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エッセイ:登場人物の話

 先日、実家の自分の部屋を整理していたのだが。出てくるわ、出てくるわ。大量のノートたち…。
 これは学生時代、矢口が一生懸命勉強した証…ではなく、すべて小説のアイデア帳なのである。小学校高学年くらいから高校生にかけて、思い浮かんだアイデアが殴り書きされている。
 よくもまあ、捨てずにとっていたものだ。矢口が不在の間に、家族に中を見られていないと良いけど…。

アイデア帳たち。本当はもっとたくさんある。

 大まかなアイデアだったり、登場人物の設定だったり、タイトルだけだったり、書いてある内容はさまざま。下手な絵を一生懸命描いているページもあった。たぶん、登場人物の見た目のアイデアが思い浮かんだものの、言語化できずに絵で残そうとしたのだろう。
 中にはひたすら制服の絵を描いているページもあった。登場人物の通う学校のイメージを固めたかったのだろうが、ちょっと自分で自分に引いた。もしも矢口が冤罪で捕まって、家宅捜索でこのノートを見られたら有罪になりそう。知らんけど。

 上2冊のノート(なぜか英語ノート)には、小説のタイトルと簡単なあらすじがひたすら書かれていた。シリーズものとか、同じような内容のものもあるけれど、100以上あった。今でも覚えているものもあれば、「なんだこれ?」みたいなものもある。
 これだけアイデアを書いておきながら、この中から最後まで書き上げたものがひとつもないというのはもはやギャグだ。

 昔から、「長編小説を書きたい」という願望が強かった。でも、集中力も根気も無いので、書いている途中で他のアイデアが浮かんだらそっちに気をとられてしまう。結局、これまでに最後まで書き上げることができた長編小説は、小学生の時と、中学2年生の時に書いた計2冊だけだった。
 たしか、どちらもはちゃめちゃなコメディ系だった気がする。

 この歳になり、noteを始めた。短編小説を書いてみた。…最後まで書けた。面白いかどうか、上手いかどうかはさておき、最後まで書き上げることができたのが嬉しかった。
 では、このアイデアたちを短編小説にできないか…、と久しぶりにノートたちを読み返す。
 昔考えた、たくさんの登場人物たち。なんだか懐かしい友人に会ったような気持ちになった。
 そして、「この子たちの話を書こう」と感じる登場人物に出会った。

 それが、昨日投稿した『アップデート!!』の男子大学生トリオ、高見(僕)、荒巻、坪根だ。
(決して、昨日の記事の宣伝ではございません。矢口と彼らのことについて、自分語りをしたくなっただけなんです。)
 このトリオについて、『小・中学生編』『高校生編』『大学生編』の3部作を考えていた。それにプラスして、スピンオフ(彼らのきょうだいとか、恋人とか)のアイデアまでしっかりメモされていた。中学生か高校生の時に考えていたものだから、大学の設定とかがめちゃくちゃだった。少しは調べろよ、と思うくらい。
 当時の矢口が彼らの小説を書くことはなかったけれど、登場人物の設定だけはしっかり考えていたようだったので、ストーリーを考えてみたい、と思った。

 で、出来上がったのが昨日の『アップデート!!』である。
 もともとのあらすじは、友情だけじゃなくて、嫉妬とか羨望とか、恋愛が絡んだりとか、わりとドロドロしたものだった。
 けれど、再びあのトリオのストーリーを考えていると、もっと爽やかな内容にしたくなって、気が付いたら男子大学生のわちゃわちゃ記録みたいになってしまった。

 作品の出来については何とも言えないけれど、彼らとの『再会』はとても楽しかった。
 あのトリオの話は、また書きたいなと思っている。同じ名前のトリオが出てきたら、「矢口またこいつらの話書いてるやん」と思ってください。時系列はめちゃくちゃかもしれないけれど、世界線は同じです。

 ノートを読み返してみると、他にも書きたい話や登場人物がたくさんでてきた。ぼちぼち、形にしていけたら良いな、と思う。

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