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KALDIで見つけた懐かしの味とスターバックスの豆かすリサイクル新戦略 (元教授、定年退職229日目)


アメリカの前菜を日本で再現!?

先日、近くのスターバックス(スタバ)から帰る途中、一駅隣にある KALDI に立ち寄りました(北大阪急行は初乗り 100 円と格安です)。そこで「無塩トルティアチップス」「サルサソース」「チリコンカン」を発見しました(タイトル写真)。以前の note(11/2)  でも触れましたが、この組み合わせはアメリカでの定番の前菜で、私が滞在していたとき、学生パーティーの最初に必ず登場していました。日本では入手困難だった無塩トルティアチップスは見つけた喜びで、思わず3袋も購入しました。サルサソースは「メキシチョイス社」の直輸入品で、アメリカ滞在中に食べていたもの(自信はありませんが、多分これ)と思われます。トルティアチップスだけは我慢しきれずに開封して食べてしまいましたが、まさに記憶通りの味でした。週末には、ディップして食べるのを楽しみにしています。


スターバックスの持続可能な取り組み

今回、スタバの話を紹介しようと思ったのですが、つい嬉しくて話が逸れてしまいました(いつものことですが(笑))話を戻します。先日、テレビ東京系列の経済ドキュメンタリー番組『日経スペシャル ガイアの夜明け』で「お茶とコーヒーの新戦略」という特集を視聴しました(下写真)。お茶については「伊藤園」が緑茶をどのようにヨーロッパで販売拡大するかという、こちらも興味深い内容でした(アメリカでは「伊藤園」のお茶が 30 年前には既に広まっており、滞在時に大変お世話になりました)。この話題については、また別の機会にご紹介できればと思います。

テレビ東京系列の経済ドキュメンタリー番組『ガイアの夜明け』(注1)


今回のコーヒーの方の新戦略は、「スタバ “大量の豆かす” どう生かす」というものでした。食品廃棄の問題は最近注目を集めていますが、スタバでも年間約 8000 トンのコーヒーかすが排出されています(1店舗あたり1日に約 12 キロ排出)。私自身、スタバを利用するたびに気にかかっていたので、この企画は非常にタイムリーなテーマでした。(下写真もどうぞ)

スターバックスコーヒー(注1)
スタバで排出される “大量の豆かす”(注1)


コーヒーかすはそのまま焼却すると温室効果ガスを排出してしまいますが、スタバでは既にリサイクルの取り組みを開始しています。番組によれば、スタバのリサイクルの試みは 2014 年に始まり、現在では全国の約 900 店舗に拡大しており、 2030 年までに全店舗(約 1900 店舗)での実施を目指しているとのことです。具体的には、専門の工場で飼料や堆肥としてリサイクルされています。さらに素晴らしいのは、これらで育てられた野菜や牛のミルクの一部が、スタバのフードやドリンクとして店舗に戻ってくるという循環型の仕組みです(下写真)。(注2)

スタバの循環型の仕組み(注1)


豆かすの飼料化:コーヒーかすが牛乳に

店舗から回収されたコーヒーの豆かすに乳酸菌を加え、粉末状の醤油かすやおからなどを混ぜます。地元の牧場では、これを牧草や配合飼料に混ぜて牛に与えます(下写真)。その結果、牛たちは季節の変わり目に罹りやすい乳房炎が大幅に減り、牛乳の質も向上しているとのことです。これは、コーヒー豆に含まれるポリフェノールが牛の免疫を高めるためだと考えられています。そして、豆かすの飼料を食べた牛が生産した牛乳が、巡り巡ってスタバのミルクとして店舗でラテなどに使われているという、まさに理想的な循環です。

回収されたコーヒーの豆かすを加工し飼料にして牛に与えます(注1)

<追記> 道の駅では、豆かす飼料で育った牛の牛乳を使い、プリンや焼き菓子などを製造・販売し、ヒット商品になっているそうです(下写真)。

道の駅でプリンや焼き菓子に(注1)


豆かすの堆肥化:豆かすで育つ野菜たち

豆かすに米ぬかなどを混ぜ、発酵させて堆肥を作り、大根、じゃがいもなど様々な野菜を生産しています(下写真)。この堆肥を用いることで、土壌の害虫である線虫を減らす効果や、豆かすの弱アルカリ性による土壌の酸度矯正効果が期待できるそうです。

回収されたコーヒーの豆かすを加工し堆肥にして野菜を生産します(注1)


地域との絆づくり

スタバでは、地域貢献活動の一環として、農家に地元の小学生を招き、豆かす堆肥から作られた野菜の収穫を手伝ってもらいました。興味深いのは、スタバのスタッフもこのイベントに参加し、子どもたちと一緒に収穫した野菜を給食で食べていたことです(下写真)。接客のプロであるスタバスタッフとの交流は、子どもたちにとっても楽しい経験になるでしょうし、将来の顧客獲得にもつながるかもしれません(笑)。

スタバスタッフも子どもたちと一緒に収穫(注1)



このような循環型ビジネスモデルは、CSR(企業の社会的責任)とCSV(共有価値の創造)の観点からも高く評価できる、持続可能な経営の好例といえます。環境負荷低減と地域貢献を両立させた、まさに WinーWin の取り組みだと感じました。 

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注1:テレビ東京系列、「日経スペシャル ガイアの夜明け:お茶とコーヒーの新戦略」より
注2:スターバックス、ホームページより


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