kassina

普段はイベントや空間デザインの仕事をしています。月に2〜3本位、映画館で映画を観るので、備忘録的に感想をまとめることにしました。よろしくお願いします。

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普段はイベントや空間デザインの仕事をしています。月に2〜3本位、映画館で映画を観るので、備忘録的に感想をまとめることにしました。よろしくお願いします。

最近の記事

映画へGO!「動物界」 ★★★☆☆

(※多少のネタバレあります) すごく楽しめますが、なんとも奇妙な後味の映画体験でした。。 一方で、このようなオリジナリティのあるエンターテイメントが成立していること自体、いまだに映画というコンテンツフォーマットの多様性は保たれていると安心もできます。 あらすじは以下の通り。※公式サイトより 近未来。人類は原因不明の突然変異によって、徐々に身体が動物と化していくパンデミックに見舞われていた。"新生物"はその凶暴性ゆえに施設で隔離されており、フランソワの妻ラナもそのひとりだった

    • 映画へGO!「ネネ -エトワールに憧れて-」★★★★☆

      (※多少のネタバレあります) 主人公は12歳の黒人少女ネネ。パリの団地で育つ労働者階級にいながら、何よりダンスが好きで、パリ・オペラ座のエトワールになることが夢。 オペラ座のバレエ学校に見事合格し、娘想いのお父さんとパリのストリートで踊りながら喜ぶネネだが、誰もが予感する通り、白人至上主義がいまだに残る学校での、先生や同級生にまつわる差別の試練が始まることになる。。 ざっくりとしたあらすじは以上の通りです。 ネネ役の女の子がとてもチャーミングで、スクリーンで生き生きと躍動し

      • 映画へGO!「梟 ーフクロウー」 ★★☆☆☆

        (※多少のネタバレあります) 不穏なムード一杯の、”そそるビジュアル”に誘われて観に行きました。 結果、終始退屈することなく楽しめたものの、とはいえ今一つココロに残るものがなかったかな・・というのが正直な感想です。 そもそもイメージしていたホラー的な要素はありませんでしたし、かと言って深く掘り下げられたヒューマンドラマでもなければ、サスペンスとしても、わかりやすさの方が先に立って、思ったほどの意外性やハラハラドキドキ感はなかったですかね。 とはいえ、そういうジャンルレス

        • 映画へGO!「大いなる不在」 ★★★☆☆

          (※多少のネタバレあります) 森山未來、藤竜也、原日出子、真木よう子。 この4人が、それぞれの役の心情とその変化・絡み合いを絶妙に表現し、サスペンス・ラブストーリー・社会ドラマの要素がゆるやかに錯綜する複雑な作品が、非常に自然ないいテンションでまとめ上げられていました。 ストーリーの大きな軸が、藤竜也と森山未來の親子関係と、藤竜也と原日出子の夫婦関係で、そこを大きく動かしていくのが認知症ということもあり、やはり印象に残る怪演を見せたのは藤竜也でしたね。 藤竜也は、若い頃~

          映画へGO!「夏の終わりに願うこと」 ★★★★☆

          (※多少のネタバレあります) がんのステージが進行し、余命もあとわずかの父・トナの誕生パーティーが開かれるある日の出来事。 内省的で少し大人びたトナの娘の少女・ソルの、繊細なココロの動きや表情を鮮明に捉えた、切なくも瑞々しい映画でした。 とはいえ、深刻な状況をただ深刻に描いているわけでなく、ラテンの国メキシコが舞台ということもあってか、登場するファミリー一同の面々や友人たちの言葉や行動はどこかユーモラス。 そのちょっと過剰とも思える言動によって、トナへの想いや近しい者を失う

          映画へGO!「夏の終わりに願うこと」 ★★★★☆

          映画へGO!「ゴンドラ」 ★★★★☆

          (※多少のネタバレあります) 奇妙といえばそうなんですが、なんともかわいく、ほっこり笑顔で映画館を後にすることができる、不思議な魅力のある映画でした。 ちょっとした社会風刺的な要素はあるものの、基本的には、人と人との交流から生まれる、人間の普遍的でプリミティブな幸せの感情を、まるで映像絵本のように、適度なリズムと映像構成のパターンで、さまざま丁寧に紡いでくれています。 そこには映画の醍醐味がありました。台詞がなくても全く退屈しない! ストーリーとしては、ジョージアの山間部

          映画へGO!「ゴンドラ」 ★★★★☆

          映画へGO!「CLOUD」 ★★★★☆

          (※多少のネタバレあります) 引く手あまたのマルチ俳優である菅田将暉さん。 今回はどういう演技・役作りを見せてくれるのか?がメインの興味となって、鑑賞してまいりました。 なかなかのはまり役だったのではないかと思います。 序盤で菅田さん演じる吉井は、どこか社会に馴染めず、孤独に苛まれている「ヤバいやつ」、「闇が深い人物」として描かれ、まずその不気味さに惹きつけられます。 吉井が抱える圧倒的な孤独感と、何かに囚われているかのような重苦しい感情が、スクリーンを通して観る者に伝わり

          映画へGO!「CLOUD」 ★★★★☆

          映画へGO!「あの人が消えた」 ★★★☆☆

          (※多少のネタバレあります) いろいろな要素がうまくブレンドされ、不思議な魅力に溢れる作品。 そしてなんとも言えない、でもハッピーな気持ちで映画館を後にできました。 あまり前情報なく観に行ったのですが、展開としては以下の通りです。 丁寧に作られたサスペンスのような、ホラーのような、そんなミステリアスなタッチではじまり、ドキドキ・ザワザワした気持ちが続いて緊張感が高まります。 が、少~しづつ「・・ん?」というような、なんだかユーモラスなシーンがちょいちょい差し込まれ出し、気づ

          映画へGO!「あの人が消えた」 ★★★☆☆

          映画へGO!「スオミの話をしよう」 ★★☆☆☆

          (※多少のネタバレあります) そこまで過度に期待していたわけではないのですが、三谷幸喜さん監督・脚本ということで安定の面白さがあるだろうという安心感と、何より長澤まさみさんのコメディエンヌぶりを堪能したいという動機から、映画館に足を運びました。 結論から言うと、その決して高くはないハードルを超えることができず、少々フラストレーションが残る出来だったのでした。 う~ん、残念・・・ ”長澤まさみ演じるスオミとその元夫5人の織り成す物語”というと、TVドラマの傑作「大豆田とわ子

          映画へGO!「スオミの話をしよう」 ★★☆☆☆

          映画へGO!「ぼくのお日さま」 ★★★★☆

          (※多少のネタバレあります) ラストシーン。その瞬間に、びっくりするくらい心を鷲掴まれました。 フィギュアスケートのコーチ荒川(池松壮亮)と、その教え子で、ドビュッシー「月の光」に合わせて踊るスケート少女のさくら(中西希亜良)、そして吃音を持ちながら、さくらに憧れてフィギュアを始めることになる少年タクヤ(越山敬達)。 荒川のアイデアと指導で、さくらとタクヤはアイスダンスのペアを組むことになります。 さくらとタクヤのそのぎこちない出会いから始まって、少しづつ呼吸が合うように

          映画へGO!「ぼくのお日さま」 ★★★★☆

          映画へGO!「熱烈/One and Only」 ★★★★☆

          (※多少のネタバレあります) 「楽しかったー!」とストレートに思えるエンターテイメント・ムービー。 スパイ・ノワール映画「無名」で初めてお見かけし、トニー・レオンを超える存在感を発揮していたのに驚き、注目もしていたワン・イーボー。 彼を目当てに観に行きましたが、今回も、ちょっと影のある内向的な二枚目でありながら、でも内に秘めた瞬発力ある強いエネルギーを感じさせる、とてもユニークなスターだと改めて確認できました。 で、そのワン・イーボーがめっちゃダンスを頑張っていて、単なる

          映画へGO!「熱烈/One and Only」 ★★★★☆

          映画へGO!「ラストマイル」 ★★☆☆☆

          (※多少のネタバレあります) 満島ひかりさんのひねりの効いた演技でも観てみたいな・・・くらいの軽い動機で映画館に足を運んだのです。 いい意味で期待を裏切られたのは、思ったより社会風刺のトーンが強かったことでしょうか。高度化が止まらない資本主義の歪みの部分に結構ザクっと切り込んでいましたね。これは凄い! ビジネスサスペンスというカテゴリーがあるかわかりませんが、そんなトーンの吸引力により、全体としては刺激が満載。退屈はせずに楽しむことができました。 ただ、前情報もあまりなく

          映画へGO!「ラストマイル」 ★★☆☆☆

          映画へGO!「ブルーピリオド」 ★★☆☆☆

          (※多少のネタバレあります) 原作のことをそんなには深く知らずに鑑賞して参りました。 美術の世界を描いていますが、心・技・体でライバルと向き合い、仲間と向き合い、そして己と向き合うという、あたかもアスリートシップを捉えた普遍的な物語になっていたので、自然とその青春世界に引き込まれ、エンターテイメントとして楽しめました。 最近の若手俳優の名前はすらすらと出てこないのですが、スマートで熱い主人公の眞栄田郷敦さん、トランスジェンダーの盟友を演じた高橋文哉さん、憧れの森先輩こと桜

          映画へGO!「ブルーピリオド」 ★★☆☆☆

          映画へGO!「夏の終わりに願うこと」 ★★★★☆

          (※多少のネタバレあります) がんのステージが進行し、余命もあとわずかの父・トナの誕生パーティーが開かれるある日の出来事。 内省的で少し大人びたトナの娘の少女・ソルの、繊細なココロの動きや表情を鮮明に捉えた、切なくも瑞々しい映画でした。 とはいえ、深刻な状況をただ深刻に描いているわけでなく、ラテンの国メキシコが舞台ということもあってか、登場するファミリー一同の面々や友人たちの言葉や行動はどこかユーモラス。 そのちょっと過剰とも思える言動によって、トナへの想いや近しい者を失う

          映画へGO!「夏の終わりに願うこと」 ★★★★☆

          映画へGO!「ある一生」 ★★★★★

          (※多少のネタバレあります) 非常に胸を掻きむしられる良き映画でした。 単館系の小さなシアターで鑑賞しましたが、あちこちで号泣している人が多数。私もそのうちの一人となりました。 壮大な地球の歴史、人類の歴史からすれば、本当に取るに足らないある一人の男の一生を描いた物語。 ただしそこには、幸せに生きることの普遍的な意味がはっきりと示されていたように感じられました。 孤児として恵まれない境遇で生まれ育ち、厳しいアルプスの自然の中でただひたすらに一生懸命生きた主人公。 彼には

          映画へGO!「ある一生」 ★★★★★

          映画へGO!「ボレロ 永遠の旋律」 ★★★★☆

          (※多少のネタバレあります) フランスらしい、男女の濃密な距離感と絶妙な対話の官能性を、映画全体にうまく纏わせながら、とはいえ一般的なラブロマンスには収斂させずに、「愛の対象が女性ではなく、音楽であった」ことを貫ぬく、ラヴェルの苦悩に満ちた生涯を描いたとてもユニークな作品でした。 というのも、男女の愛の物語と音楽が生まれる物語が、時に絡み合い、時に離れていきながら進行していくのですが、最後の最後にスポットライトを浴びるのは、その物語の真ん中にいる主人公ラヴェルではなく、圧倒

          映画へGO!「ボレロ 永遠の旋律」 ★★★★☆