寝起きの錯覚 煙玉
晩ご飯を待つ間
瞼をとじてみたらそのまま眠っていた
肌寒い空気と雨の音で目が覚めた
窓を開けたままで寝たようだ
雨の音は「強い」
あんなシトシトと降った雨でもちゃんと僕を起こす。
夢を見ていた
つい先ほどの夢の内容が思い出せない。
物音がする
ああ。まだ夜の10時かぁ。
深夜頃だと思った。
ちょっと得した気分
若干過去に戻ったような不思議な時間
映りの悪いテレビをたたくように起きだす。
ひとりでテーブルに座りラップに包まれた
遅い晩御飯をいただく。
腹が減っているせいか
それとも
何時間か眠った後の敏感さがそうさせるのか
晩御飯の味がしっかりと舌に吸着される。
美味しいが「強い」
寝起きの舌が味を吸い上げる。
寝起きには「強い」強調
ちょっとうんざりだ
週末の夜
明日は仕事
そのまま寝ていたかった期待の週末
あと一日‥と言わずに
明日を飛ばしてくれたら良かったのに。
都合の良いタイムマシンはない
週末のタイムマシン
忍者の煙玉のように煙の中から這い出たような
晩の寝起きの錯覚。
シトシト
シトシト
雨の音は子守唄
強調性の無い「雨」だ。
カラカラ
カラカラ
他人行儀な「音」だ。
僕は今生きていて
洗濯機の回る音を聞いて
振り子を見るように、段々とまた眠くなる
週末の夜へ向けて
現実逃避の「夜」