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恋詩

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#恋

背中の下の青い屋根

背中の下の青い屋根

20分前の

私の首もとに

はるか遠い河川敷で

石になったわたし

午後4:47分 

流れる水の音と寝そべりたい

とがったくちばしを

天井にはりつけて

あなたを階段から

突き落とす夢のあと

午後5:13分 

あなたの横顔が

太陽に染まりだす

赤い輪郭 

行き場をもてあます

逆光の感触

水中の中ゆらゆら

きらめく私の髪が

空の吐息に溶けて

石になって

恋とくき茶

恋とくき茶

ねっこは少女だった

土からでた
くきに恋をしては

人の手によって
そのくきを
むしりとられるたび
少女は悲しんだ

1週間ぶりのお茶を飲んだときの
腸のさけび
アゲハの信号
腸内新聞

今朝のニュース

「黒アゲハの幼虫山椒7日目にして死す」

春の新芽までに
少女の腸と首の骨を強化し
心折れない女になってやろうという
オダマキ14才の決意であった

ロマンチックな花束を抱いて

ロマンチックな花束を抱いて

ロマンチックな花束を抱いて

ほら
足元にオレンジのリボンが
君の小指にまかれてね

透明な鈴の音色

いつ気づく

この線の始まりの切れ目で
このざわめきが

地平線に溶けて弧を描く

薄紫色の雲が虹に連絡をする

なくてはならない
あなたの親指は

金色の鳥が雛の餌にして
7716番目の羽根に生まれ変わる

111

111

タルトの生地を
むしり取られて

残された
艶やかな苺

ザラザラと
タルトの残りかすが
むなしく

皿に残る

タルトでなくなるまえに

伝えることはあるか

「あなたのおかげで木になった」

「あたらしい水をさがすよ」

手と手

手と手

それは

愛になるまえの

皮と身の

境界線

破ると
いたいから

そっとしておくの

嵐がくるまで

18  「月 とうふ ピンクの布」

18 「月 とうふ ピンクの布」

とうふを月にあげた

月の手首に
ピンクの布
とうふをつつむためのふろしき

月はとうふを
きゅっとしぼり

私の恋人の畑から
ほうれん草とにんじんを
そっと抜き

白和えにして
しろうさぎの口に入れた

しろうさぎは
それから
家と家をつなぐ
チャイムになった