ショートショート:数学ダージリン
恋する私の数学ダージリン
恋は計算
たすとひくだけじゃない
よく考えなきゃ
解けないもの
恋は紅茶
ゆっくり待たなきゃ
おいしくならない
でも
待ちすぎても渋くなる
恋は計算
恋は紅茶
恋する私の数学ダージリン
嗚呼
恋する私の数学ダージリン
「なんすかこれ気色悪い」
「これ、やつらのボスが中学生のときに書いた詩だって」
「ひえ~、なんか意外っすね」
「だろ。見つけるのに苦労したんだぞ」
「でも先輩、どうすんですか、こんな詩なんか」
「ああ。普通に俺たちがやつらのアジトに乗り込んでも勝ち目はない」
「そうですね」
「でも一か八か…、乗り込んで、でかい声でこれを読んだらボスも怯むかもしれん」
「無謀っすね」
「そうか」
「もっと考えましょう。しっかり計算して、タイミングを待って…」
「計算して、待つ、ってか」
「あっ」
「それってつまり、」
「やめてください、真面目な話ですよ」
「数学ダージリン…」
「先輩!」
「ふふ」
「ほらもう、笑ってるじゃないっすか、真面目な話なのに」
(410字)
※フィクションです。
今回も田原にか(たらはかに)様の企画『毎週ショートショートnote』に参加しました。
過去の自分の作品、認めてあげたいけれどイタイものもあってついつい封印してしまいがちです。ごめんね、過去の自分。
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