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私ときどきレッサーパンダ/メイの自己肯定感の根拠

 母と娘の絆を尊く神聖に描くのでなく、むしろ母娘の相互依存から脱却し、互いに自立する物語でとても感動しました。

 主人公のメイは勉強・友人関係・家の手伝いなど、完璧にこなせる自信に満ちた女の子です。しかし、その自信の根拠は母親の望み通りに生きれていることです。だから母が嫌がる異性やチャラチャラした音楽への関心を隠すし、序盤では隠してる自覚すらなさそう。
 メイの表情はコロコロと変化し、とても豊かで愛らしいです。だからこそ、母親に本心を殺して向ける歪んだ笑顔には胸が苦しくなりました。
 メイは何度も母親の支配を掻い潜ろうと試みますが徒労に終わり、結局は母親への依存心から脱却することができません。それは母親の愛情に応えたという優しさだけではないと思います。母親の愛情を反故にするということは、母親に依存することで自己肯定をしていたメイにとってアイデンティティが揺らぐ一大事なのでしょう。
 メイの一族は感情が高ぶった時にレッサーパンダに変身します。そしてそれを抑え込むことが一人前の大人の証です。言い換えれば一族にとって大人に成長するということは、感情を抑え込むこと(=レッサーパンダを封印すること)という訳です。しかしメイにとってレッサーパンダでいた時の思い出とは、母親の庇護から離れて友達と笑ったり喧嘩した日々です。だからメイはレッサーパンダでいることを選択し、母親に向けてお尻をフリフリします。あれは彼女にとって立派な成長の姿です。とても馬鹿馬鹿しく腹を抱えて笑いましたが、同時に感動しました。なんてくだらなくて最高な少女の成長の姿なんだ!
 実際の社会でも本心を押し殺し、我慢を貫いて社会に順応する態度が大人だと称する人を頻繁に見かけます。だからこそとても晴れやかな気持ちになる作品でした。

PS,「はい、ちくりーん!」が可愛いくてクセになりました〜🎋🎋🎋

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