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授業実践LIVE①~1年生国語科「ずうっと、ずっと、大すきだよ」①~
これまでの子どもの育ち
1年生の最後の物語教材である「ずうっと、ずっと、大すきだよ」。1年生文学的文章の総まとめとしての単元です。以前に書いた教材研究の記事もよければ合わせてお読みください。
この実践を書く前に、前提として僕のクラスの子どもたちがどのような力を身に付けてきて、学習集団としてどれほだ学びに向かえるのか、を伝えます。1年生としての発達段階にもよるのですが、9年間担任をしてきて、過去一番と言ってもいいくらい物語を読むことを楽しむ子どもたちです。それは本来の子どもたちのもっている力の側面もありますし、今年1年、学年で「物語教材」を徹底的に力をいれてやってきたというのもあると思います。おかげで、子どもたちが「えーーーいやだあ」ということはありません。もしかしたら思っている子もいるかもしれませんが、それ以上に子どもたちが楽しんで学びに向かう姿があるという事実です。
第1時~お話と出会う~
教材に出会わせる前に、子どもたちにこんな発問をしました。
「みんなの大好きなものってなあに?」
家族、友達、ペット、Tanabe先生、皇帝ペンギン、麺(麺!?)。子どもたちはたくさん出してくれました。聞いてもいないのに、好きな理由まで言ってくれます。そのあと、残酷ですがこんな問いを投げかけました。
「もし、その大好きなものがいなくなってしまったら?」
子どもたちは今にも泣きそうな表情でそれぞれの思いを語ります。悲しい、寂しい、いやだ、もやもやする…。「こんなこと聞いてごめん!!!」と心の中で思いながらも、大好きなものがいなくなってしまったときのことに想像することで、本教材との接点をつくりました。ここから、物語を読み聞かせました。
第2時~「いいな・すきだな・どうしてかな」を見つける~
子どもたちの中で「ずうっと、ずっと、大すきだよ」は「悲しいお話」からスタートしました。このお話が全て悲しいお話なのかと問うと、どうもそういうわけでは無さそうです。悲しい部分の印象が強いけれども、そうじゃないところもある。そんな対話を通して、子どもたちが「いいな・すきだな」と感じたところと、「どうしてかな」と疑問に思ったところを一人ひとり本文に線を引かせました。思いのほか子どもたちはどんどん線を引いていきます。おもしろいのが、「悲しいお話」という印象をもっているにも関わらず、子どもたちは悲しい場面には線を引かないのです。潜在的に子どもたちはこの物語には「あたたかいお話」の要素がたくさん含まれていることに気付いています。ただ、本人たちは自覚していません。ここで僕は子どもには言わないけど、あるゴールを決めました。
「子どもたちがこの学習を終えたときに、このお話の印象を変えよう」
本時の最後には、たくさん見つけた「いいな・すきだな」と「どうしてかな」の中からそれぞれとびっきりのものを一つ選び、短冊に書かせました。
第3時~クラスの「どうしてかな」を決める~
子どもたちは短冊を手にして、交流する気満々です。子どもの言葉から「今日は交流するんでしょ!」と出てくるのはやはり学びがスムーズにいきますし、子どもと教師のめあてが一致した状態で授業に臨めるのは質の高まりが全然違います。前半は、短冊を場面ごとに貼り、交流しました。もう何も言わなくても勝手に子どもたちはお互いの短冊を読み合い、あーだこーだ言い合います。それぞれの場面ごとに盛り上がっている中で、ある場面に短冊を貼った子が一人だけだったんですよ。周りがにぎやかに交流している中ですごく泣きそうな顔になってて。その時は僕が話を聞いていたんですけど、全体交流していい時間になると、周りの子たちが真っ先にその子の短冊を読みにいったんですね。その一人だった子もすごく嬉しそうな顔をしていて。授業とは関係ないけど、こういう姿が一番大好きです。
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さて、それぞれの場面からみんなで考えたい「どうしてかな」を一つ選び、持ち寄りました。全部で4つの「どうしてかな」が集まったのですが、それらをピラミッドチャートを使ってみんなで吟味しました。それぞれあーだこーだ言いながら、考えていきます。最終的には
① 「どうしてエルフは世界で一番素晴らしい犬だとわかるのだろう」
② 「どうして子犬をもらわなかったのだろう」
③ 「どうしてエルフが死んだのに、気持ちが楽になったのだろう」
この順番に決まりました。子どもが考えた問いだから次の時間から、読んでいく視点が定まりました。
次回に続く
さて、次の時間からはいよいよ問いの答えをみんなで考えていきます。来週からの国語がとっても楽しみです。残りこの子たちと過ごすのもあと1か月ちょい。最後の物語も名残惜しく感じながらも、楽しんで読んでいきます!
後半、実践したらまた書きたいと思います。