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連作「no title」
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4の倍数で階段を駆け上がる きみを見つけて19で止まる
小指が尖ってピースにならなくて 眩しくて歪む笑顔に似ていた
ニキビを潰すみたいに花摘み 首先の架空を斬った手で祈祷
あの頃は広角レンズで簡単に世界とか征服できちゃったりして
わたしたちの瞳には宇宙 シャッターを切るたびに小さなビックバン
ミラーレス 未来にきみがいなくても瞼の裏がお揃いでうれしい
キューティクル
連作「あの子が唱える天動説」
・:+.
その「おやすみ」には21グラム分の何グラムが 掬って
メジャースプーンで図るわたしの等身大 背伸びがうつる瞳孔 きらめけ
屈折を泳ぐ魚とサラリーマン 黒点からは目を逸らせ な い
たなびくスカートはきみのフレア その一閃で日焼けしたい冬でも
アイドルが日焼けしないのは光だから 小麦色は救済のしるし
陽炎の下で囁かれた噂は視妄で蝋を溶 か し て
虚 構
連作「未・未来永劫」
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消えないで手のひらにつたう液晶の中から私の視覚から 光って
手のひらのなかの四角のその奥の 私の視覚の死角で笑って
にしび の3文字が東から射し込む 親指でそのなみだを拭う
会いた| まで打っては掻き消すきみのインターネットの波打ち際にて
永劫も知らないぼくらはただ字面がかっこいいからという理由で
つけっぱなしの冷房 流しっぱなしの動