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ねにもつタイプ(岸本佐知子)
翻訳家の著者によるエッセイ本です。
9割以上がおかしな話ですが、突出してひどかったのは、「どうやったら翻訳家になれるか」に対するお答え。
とりあえず普通に就職することをお勧めしている。(略)組織の一員になると、制約だらけで窮屈だ。でも、その制約の中で否応なしに出会わされる人や物事や状況は貴重な経験のデータベースとなって、いつかきっと翻訳の役に立つに違いないからだ。
きわめて真っ当かつ正当なお答えであるが、その一例となっている3つのエピソードが、確かに「貴重な経験のデータベース」ではあるけれどもブッ飛んでいるのです。本気のフレンチカンカン、恐怖の大王、人柄と服装が天地の差…特にフレンチカンカンはいったい何がどう社会の役に立っているのかと苦笑しました。詳細は読んでください。
言葉の意味
もうひとつおもしろすぎたのは、「字だけを見たら大変なことになりそうな言葉」として、「美人局」「刺身」「好々爺」「野球拳」「腕っ節」「爆乳」「ナマケモノ」をあげている箇所。
それぞれにある本来の意味ではなく、字面を見て連想される意味を辞書風に書いてあり、「むしろそっちのほうが文字の意味として合っているじゃん」と思った次第。
それで私も思い浮かんだのは、
「電池」
・電流が流れている池。電気ウナギか電気ナマズが多数生息しているのかと疑われるが調べてみたくても池に触れたら感電するため、謎のままであった。先日、最新鋭の機器を用いて池の水を全部抜いてみたが件の生物は発見されず、抜かれた水をコップやバケツに移してみたもののその水には電流が流れていなかったため、池の底自体に電気が滞留していると思われるが踏み込むと命に関わる可能性もあるため、その真意は未だ不明。
みたいな感じ?でしょうか。。。
普通に考えれば、「電池」であの「棒」を即座に連想するほうが難しい気がしますが、どうなんでしょう。
あと、昔、「バチカン市国」という文字を見て、
「市の中に国があるとはこれいかに? 日本に『ニコニコ共和国』があるけど、あんな感じかな。子ども銀行券とか使うのかな」
と本気で思っていました。
読後
この本は「講談社エッセイ賞」を受賞した本ですが、そのことを知ったのは読了後でした。
で、この賞の受賞作品をウィキペディアで見たら、意外に何作か読んでいました。
米原万里さんもそのひとり。この方の本も漏れなく爆笑します。早逝されたのが本当に残念です。
米原さんもロシア語の翻訳をしていました。
翻訳に携わっているとこういう面白いエピソードに遭遇する、ということなのでしょうか。
ありがとうございます
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