Training - Fartlek走 -
本記事では日本ではあまり聞きなれないFartlek(ファートレック)走についてご紹介します。すでに他の方の記事でも多く取り上げられてはいますが、僕のnoteでも書きます(そもそも僕自身の勉強も兼ねていますので)。
スピードで遊ぶ
そもそもFartlekとは、スウェーデン語で「スピードで遊ぶ」という意味を持つ言葉です。基本的な練習方法は、走るペースを時間で区切り細かく変えながら、続けて走ります。練習例を見てみましょう。
現男子マラソンの世界記録保持者であるケニアのEliud Kipchoge選手。僕のノートでも多く取り上げている選手です。Kipchoge選手のトレーニングではファートレック走がよく行われています。練習日誌がネットで公開されているので、ファートレック走のメニューを適当にピックアップしてみます。
Sat Aug 12
AM Fartlek: 10min warm up (1.9km), 4x10mins with 2min rest, reps were at right around 3:00/km (2:45-2:50 downhill, 3:10-3:15 uphill) and rest was very slow jogging. 15min easy cool down (2.2km) * Interesting: This entire workout was completed in under 80mins, virtually no time between warm up, workout, cool down. They stretched for only a moment between warm up and 1st rep. They did 2 reps out, 2 reps back. 2nd rep was downhill, 3rd rep uphill.
PM12km(50mins) Sat Aug 19
AM Fartlek: 10min warm up (2km). 30 x (1min on, 1min off), with reps at an average speed of 2:45/km and recoveries an easy jog.Cross country course. 15min cool down(2.8km) 引用(参考文献1):「Eliud Kipchoge – Full Training Log Leading Up To Marathon World Record Attempt」https://www.sweatelite.co/eliud-kipchoge-full-training-log-leading-marathon-world-record-attempt/#
これをみるとAug 12のファートレックでは、10分間の1キロ3分前後の速いペース走を2分のスロージョギングによる休憩を挟みながら4回繰り返しています。
またAug 19では、速いペース(記事中ではonと表している)を1分間、遅いペース(記事中ではoff)を1分間とし、これを30回繰り返すというファートレック走を行っています。1分間と短時間なのでonペースは1キロ2分45秒とペースが上がっています。
このようにファートレックでは、◯分速いペース→△分ジョギング→◯分速いペース→・・・という、時間区切りで速いペースと遅いペースを繰り返す練習が基本となっています。それぞれのペースや走る時間は自分で自由に設定できるので、走るスピード(ペース)で遊ぶ=Fartlekということです。主にスピードトレーニングとして用いられています。
インターバル走との違いは?
長距離走のスピードトレーニングとして有名なのはインターバル走ですね。これも数百mから1kmを速いペースで走り、一定のインターバルを置きながら繰り返し走る練習法です。
ではファートレック走とインターバル走の違いは何でしょうか?しいて挙げればファートレック走は基本的にずっと走り続け、回復も遅いペースのジョギングであるのに対し、インターバル走は止まったり歩いたりして回復を行う場合がある、ということだと思います。ファートレック走はランニングの中でペースを上げ下げするといったイメージ、インターバル走は何かしらの方法で一定の回復インターバルを置きましょうという認識です。
ただし、インターバル走でも回復をジョグでつなぐ場合も多いので、長距離の練習としては両者にそこまで大きな違いはないですし、トレーニングをする人の認識次第かと思います。
よりスプリント的な練習としてインターバル走を行う場合は、一本一本の強度を上げて、インターバルである程度心拍数を整えることでスピード強化に集中できます。それに対して言えば、ファートレック走では練習を通して平均の心拍数がインターバル走よりも高くなるようにペース設定を行うことで、スピード持久力にフォーカスできます(参考文献2)。
また時間でペース変化を行うファートレック走はロードなど距離の目安がつかない場所でも時計があれば自由に行うことができます。
ファートレックの設計は自由自在
Kipchoge選手の練習を例にあげましたが、あくまで一例ですので、走るペースや各ペースの時間間隔の組み合わせで自由自在に練習を設計することができます。いつものランニングで、定期的にファートレック走を入れることによってスピードの強化ができ、練習のバリエーションと目的を一つ増やすことができます。ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考文献1
参考文献2