映画へGO!「ラストマイル」 ★★☆☆☆
(※多少のネタバレあります)
満島ひかりさんのひねりの効いた演技でも観てみたいな・・・くらいの軽い動機で映画館に足を運んだのです。
いい意味で期待を裏切られたのは、思ったより社会風刺のトーンが強かったことでしょうか。高度化が止まらない資本主義の歪みの部分に結構ザクっと切り込んでいましたね。これは凄い!
ビジネスサスペンスというカテゴリーがあるかわかりませんが、そんなトーンの吸引力により、全体としては刺激が満載。退屈はせずに楽しむことができました。
ただ、前情報もあまりなく鑑賞したのですが、満島ひかり・岡田将生・ディーンフジオカの他に、次から次へと主役級・準主役級の役者が登場するので、イマイチ感情や思考が着いていかなくて、物語世界の波にはどうにも乗り切れず・・・。
観終わって知ったのは、本作の脚本家である野木亜紀子さんが同じく脚本を書いた、「アンナチュラル」や「MIU404」などのTVドラマのキャストが多数出演していたのでした。
正直、その辺りのドラマを観ていない人たちにとっては、どうでもいい感じのキャスト祭に思えてしまうくらい豪華なラインナップでしたし、
どうせなら、コアとなるキャスト達の描き込みをしっかりやってもらった方が良かったのでは?と思ってしまいます。
”シェアード・ユニバース・ムービー”を売りにしたいなら、はじめて見る人でも入り込めるレベルの演出力を駆使してもらわないと困りますね。
置いてけぼり感を感じてしまいました。
でも、満島ひかりと岡田将生の2トップペアは、思いのほかケミストリーがあったのでは?と思います。
満島さんの振れ幅の広いクセのある演技の使い分けと、岡田さんの淡々・飄々とした演技が少しづつ変化していく様がうまくシンクロして、最後はなかなかのバディー感に着地するプロセスは、上手い演出・脚本だったのでしょう。
なかなかの娯楽作品ではありますが、映画体験としては少し物足りないというのが正直な感想であります。
個人的評価:★★☆☆☆
社会風刺色が一番上に塗られていると感じました。