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映画「ルックバック」が最高だった話。

※今回はとくに主観強めで大絶賛している内容になっています。ご了承ください。(2024/7/18更新)


まず初めに言っておくと、今年はこれを一番の楽しみに生きてきたと言っても過言じゃありません。

率直に最高でした。
作画、演出、俳優の演技、音楽に至るまで全て最高でした。

生きててよかった。

今回、上映時間は58分と短めですがそこは英断だったと思います。
変に間伸びさせたり過度な改変や追加もなく、
唯一あるとすれば藤野や京本が描いた四コマもアニメーションとして動いているところぐらいでしょうか。
これはむしろ映画としての面白さに貢献していると思います。
(一部ネットでは上映時間は短いのに鑑賞料金は一律1700円であることが波紋を呼んでいるとありましたが、それを払う価値がないと思うのなら見ない選択はできますからね。ただ、映画の出来は時間じゃねえぞ。)

映画としての出来は期待以上で序盤からずっと泣いてしまいました。
作画はまんま原作のイメージ通りで藤本タツキの絵がそのまま動いているかのようでした。感激。
カラーやライティングも美しく、物語を邪魔することがないどころか最大限まで引き立たせてすごくドラマチックな演出に仕上がっていました。
どのシーンを切り取っても美しく、監督の拘った演出と製作陣には本当に感謝です。
あと今回スタッフ少数精鋭すぎませんか。特に原画とか。
ほんとに頭が上がりません。



内容に関してはほぼ原作通りですので以降は原作の振り返りになります。

原作である漫画は何度も何度も読み返しており、
修正が入るたびに最初から読み返したり、
紙版も電子版も両方持っています。
自分も絵を描くのでこの作品は完全に私のバイブルであり、
全ページ模写するくらいにはこの作品のファンです。

世間では絵描き賛歌との呼び声もあるこの作品ですが、
中にはそれが合わないという方もいるかもしれません。
もちろん万人に受け入れられる作品なんて存在しないとは思いますが、
この作品は単に絵描きが挫折してスランプに陥りながらも真摯に作品作りに向き合っていった結果、見事スランプを抜け成功を収めるという話ではありません。
それはこの作品における前振りでしかないと思っています。

これはめちゃくちゃ王道の青春群像劇でボーイミーツガールならぬガールミーツガールなんです。

それが最高なんです。

そこに「四年生で私より絵が上手い奴がいるなんて絶対に許せない!」とか「とにかく描け!バカ」とか「(漫画なんて)読むだけにしといたほうがいいよね。描くもんじゃないよ。」とか「なんで描いたんだろ…描いても何も役にたたないのに…」ていうセリフがあって刺さりすぎるだけなんです。

そんなのは私のようなのを釣るためのエサにすぎないのです。
それがまんまとでした。

今回そんなルックバックがアニメーション映画になるというだけで感動だったのに、このクオリティでの映像化なんて予告編の時点で鳥肌ものでしたが、
実際フルで劇場で観ると感無量でした。

なんだか引きのある言葉を使ってすごいこと言いそうな雰囲気だけ出して普通のことしか言ってないし、語れば語るほど稚拙な言葉しか出てこなくなるので今回はこの辺で。

(以降追記 2024/7/18)

あの後2回目観てまた漫画も読み返したのですが、
追加シーン全然ありました。すみません。

その中でも個人的に印象的だったのが、
京本と別れてから藤野が一人で連載をしていくことになってその後なかなか良いアシスタントに恵まれずに担当と電話しているシーン。

原作では藤野はずっと一人で描いている様子しか描かれていませんが、映画ではアシスタントと机を並べ漫画を描いている様子が挟まれたのちに一人で作業している描写になっています。
その合間にもがむしゃらに連載の原稿に向かう藤野の姿が映画ではいろんなカットで追加されていました。

これは憶測というよりは妄想になりますが、ここでの担当編集とのやりとりは現在の藤本タツキ本人の心境を表しているのではないかと。

現在「ダンダダン」を連載している龍幸伸や「地獄楽」の作者である賀来ゆうじの二人は、ファイアパンチやチェンソーマン第一部連載時のアシスタントとして活躍し藤本タツキと年代も近く親交も深かったと聞きます。

そんな二人がそれぞれ連載を持つようになってからはなかなか他のアシスタントに恵まれずにいて、それを映画では京本が自分の道を進み、藤野が一人で描いていくことになった状況と重ねているのではと思いました。

そう考えるとなんだか最近のチェンソーマンを読む時の気持ちも変わってきます。

他にも冒頭の藤野が学級新聞の四コマを考えているシーンや、
藤野が京本の手を引いて走っているシーンなどが追加されていて、特に手を引くシーンでは徐々に京本の気持ちが藤野に追いつけなくなっていくのが印象的に演出されていて、ここまで原作汲み取って愛のある表現できますかいと思いました。

あと前回触れるのを忘れていましたが、今回音楽を担当されたharuka nakamuraさんの楽曲も全編通して素晴らしくて感情鷲掴みにされました。
漫画では特に泣くことのなかった場面でさえ自然と涙が溢れてきてました。

何回見てもやっぱりいい。


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