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がん手術前の運動「プレリハビリテーション」で、術後の回復をサポート!

もし、あなたが手術を控えているのであれば、ぜひ知っていただきたいことがあります。
それが「プレリハビリテーション(術前リハビリテーション)」です。
手術前からリハビリテーション?と驚かれるかもしれませんが、実は、手術前に運動を行うことで、術後の体力回復を早め、合併症のリスクを減らすことができるという研究結果が報告されています。

このnoteはこんな方におすすめ!

・手術を控えた状態で何をしたら良いかわからない方
・手術前の運動の効果を知りたい方
・プレリハビリテーションについて知りたい方

このnoteから得られる知識を1枚で!

プレリハビリテーションとは?

プレリハビリテーションとは、手術前から運動や栄養指導、精神的なサポートなどを行うことで、患者さんの全身状態を改善し、手術に備えるための取り組みです。
がん治療を受けると、20-30年分の体力が低下する、ということは以前の記事で書いた通りです。手術前から運動習慣をつけ、持久力や筋力を高めておくことで、術後の体力低下を最小限に抑え、回復を早めることが期待できます。

プレリハビリテーションの効果:研究から見えてきたこと

近年、プレリハビリテーションの効果を検証する研究が数多く行われています。2000年から2022年までの44件の研究(32件の介入研究、12件の観察研究)をまとめたレビュー論文によると、プレリハビリテーションは、以下のような効果が期待できることが示唆されています。

  • 対象となるがん: 大腸がんなどの消化器がん(19件)が最も多く、次いで肺がん(10件)、泌尿器がん(7件)の研究が行われています。

  • 運動の種類: 有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせ(14件)が最も多く、高強度インターバルトレーニング(HIIT)(11件)もよく用いられています。その他、呼吸筋トレーニングやウォーキングなどを組み合わせることもあります。

  • 運動の効果:

    • 持久力の改善:12件中7件の研究で効果あり

    • 筋力の改善:9件中5件の研究で効果あり

このレビュー論文では、乳がんに関するプレリハビリテーションの研究は少ないです。これは、乳がん治療が比較的標準化されており、運動介入の余地が少ないこと、また手術による合併症が少ないことが理由として考えられます。

プレリハビリテーションで合併症も減らせる!

プレリハビリテーションは、術後の体力回復を早めるだけでなく、合併症のリスクを減らす効果も期待できます。
大腸がんの手術を受ける患者さんを対象とした研究では、手術前の4週間にわたり、運動、栄養指導、心理的サポートを組み合わせたプレリハビリテーションを行いました。

  • 運動: 週3回、1時間の有酸素運動(HIIT)と筋力トレーニング

  • 栄養指導: 管理栄養士による個別指導

  • 心理的サポート: 心理士によるカウンセリング

その結果、以下の合併症が減少することが報告されています。

  • 医学的な合併症: 心臓機能、呼吸機能、尿路関連の合併症

  • 手術関連の合併症: 腸閉塞、出血、創部(手術の傷)や人工肛門のトラブル

この研究では、プレリハビリテーションを受けたグループは、受けなかったグループと比較して、これらの合併症の発生率が有意に低いことが示されました。

手術までの時間があるなら、運動を始めよう!

がんと診断されたばかりの時は、不安でいっぱいで、運動どころではないかもしれません。でも、もし少しでも「やってみようかな」という気持ちがあるなら、運動はきっとあなたの力になります。
治療で体力が落ちてしまう前に、少しでも余力を蓄えておけば、回復も早まります。
そして何より、運動は心のモヤモヤを軽くしてくれます。
無理のない範囲で、少しずつ、手術前の運動にチャレンジしてみましょう!

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