュマンたちがやってくる!
研修を担当していると、一番忙しくなるのが4月です。そして、一番悩む季節でもあります。受け入れ側はただいまモーレツな勢いで準備中。やってくる側の人たちの心境はどうなんだろう?
そこで今週は「社会人デビュー目前のための本」を紹介しようと思います。
まずは、名作と呼ばれる岩瀬大輔さんの『入社1年目の教科書』です。
著者の岩瀬さんは、ライフネット生命保険の社長をされている方です。
東京大学法学部を卒業
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ボストン コンサルティング グループに勤務
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ハーバード経営大学院に留学
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日本人では4人目となる上位5%の成績で修了
アッホみたいに優秀な人が語る、「社会人のための教科書」。「組織は変わっても僕の中で変わらない“芯”のようなものがあった」という、その“芯”をまとめた本です。
岩瀬さんが語る3つの原則はこちら。
仕事の原則1「頼まれたことは、必ずやりきる」
仕事の原則2「50点で構わないから早く出せ」
仕事の原則3「つまらない仕事はない」
あいさつの仕方、敬語の使い方、立ち居振る舞い、ファッション、情報収集など、社会人として必要とされるスキルがまとまっています。
この1冊で十分やん!と思って、昨年の新人に勧めてみました。で、思いました。
この本は、「先輩」側に必要な本だと。
「社会人デビュー目前のための本」を紹介するはずが、いきなり逆の話になってしまった……。
研修を担当しているわたしの目標はというと、実は「会社に最適化した人間」をつくることではありません。もっと「どこに行ってもやっていける生きる力」を身につけてもらいたいと考えています。
昨年も4月に新人研修を担当しながら同じようなことを考えていました。この時書いたのは、「新人研修で教わったことなんて覚えてないし、だからムダじゃん」という人は、それだけ「身についた」ということなのだから祝福したい、という話でした。
ぜひ、「先輩」側もチェックしてみてください。「どこに行ってもやっていける生きる力」は身についているでしょうか。
・メールをもらったら、24時間以内に返信していますか?
・感動をためらわずに伝えていますか?
・新たな気づきを得た時、「へぇー、すごいねー」で終わらせてませんか?
新人に限らず、仕事に求められているのは「100点満点の正解」ではありません。ここが「学校」とは違うところです。
期限内に提出できない→ぜんぜん方向性の違うことをやってたことが判明→やり直し
これを防ぐために会社という「チーム」があるのです。
仕事の割り振りや、やり方の説明など、分からないことを質問することで、先輩たちも「なんとなく」やっていた仕事を言語化することができます。それこそが新人の大事な仕事です。
「こんなこと聞いていいのかな?」
この不安をどれだけ消せるかが、勝負かなと考えています。ただし、そこはコミュニケーション上手になる必要があるところ。
岩瀬さんって本当に優秀な方なんだなと感じたくだりが、これです。
いきなり「何のためですか?」という問いを発しないことです。いったんは「わかりました」と答え、そのうえで「それは何のために使うのですか?」と尋ねるべきでしょう。
本には書かれていませんが、新人に求められることのひとつが「素直であること」です。
・指示されたことは素直に聞く。でも、質問する権利はある。
・失敗はどんどんしよう。組織と仕事を改革するチャンスだから。
・会社は自分の成長を全力で後押しするけど、あなたの成長のために会社があるわけではない。
新人も先輩も忘れないようにしたい。
4月に「社会人デビュー」をする方にとっては、最後の自由時間となる9日間。自粛モードで「巣ごもり」が奨励されているいま、基本のキがそろった本で、心の準備をしてみるのも悪くないんじゃないでしょうか。