「刑務所図書館の人びと」本を読んだ感想
「刑務所図書館の人びと―ハーバードを出て司書になった男の日記」アヴィ・スタインバーグ(著者)☆3.5
ハーバード大を卒業し、ボストンの刑務所の司書になった人物のエッセイ。まずアメリカの刑務所に囚人が出入りできる図書館があることに感心したがこの本はそんな図書館に集まってくる人々(囚人、刑務官その他スタッフなど)を中心に、そこで起きたことや作者が感じたことを時にコミカルに、時に感傷的に綴られている。
流石アメリカというべきか、囚人はもちろんのこと、刑務官や作者の友人(特にコイツ)など、みんなクセが強いというか、愛すべきバカばかりで、マジでぶっとんでて笑ってしまう(笑)でも笑いだけではなく、刑務所では、刑務所図書館とは何のために存在するのか、囚人の人生とはいったいなんなのか、作者も葛藤するような深いテーマを詩などをまじえて文学的に書かれている。自分はまだ留置と拘置合わせて1年いかないくらいのペーペーだが、尊敬される刑務官の特徴や囚人の「時間」に対する感じ方には共感できるものもあった。囚人がつくった詩も載っているのだか、これもまたビックリするぐらい美しい。
喜怒哀楽すべて感じられるような、色々な表情をもった作品だ。