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映画へGO!「碁盤斬り」 ★★★★☆
(※多少のネタバレあります)
原作が落語なんですね。
それを映画に仕立てて、とても魅力的な時代劇となっていました。監督・役者・演出陣の様々な想像力/創造力の結集です。
「鬼平犯科帳」に続き、期せずして2週連続で時代劇を楽しみました。
現代の感覚で見ると、主人公柳田(草彅剛)の思考回路や話の展開など「えっ?そうなっちゃうの??」というようなツッコミどころ多数なのですが、江戸の美しい四季を背景にした絵づくりの格調の高さや、時代劇にしてはモダンな画面の動きのリズム・抑揚などのセンスがよいので、ほとんど気にならなくなって、むしろ物語に没入していけます。
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映画としては何より、役者の魅力が満載でした。
武士の名誉にこだわるあまり、情緒不安定とも思える主人公の喜怒哀楽を、草彅剛は演じ切っていますし、その娘役の清原果那の凛とした存在感、そしてここぞというときに観る者を一瞬にして惹きつける胸キュンな演技と台詞回しはお見事でした。
バイプレイヤーながら何より印象に残ったのは、國村隼でしょう。草彅剛に寄り添い心を通わせながら、囲碁を通じて成長していく人間味溢れる商人の姿を味わい深く表現してくれています。素晴らしい!
さらに、小泉今日子はチンピラ姉御的な役割にピタッとはまってましたね。50両を用立てるために草彅剛の長屋の家を訪ねるシーンでの凄味は、鳥肌もので、思わず息を呑みました。
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そして斎藤工。カッコよすぎて映画全体の中で少し浮いてしまってますが、主人公の敵役としての胸糞悪さをきっちり伝えてくれました。最後の殺陣のシーンは、唐突ながらも迫力満点。さすが、「孤浪の血」の白石監督であります。
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まさに、チャーミングなキャスト陣の有機的化学反応を満喫できる映画だったのでした。
そんな中、クライマックスで映画タイトルの意味が回収されるシーンは、ドキドキしながらも思わず笑ってしまいます。「おー、そういうことか!」と。
さらに、「え、この二人結婚するんだ?」とか「え、草彅さんどっか行っちゃうの?」とか、最後までいろいろ違和感もあるのですが、それが映画全体の魅力を損なわずに、成立しているのは、監督の力量なんでしょうね。
囲碁という庶民の文化を媒介にした、武士と商人の対比や重なりの積み重ね。
やっぱり、ちゃんと作られた時代劇って大好きです。
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個人的評価:★★★★☆
落語→映画への展開って、目の付け所いいな!
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