【短編小説 チェンジ?】
”自由であるようで自由ではない”
それは”死んでも”同じだった。
僕は何に生まれ変わったのだろう?
鏡が無い。
自分を映し、確認しようにも、ここには何も見当たらない。
少し周辺を歩いてみる。
歩いても
歩いても
誰もいない。
景色も変わらない。
これが”死”という”場所”なのだろうか?
…、
あぐらをかいて座り込む。
うむ?足だ。僕の足だ。
うむ?手だ。僕の手だ。。
身体のあちこちを触って自分のかたちを確認する。
「この”かたち”は僕のかたちだ。
生まれ変わってない。
じゃあ。
僕は”死んでない”?」
ーーーチャプターが変わるーーー
学校のチャイムが鳴り、見覚えのある先生が授業を始めようとしていた。
「ラン(藍)さんの事です。
今日で3日目になります。
未だ昏睡から目が覚めない状態です。
手術は成功しました。あとは本人の頑張り次第でしょう‥」
「あっ。そうなんだ。僕は死んでなかったんだ。。
でも、どうして今、”ここ”にいるんだろう?
僕は本当に生きているんだろうか?
どうしてこうなった?
思い出せない。
それにしても、先生よ。
”本人の頑張り次第でしょう”って、、
おかしくない?それ。
僕は今、”ここ”にいて、一体何を、どう頑張れば”そこ”に戻れるって言うんだよ?」
空(から)になっている僕の机をジッと見つめる女の子がいた。
誰だっけ?
ああ、
茜(アカネ)さんだ。
クラスであまり目立たない地味な子。
それにしても心配そうな顔をしている。
そんなに彼女とは話をした事もなかったけどな。
僕のことを心配してくれているんだろうか?
もし、そうなら嬉しい。
と思った瞬間、茜(アカネ)さん視点の記憶映像に目の前が切り替わる。。
学校帰り。
いつもの帰り道。
秋の西陽が逆光になって、眩しい。
誰かが前を歩いている。
「誰だろう?目を細める。ん?」
その男の子が立ち止まった。
ポケットからスマホを取り出す。
同じタイミングでこちらの手に握っているスマホも暴れだす。
《緊急地震速報! 強い揺れに備えてください! ファンファンッ ファンファンッッ
相当強い地震だ。
立ってもいられない。その場にしゃがみ込んだ。
(怖いっ!)
目をつむる自分の方へ駆け寄ってくる男の子がいた。ラン(藍)さんだ。
「大丈夫か!」と叫んで駆け寄る。
そして、、
”グシャリ”…
電源コードを引き抜くように僕は瞬秒で意識を失った。
そうか‥そうだ‥そうだった…
乗用車が、地震の揺れでパニックになり、僕を‥。
茜(アカネ)さんは驚いただろうな。もろ、目の前だもんな。。
人は都合の良い言葉を 都合の良い時に置き換えて使う。
それは”運命だよ”とか、”神様に必要とされていた”とか。
いいかい。僕の立場になってごらん。
そんな言葉は”クソっ”だ。
こんな中途半端に人生が終わってたまるか!
親だってまだ生きている。
母親が僕を産んだ時の痛み分、まだ生きていない。
彼女だってまだいないし、キスだってしたい!
だから、”死ねない”んだ。先生よ。
僕は”がんばる”だから、、
そこに行きたい。
行かせてくれよ!!
…、
…、
じゃあ、チェンジする?
…、
「えっ??だれ?
誰の声??」
ーーーチャプターが変わるーーー
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